嫌気性菌の薬剤感受性試験法
  1. 嫌気性菌感染症治療における3つのアプローチとは?
  2. 臨床的に意味ありと考えられた場合ルーチンに感受性試験の対象となる嫌気性菌は?
  3. 嫌気性菌の感受性試験に加える薬剤は?
  4. 嫌気性菌の感受性試験が保証される臨床状況は?
  5. 嫌気性菌感受性試験には、どのような方法があるか?
  6. 嫌気性細菌検査のレベルアップのために検査室の人が心がけることは?


1. 嫌気性菌感染症治療における3つのアプローチとは?
1) 嫌気性菌が増殖できない環境をつくる。
壊死組織の除去。ドレナージ。閉塞の除去。圧迫からの解放。ガスの解放。循環の改善。組織のオキシゲネーション。
2) 嫌気性菌の周囲への進展および遠隔部位への拡散を防止する。
化学療法薬
3) 抗毒素を使用する(毒素を産生する菌であれば)。


2. 臨床的に意味ありと考えられた場合ルーチンに感受性検査の対象となる嫌気性菌は?

 Bacteroides fragilis group,
 Campylobacter gracilisとSutterella wadsworthensis,
 PorphyromonasPrevotellaの黒色色素産生菌、
 Clostridium perfringens,
 Clostridium ramosum,
 Fusobacterium spp.



3. 嫌気性菌の感受性試験に加える薬剤は?
  • カルバペネム
  • β−ラクタム薬とβ−ラクタマーゼ阻害薬の組み合わせ
  • セファマイシン類
  • クリンダマイシン
  • 嫌気性菌に活性があると考えられるセファロスポリン
  • クロラムフェニコール


4. 嫌気性菌の感受性試験の実施が保証される臨床状況は?
  • Bacteroides fragilis groupおよびその他のグラム陰性桿菌、Clostridiumなどその感受性パターンが多様性を示すことが知られている菌種の場合
  • 好気性菌が分離されず、嫌気性菌のみが分離された時
  • 重傷の患者の時
  • 長期間の治療を受けていた患者
  • エンピリック・セラピーが奏功しなかった、再燃した患者からの分離菌の場合


5. 嫌気性菌感受性試験法には、どのような方法があるか?

 微量液体希釈法が、ルーチンに実施が可能な権威のある方法です。しかし、臨床細菌学的に意義のある嫌気性グラム陰性桿菌のPrevotellaなどの測定には問題があることが知られています。

 現時点では、Prevotellaについては、β-ラクタマーゼ試験を行いβ-ラクタマーゼ産生性の有無を検査するのもよい方法でしょう。



6. 嫌気性細菌検査のレベルアップのために検査室の人が心がけることは?
  • 各病院でガイドラインを作ること
  • 嫌気性輸送用容器の準備すること
  • 嫌気性菌教育プログラムに参加すること
  である。


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