Lafcadio Hearn "In A Japanese Garden"part3

from "Glimpses of Unfamiliar Japan" 1894
renewal!

renewal, 1998.9.2





北にあるふたつめの庭








    北側にある第二番目の庭は、わたしの気にいりの庭だ。ここには、背の高い樹木は植わっていない。庭は青い玉石が敷きつめてあって、真ん中にはちいさな池がある。この池はいうなれば湖のミニチュアであって、縁には珍しい木が植えられ、そしてそのなかには、ちいさな山と、ドワーフのように矮小な仕立ての桃や松、ツツジなどをのせたちいさな島が浮いている。これらの植物はたぶん百年以上の樹齢だろうのに、せいぜいその高さは一フィートほどしかないのだ。ところが、この庭は、庭師が意図したような見方で見るかぎり、けっして庭のミニチュア版というふうには見えないようになっている。庭を見わたす客間の、ある特定のアングルから眺めると、 この庭は、かなたに本当の島を浮かべた湖の岸辺そのものだ。まったく石を投げたら届きそうなところに、そんな景色が広がっているという感じなのだ。











池のへりのそこここに、ほとんど水面すれすれに平たい大きな石が置かれていて、その上から、あるいはそこにしゃがんで、水の中の生き物を眺めたり水草の手入れをしたりできるようになっている。。

池には、ほかにもたくさんの小さな生き物が住んでいる。あざやかな赤い色の腹のイモリ、それから、おびただしい数のちいさな water-beedle −日本ではマイマイムシとよばれている−たち。

池の岩のあいだのどこかに、ちいさなカメが一匹すんでいる。たぶんこいつは、この家の前の住人が、この庭にのこしていったものなのだろう。











    そしてまた、池には二種類の蓮が何本も生えている。この池では片方はピンク色で、もう一方は真っ白な花を咲かせる。

    蓮は、特に雨の日には、一見の価値がある。池からすっと高くのびた蓮の葉が、大きなカップのようなかたちで、ゆらゆらと揺れながら 雨水を受けている。そして水がある一定のレベルまでたまると、茎がしなって、そして大きなしぶきを立ててぱしゃっと水をこぼす。そしてなにごともなかったようにまたまっすぐになるのだ。






* ハーンは、カエルを哀れんで、ヘビにカエルの代わりにと、しばしば自分の食卓の肉を与えたそうです。それは左にみえるの蔵の石段に置かれました。

夏のはじめになると、カエルたちは驚くほどの数になり、日が暮れるとあたりは筆舌に尽くしがたいほどのやかましさになる。

時として、ヘビの大家族が(そのうちの大きいやつは3フィートほどもありそうだ)、このカエルのコロニーをおそうことがある。犠牲者はしばしばなんともいえない悲痛な悲鳴を発し、そうするとすぐさま、だれか手近にいる家のものがかけつけてやることになっている。なかでもうちの女中をしている娘は、もう何匹もカエルを助けてやっている。彼女は竹箒の柄でヘビをそうっとたたく。そうやって、くわえた獲物をヘビに放させてやるのだ。





第三の庭へ





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南側の庭へ


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