第140回GMSセミナー 日時:2026年3月30日(月)17:30- 場所:岐阜市生涯学習センター・研修室30(JR岐阜駅駅ビル東棟ハートフルスクエアG内2階) 講師:田中光宏(岐阜大学) 題目:波動乱流に関する一研究の紹介‐二重共鳴による標準理論の破綻と一般化運動論的方程式の適用可能性について‐ 概要:波数の異なる無数の波列が,系の非線形性を通じて弱いながらも相互作用をしながら共存している状況を「波動乱流」と呼ぶ. 例えば海洋波浪などはその典型的な一例である. このような波動場に対しては,波動乱流理論の標準的な手続きによって波動場の波数スペクトルに対する運動論的方程式(Kinetic Equation; KE)を導出することができ,それに基づいてスペクトルの時間発展を追跡することができる. しかし,この標準的な運動論的方程式は「二重共鳴」と呼ばれる状況が存在する場合には破綻することが知られている. 我々は10年ほど前に,密度の異なる流体が成層する「二層流体系」に対する数値的研究の過程で,標準的な運動論的方程式と矛盾するスペクトル変動が生じることを見出し,のちにこの現象が二層流体系において存在する「二重共鳴」に起因するものであることを指摘した. 今回の研究では、二層流体系の簡略化モデルを用いて、このような二重共鳴が存在する状況に対する「一般化された運動論的方程式」(Generalized KE; GKE)の適用可能性を数値的に検討した. その結果,GKEは二重共鳴によるスペクトルの異常な発展を定性的にはある程度再現することができるものの,二重共鳴点付近におけるスペクトル成長を過大評価するなど,スペクトル発展の定量的記述にはやはりまだ十分でないことが明らかとなった.