第126回GMSセミナー 日時:2024年7月26日(金)17:15- 場所:岐阜市生涯学習センター・研修室30 講師:門脇 光輝 氏 (滋賀県立大学) 題目:摂動された3次元半空間における弾性波散乱の漸近解析 概要:散乱体によって摂動された3次元半空間における自由境界値付き等方弾性波に対する定常波動方程式を考え、その解を構成する散乱波の空間遠方での漸近解析による結果を紹介する。 ここで言う散乱波とは数学的にDermenjian-Guillot(1988)とDermenjian-Gaitan(2000)によって構成されていたものであり、物理的には散乱体への入射波(平面波、さらに詳しく実体波(P波、SV波、SH波)、表面波(R波)のいずれか)に応じて発生する波(入射波の3次元半空間の境界による反射平面波は含まない)と目される。 入射波に3次元半空間の境界による反射波と散乱波を加えたものが定常波動方程式の解となる。 講演では、散乱波の空間遠方での漸近挙動は実体波由来の3種の3次元球面波と表面波由来の2次元球面波の線形結合で記述されること(正に散乱している様を数学的に示したことに相当する)、そして、この結果に基づく定常波動方程式の解の一意性とそれを保証する条件(放射条件)を紹介したい。 ちなみに、このような研究は音響波散乱やシュレーディンガー散乱に対しては多くの研究者によってなされている。 時間が許せば、技術的に問題となった点(屈折波が現れる波動伝播が持つ特異性の制御、一意性と放射条件に絡んだ表面波由来の散乱波の対処)にも触れたい。 なお、本講演は磯崎洋氏(筑波大学)と渡邊道之氏(岡山理科大学)との共同研究に基づく。