第119回GMSセミナー 日時:2023年12月15日(金)16:30- 場所:岐阜市生涯学習センター・小研修室4(JR岐阜駅駅ビル東棟ハートフルスクエアG内2階) 講師:岡 康之 氏(大同大学 教養部 数学教室) 題目:Results of existence and uniqueness for the Cauchy problem of semilinear heat equations on stratified Lie groups 概要:Stratified Lie 群上のソボレフ空間に初期値を持つ半線形熱方程式の初期値問題に対する時間局所解の一意存在性について考察する. 非線形項はベキ乗型を考える. Stratified Lie群はユークリッド空間を伸縮変換に関して一般化した群であり,ベキ零リー群の典型的な例の一つで,一般には非可換である. Bruno-Peloso-Tabacco-Vallarino(2018)は初期値の条件に有界性を仮定することにより,バナッハ環の性質を用いて局所解の一意存在性を示した. 一方で,有界性の条件を外すとバナッハ環の性質は一般には成立しないため,非線形項に対する精密な解析が必要となる. 本講演では,バナッハ環に代わる非線形項の解析手法および初期値の条件に有界性を仮定しない場合について得られた結果を紹介する. ユークリッド空間の場合にはRibaud(1998)により,フーリエ変換に基づいたparaproductを用いた結果が知られているが,一般のstratified Lie群上でのフーリエ変換は定式化されていない. そこで本講演では,フーリエ変換を経由しない方法を紹介する. なお,本講演は宮崎大学の平山浩之氏との共同研究に基づく.