第107回GMSセミナー 日時:2022年11月11日(金)15:30- 場所:サテライトキャンパス 多目的会議室(中) 講師:田中 吉太郎 氏 (公立はこだて未来大学システム情報科学部) 題目:Belousov-Zhabotinsky反応によるレザバー計算の数理モデリング 概要:機械習の手法としてよく知られるニューラルネットワークの枠組みの一つにレザバー計算という手法がある.レザバー計算は,中間層であるレザバーに物理現象を用いることができるという特徴があり,そのようなレザバー計算は物理レザバー計算と呼ばれている.しかし物理レザバー計算は現状実装例が少なく,研究が発展途上であるという現状がある.そこで本研究では物理レザバー計算の新たな試みとして,酸化還元状態が周期的に変化するBelousov-Zhabotinsky(BZ)反応と呼ばれる化学反応を駆動力とする物理レザバー計算を提案する.シャーレ上のBZ反応では,拡散の影響で酸化している部分を表す波紋がさまざまな複雑な挙動を引き起こすことが知られている.この波紋の時空間パターンを駆動力として物理レザバー計算の数理モデリングを行なった.数値シミュレーションの結果,周期的な時系列や,遅延微分方程式であるMackey-Glass方程式の解のカオス的挙動が理論上,有限時刻までBZ反応で予測可能であることを明らかにした. 本研究は,公立はこだて未来大学の豊田 和人氏,香取 勇一氏,櫻沢 繁氏,高木 清二氏との共同研究である.