第105回GMSセミナー 日時:2022年9月1日(木)16:00- 場所:岐阜大学工学部12番教室 講師:鬼塚 政一 氏 (岡山理科大学理学部) 題目:一般化ロジスティック方程式のウラム安定性とその応用について 概要:1940年に Ulamによって提唱された関数方程式の安定性の概念は、1990年代になり、常微分方程式へと導入された。大雑把には、任意のイプシロン近似解に対して、ある真の解が存在し、それらの差が有限にとどまるとき、ウラム安定と呼ばれる。この安定性は、いわゆる摂動問題の一種として据えることができるが、摂動のサイズが十分小さいとまでは仮定しない。さて、常微分方程式のウラム安定性の研究は、線形微分方程式に対するものが多く、非線形微分方程式に対する研究は進展していないのが実情である。不動点定理やリプシッツ条件などを使用した結果もみられるが、それらの多くは、独立変数の区間が限定されていたり、近似解と真の解の差が不明瞭であったり、都合の良い条件が課されるなど大雑把なものであった。そこで、2018年にPopa等がロジスティック方程式に対して、非線形特有の解の挙動に対応する条件付きウラム安定性という新たな概念を提唱し、非線形微分方程式に対する詳細なウラム安定性解析を行った。本研究では、Popa等の手法を精査・整理し、丁寧に解析することで、一般化ロジスティック方程式に対する条件付きウラム安定性の結果を得たので紹介する。加えて、リミットサイクルをもつ2次元非線形微分方程式系の近似解と真の解の関係にも触れ、リミットサイクルの近似について紹介したい。(より詳しいアブストラクトはpdfをご覧ください.)