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お知らせ
第一外科と第二外科の
統合について
全国的な外科医師不足が指摘されているなか岐阜県も例外ではなく、早急な対応が必要とされています。そこで、外科医療の効率化や地域医療の充実による岐阜県の外科医療の貢献のため、第1外科及び第2外科が協力し、2019年4月以降より新しい統合外科として歩んでいくことになりました。
岐阜大学医学部
附属病院 外科
教授挨拶
心臓血管外科 教授
土井 潔
心臓血管外科で扱う疾患の多くは胸痛(狭心症)、息切れ(弁膜症)、歩行時の足の疲れ(閉塞性動脈硬化症)などの症状を伴います。手術によって劇的な症状の改善を期待できる一方で、技量の差か最も現れやすい分野と言えるでしょう。そして心臓血管外科は太さ3 cmの大動脈から僅か1 mmの冠動脈や四肢末梢の血管までほぼ全身の血管を治療の対象とします。そのため他領域の外科(消化器・呼吸器・泌尿器・婦人科・整形外科など)と合同で手術を行う機会も少なくありません。岐阜大学の心臓血管外科チームは卓越した技術で患者さんに貢献しています。また岐阜大学では患者さんの体に優しい手術も追求しています。例えば弁膜症における自己弁温存手術や内視鏡を用いた小切開手術(MICS)などです。大動脈瘤に対する手術の多くも小さな傷(ステント治療)で行なっています。今後はロボットを用いた心臓手術も導入していく予定です。さらに心筋梗塞や大動脈瘤破裂・解離のように突然発症し、患者さんの命を危険にさらす病気もあります。岐阜大学の心臓血管外科チームは365日24時間体制で緊急手術に対応しています。心臓血管外科専門医を志す若い外科医のトレーニングも積極的に行っています。現在岐阜大学および関連施設で修練中の若手外科医は、卒業後10年以内に心拍動下冠動脈バイパス術・弁形成術・全弓部置換術などの高難易度手術を含めておよそ100例の執刀経験を積んでもらいます。またある程度手術手技を習得した後には、国内外の大きな施設への留学も経験してもらっています。心臓血管外科の醍醐味は何と言っても目の前で命の炎が消えかかっている患者さんを助け出すところにあるでしょう。もちろん夜間や休日の緊急手術など外科医への負担が大きいことは確かです。しかしながら患者さんを己の技量で救命したという経験を一度でも味わえばそれは中毒になります。私自身も最初は心臓血管外科を専門とするつもりはなく、一般外科として卒業後5年、さらに研究を3年間した後に非常に運命的な出会いを経てこの分野に移って来ました。若い外科医たちに是非とも心臓血管外科の魅力を知って欲しいと思います。
消化器外科・小児外科 教授
松橋 延壽
当科旧第2外科は昭和31年初代教授に竹友隆雄教授(京都大学出身)が就任され、その後昭和50年2代目に設立当初から御尽力された坂田一記教授(京都大学出身)が引き継がれました。それまでは当科では一般外科に加えて小児外科および脳神経外科も行われており、昭和55年に脳神経外科(初代教授:山田弘教授)が第2外科から分離されることになり、昭和63年3代目は佐治重豊教授(岐阜大学出身)が就任されました。小児外科、一般外科から本格的に腫瘍外科(消化器外科・乳腺外科)の教室と変化していくことになりました。
私自身は平成8年に佐治重豊教授の時代に入局させて頂き、医師として外科医としての基本的心構えと拡大手術・郭清、そして手術だけなく外科医としてのArt & Scienceの重要性を教えて頂きました。平成15年には4代目教授として安達洋祐教授(九州大学出身)が就任されました。その当時としては新鮮であったEvidence Based Medicineという考え、さらに学生および研修医教育への情熱をわれわれに教えて頂きました。平成19年には5代目教授として吉田和弘教授(広島大学出身)が就任されました。私自身は平成23年1月大学に大学に帰局して以来、臨床試験の重要性およびたくさんの手術(腹腔鏡手術、ロボット手術)機会を与えて頂き、さらには医師としてだけでなく、人生観、目的設定とそれに向かうためプロセスなど多くの物事に対する考え方を教えて頂き、私自身の今があると思っています。吉田和弘教授が令和4年3月に退任され、同年4月東海国立大学機構岐阜大学長に就任されることになり、後任教授として令和4年9月6代目消化器外科・小児外科教授として私、松橋延壽(大阪医科大学出身)が就任し現在は、教室の診療・研究・教育の指導を行っています。
私自身は大阪医科大学を卒業後に地元である岐阜大学旧第2外科に入局させて頂いて以来、岐阜大学の関連施設で研鑽を積んで参りました。大学に平成13年一度目の帰局の際には食道癌拡大手術・郭清、高侵襲手術によるサイトカイン血症の勉強の場を頂き、その後の大学院生時代は消化器癌における抗癌剤感受性試験およびアポトーシスを研究する機会を頂きました。また岐阜大学移転に伴い、高次救命救急センター発足時(救急災害医学:現小倉真治教授)に初期スタッフとして関わることができ、救命治療・集中治療のノウハウをしっかり習得することがきたことは術後管理の大きな自信となり、現在の周術期管理の大きな拠り所となっています。平成22年には腹腔鏡手術を勉強するため大阪医科大学谷川允彦元教授のもとで多くの腹腔鏡下胃切除術および大腸切除術の手術に参加させて頂く貴重な機会を得て、1年8か月間研修できたことは拡大手術から低侵襲手術への変革する時代についていける礎になりました。そのこともあり2012年2度目の帰局時には大腸グループのサブチーフからはじまり、岐阜大学大腸外科手術の低侵襲化と定型化に努め、安全に普及し現在では大腸癌手術の95%が腹腔鏡下手術で完遂できる時代になりました。また現在では非常に合格が厳しいとされる内視鏡外科技術認定医においても大学および関連施設から多くの内視鏡技術認定医合格者も輩出することができるようになりました。
当教室は旧第1外科と平成31年4月から診療科統合となり旧1外科スタッフと合同で診療を行うようになり、令和4年4月には診療部門だけでなく、医学部講座再編となり外科学講座消化器外科・小児外科となりました。現在では各臓器悪性疾患は東海地方の施設においても食道・胃・肝胆膵・大腸・小児ともにトップレベルの手術件数に加えて、県内ではロボット支援手術など最先端医療提供を県内随一で行っています。さらに今までに多くの全国規模の臨床試験を経験しており、外科教室でありながら腫瘍学的知識を持ち合わせていることが最大の強みであり、全国外科教室としては数少ないゲノム医療にも関わることができる重要な拠点病院として岐阜地域のために発展していきたいと考えています。また地域医師偏在化に伴い、外科医不足も昨今大きな話題となっています。現在旧1外科2外科全関連施設が合同となり2018年から岐阜外科専攻医プログラムが運用され、2019年から本格運用されていますが、所属している関連施設は全25施設になる大きな組織となり、人材確保は急務となります。医学部生および研修医に魅力ある外科医像を伝え、仲間を増やしていくことが使命であると思っています。そして医局員には医師としての社会的使命の自覚を持たせ、人として謙虚である姿勢とともに、医学への好奇心をいつまでも持ち続けられる魅力ある外科医を育て上げる教室を作ることに心がけて参りたいと思います。
呼吸器外科 教授
岩田 尚
附属病院が岐阜県の呼吸器外科診療の拠点となることが求められている背景から「呼吸器センター」が2018年に設立されました。私はそのセンター長を拝命しております。呼吸器内科、放射線科、病理部としっかりと連携し、「最先端の呼吸器疾患診療を提供し、地域医療に貢献すること」を目標に、謙虚に努力していきたいと思います。県下一の肺癌手術症例数を維持しその臨床成績を常に向上させるように尽力していきます。2004年から開始された研修医制度、そして2018年より開始された新専門医制度と若い医師の環境も急速に変化してきております。ご存知のように2年間の初期研修後、3年間の外科専門医プログラムを専攻して外科専門医となります。その後呼吸器外科専門医となるには、2年から3年の研修が必要になります。外科医の区分が細分化され専門医制度が確立した現代において、若い外科医のキャリア形成は、急速に変化しました。早くサブスペシャリティ専門医となることを若者が望み、業界もその方向性に追従しています。一方で、そのキャリア形成も大学医局主導ではなく多様性があるものとなり、選択の幅が広がってきています。医局に所属することそしてその関連施設で働くことが、若者のキャリア形成過程においてメリットがなければならないと思います。また女性が外科医として活躍できる環境作りもぜひ取り組んでいかなくてはならない課題と認識しており、女性呼吸器外科医のキャリアパスを全国に先駆けて確立していきたいと思います。全国区で活躍できる呼吸器外科医を養成するために、今まで懇意にしていただいている全国の一流の先生方との関係を大切にして、しっかりした教育体制を準備します。若い先生方が充実した呼吸器外科医生活を送り、全国のみならず世界で活躍できるように、また岐阜県の呼吸器外科の発展のために活躍できるように、皆さんと一生懸命努力していきましょう。
乳腺外科 教授
二村 学
かつて乳癌手術は一般外科医の誰もが経験する疾患で大小どこの施設で行われていました。癌の手術は局所をできるだけ大きく包み込むように切除するという不文律のもと、大きな手術をやり遂げることが外科医の最大の美徳とされていた時代に、乳癌も同じ方向に向かっていました。実際私が外科医になって最初に経験した手術は、Halstead手術(乳腺、大胸筋、小胸筋、腋窩リンパ節をすべてごっそり取り去る手術)でした。臓器によってはそう言った考えは現在も残っているかもしれませんが、乳癌の分野ではそう言った考えは既に消え去っています。整容性(外見的な美しさ)、機能(腕や首を中心とした上半身の働き)を重視した縮小手術(必要最小限の手術、時として手術を行わない選択肢もあります)、テイラーメード医療の先駆けとしてサブタイプ(乳癌の性質を考慮した分類)を考慮した薬物治療、局所コントロールの第二の武器である放射線治療などを自由自在に操りつつ乳腺疾患克服に対し立ち向かうのが乳腺外科医と考えています。乳癌は本邦の予測でも2040年までは乳がん患者数は増加すると推測されており、社会の乳腺外科医への期待は年々高まるばかりです。私たちは、そういった社会と医療のニーズに応えていけるような体制(診療のレベルアップ、研究の推進、教育による人材育成)を整備して参ります。住民の皆様に、愛され信頼される、そんな乳腺外科に育っていきたいと考えております。
小児外科 準教授
加藤 充純
2018年4月より岐阜大学で小児外科診療が再開されることとなり、赴任して参りました。小児外科では生まれたばかりの赤ちゃんから16歳未満の中学生までのお子さんの手術治療を行っております。子どもたちが今後80年をしっかり生きていける様に、成長・発達を考慮した治療を提供したいと考えております。この為、大人の手術治療で広く普及している胸腔鏡や腹腔鏡を用いた鏡視下手術を積極的に小児外科の分野に導入し、低侵襲かつ創の目立たない手術を心掛けております。実際に2018年に当施設で行われた小児外科手術の64%が鏡視下手術でした。2018年の全手術件数の16%が小児腫瘍に対する治療であったことも当大学の特徴です。これまでの岐阜県下において、小児腫瘍内科医と小児外科医が共に存在する施設はありませんでした。しかし現在では当大学の小児科と小児外科が協力しシームレスに一貫した小児がん治療を行っております。当大学では上述の小児鏡視下手術、小児腫瘍手術以外の一般小児外科疾患にも広く対応しておりますので、お子さんに手術が必要と言われた際には是非ご相談頂ければ幸いです。
診療部門案内
心臓血管外科
全身に血液を送るポンプ機能としての心臓と、全身に血液を運ぶ機能を持つ血管(動脈・静脈)の疾患において内科的治療が困難な症例に対し手術による治療を行います。
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消化器外科
食道・胃・腸、および肝臓・胆嚢・膵臓など消化器系臓器の疾患を対象として、診断・治療を行います。消化器外科では高度先進的で病状に応じた最適な外科治療を目指します。
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呼吸器外科
主に気管・肺などの呼吸器系や縦隔・胸腺疾患を中心として胸郭全般を扱います。術後の痛みが少なく回復が早い低侵襲手術を目指し、内視鏡併用手術を積極的に行っています。
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乳腺外科
乳房・乳腺疾患を中心に扱います。乳がんをはじめとする様々な乳房の病気の診断と治療をします。特に乳がんにおいては、手術療法・薬物療法・放射線治療を行っています。
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小児外科
小児に関する外科治療すべてを行います。子どもは単に大人に比べて体が小さいだけではありません。臓器の機能の未熟さや、今後の発育を見据えた治療を施す必要があります。
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