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Thai Florex Garden Ltd.

 Thai Florex Garden Ltd.は、岐阜県揖斐郡大野町の白木園芸のタイ農場で、1996年7月に訪問しました。
 主な栽培植物はバンダで、その他観葉植物も生産していました。タイ農場の農場長はItthisakさんで、色々とお世話になりました。

  
 

 栽培しているバンダは、タイの培養企業に増殖を委託しています。培養系としては、茎頂培養と無菌播種の2種類を品種によって使い分けています。培養で増殖したバンダは、直射日光の当たらないところで、ある程度まで成長させた後、培養容器から取り出して素焼き鉢に1個体ずつ定植します。バンダは着生蘭なので培地は使わないで、素焼き鉢に「置く」といった感じです。成長したバンダは針金で吊り下げて栽培します。バンダの下には、生産性を高めるために観葉植物が栽培されていました。観葉植物の主なものとしては、ドラセナ・ゴッドセファイーナ(Doracaena godseffiana)やカンガルーポケット(Dischidia pectinoides)、アデニウム(Adenium obesum)、ミリオンハート(Dischidia ruscifolia)等が生産されています。

  

 Thai Florex Garden Ltd.では、タイ国内販売用植物と日本への輸出用植物とを分けて生産しており(植物検疫上の問題から)、日本への輸出用植物はココピートなどを培土として使用し、タイ国内販売用にはモミガラ燻炭やモミガラ堆肥などを使用していました。

  

 タイの熱帯性気候を利用し、開花株になるまで年数を必要とするバンダをタイ農場で生産し、開花直前株を日本の農場で管理して開花させ、出荷販売する生産システムは、極めて効率の良い生産体系であると思います。同様に亜熱帯、熱帯原産の観葉植物が年中成長できるタイ農場で観葉植物を生産して、日本国内で形を整えて出荷・販売するシステムも同様に生産コストの低減に効果的であると考えます。
 ただし、いずれにおいても、日本国内で生産・販売する能力を持つ農家が行うことに意義があり、輸入商社がこれを行った場合には輸入したものを管理する能力がなく、安値で販売せざるを得なくなり、価格低下を招き、農業構造の破壊をもたらすことになると考えます。