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サボテン研究所(仙人掌研究所)
(韓国高陽市)

京畿道(キョンギド)農業研究所には、キノコ研究所、朝鮮人参研究所、サボテン研究所があります。サボテン研究所(仙人掌研究所)は15年前に設立された。6,400uの面積があり、4人の育種担当研究員を含む11人の研究員がおり、さらに20人の作業員が勤務しています。
サボテンおよび多肉植物の品種収集と育種研究を行っています。
1960年代に日本からサボテンの生産技術が伝わり、1970年代には京畿道(キョンギド)に150軒のサボテン生産農家があり、アメリカやデンマークなど世界30カ国に輸出されていました。当時、国際流通するサボテンの70%以上が韓国産でした。このような状況の下、1995年にサボテン研究所(仙人掌研究所)が設立されました。
立派なサボテン大展示温室がありました。そこいらの植物園のサボテン温室を遙かに上回る規模です。

  

日本でのサボテンの生産は人件費高騰の問題から次第に衰退し、韓国が種生産国となりましたが、現在では韓国も人件費が高騰しており、主生産国が中国に移り、京畿道(キョンギド)のサボテン生産者は現在15軒に減少し、その残った生産者もセダムなどの多肉植物の生産に移行しています。
サボテン研究所では、様々なサボテン品種が収集され、維持されていました。

  

  
  

韓国でサボテンの生産が高まった理由として、手先が器用であることから接ぎ木技術が確立されたことに加えて、無菌播種技術の確立によって育種が進んだことがあげられる。
接木に用いられる台木は、柱サボテンやドラゴンフルーツで有名な三角サボテンが用いられます。

接木をすることで、サボテンの成長は大きく促進されます。光合成能力を持つ緑色のサボテンでも接木したものの成長は早いとのことです。
恐らく、柱サボテンや三角サボテンの発根能力の高さと、養分吸収能力の高さが影響しているものと思います。

下の写真の黄色のサボテンは、接木をしていないために成長が遅く、20年生だとのことです。
全体が黄色で緑色の部分がほとんどなく、光合成能力が低いため、接ぎ木をしないと20年でも10cm程度にしか大きくなりません。接木の威力を実感しました。

サボテンの育種は、他の植物と同じで交配育種が主体です。サボテンは一般には4〜5月に開花し、交配を行います。結実した果実から種子を取り出して無菌播種後、生育したものを三角柱(食用サボテン品種)に接ぎ木して1年間栽培し、2年間かけて選抜します。

  

下の写真は、交配した一つの果実から得られた実生を接木したものです。カロチノイド色素の発現の変化によって、黄色から朱色、紅色、暗緑色の個体までばらついているのが判ります。

育種効率を高めるためにプールベンチでのトレイ栽培が行われていました。支柱が突き出たトレイに差してあり、培養土はまったくありません。トレイを持ち上げてみると、トレイの下には根がびっしりと成長していました。省力的な栽培方法でした。

  

ココピートバッグを用いた栽培も試みられていました。建物内でのサボテン栽培のための試験開発とのことです。

現在は、サボテンから多肉植物に転換し、世界中からコレクションを行っています。日本からも多肉植物生産者が新品種導入のために来場しているそうです。
デンマークカクタスやカランコエの育種も始まっていました。

 

韓国の農家がサボテンから撤退し、近年は多肉植物の生産からの撤退も始まっているとのことです。このことから、研究の方向性を食品加工、化粧品、都市緑化、CO2削減などに変更して研究を発展させています。
時代の流れと共に研究の内容や方向性を変えていかなければいけないのは、日本だけの話しではないのだということを実感しました。