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Joytec Plc.
Debre Zeit, Ethiopia

2007年11月にJoytec Plcを訪問しました。Joytec Plcは2004年に設立されたバラとカスミソウの切り花生産会社です。経営者はイスラエル人で、生産面積は25haです。年間のバラの生産(輸出)本数は2,000万本で、ヨーロッパが45%、アジアが50%で、日本への輸出は全体の2%とのことです。
従業員は650人ですが、バレンタインデーや母の日、クリスマスなどの繁忙期には800人を雇用しています。勤務時間は昼休み時間を含んで7:00〜16:00となっています。

Joytec Plcがある地域にはいくつかの農場が隣接して建てられており、バラ生産団地のような状況でした。

 

温室資材はオランダ製やイスラエル製を主に使用しています。

  

地下水を汲み上げて貯水池に溜めて使用していました。雨水も併用して使用しており、雨水は雨樋からゴム引きされた集水路に集められて回収されます。

 

火山礫を培地に用いたハイドロポニック水耕が行われており、養液の回収も行っていました。

 

土耕の養液潅液システム(養液土耕システム)での生産も行っており、当然この場合は養液の回収は行われず、養液供給はハイドロポニックスト同じになるため、かなり多くの養液が施与されています。土壌表面の塩類集積が見られました。

各温室上部にはミスト装置が設置されており、昼間に葉水をかけることでダニの発生予防を行っていました。

プリースマン社(Preesman)の品種展示圃場にもなっていることから、生産技術は高く評価されているものと思います。

温室で収穫された切花はオート三輪で予冷庫まで運ばれます。

 

選花、結束作業は50人が行っていました。
結束された切花は中央のコンベアーに乗せて最終調整を行います。最終調整では回転ノコギリで切花長を揃えてカットし、ラップをかけます。

 

切花の下葉取りの装置です。V字の切れ目の付いた所に切花を1本ずつ置き、逆V字の取っ手を上から軽く押さえて、茎をしごいて葉を取ります。

輸出出荷の最終段階の冷蔵庫の温度は2〜4℃に制御されており、出荷温度を下げてから輸出されます。

冷蔵庫の中には燻蒸装置が取り付けられていましたが、温度が2〜4℃で効果があるのか疑問を感じました。

冷蔵庫に保冷車の荷台が横付けできるようにピットが作られていた。

バラの生産面積が毎年500ha増加するといわれるエチオピアでは、苗生産は大きな市場です。現在6社が苗生産を行っていますが、Joytec Plcでもミニプランツの苗生産が行われていました。残念ながら撮影禁止でしたので画像はありません。接ぎ木施設では30人が接ぎ木作業を行っていた。台木としてナタルブライアーを用いて、オランダ方式のクリップを使ったミニプランツ生産が行われていました。冷蔵庫内には台木シュートが保存されていた。

 

接ぎ木したミニプランツは挿し木施設で発根させます。挿し木はココピートを培地にして行っていました。挿し木後30日で出荷されます。

 

輸出先はオランダが主体ですが、ロシアへは大輪系の品種を輸出しています。
日本の輸入会社はYMSと取引しています。日本への輸出の問題点を聞いたところ、輸出コストが高い。特にフライトコストが高い。直行便がないのが問題。植物検疫が厳しい。とのことでした。「植物検疫で燻蒸処理された場合には、輸入業者のYMSと共に原因を検証して対応してきている」との話を伺い、日本への輸出をかなり真剣に考えている様子でした。
Joytec Plcではカスミソウも生産しています。カスミソウに関しては植物検疫の問題はなく、直接購入業者と取引を行っています。品質、長さ、重量が花束ごとに記載されていました。
冷蔵庫の中にはカスミソウの挿し芽が保存されていました。

   

Joytec Plc担当者の話です。
「単純な素材生産輸出会社にはなる気はない。輸出先の需用者が希望すればその需要に対しては積極的に対応する。例えば、5色の花色ミックスで出荷を希望されればそのように対応する。」
 Joytec Plc社を離れて、近くの川を渡る時に見た光景です。川の水はかなり汚れていました。ケニアのナイバシャ湖で起きているような水質汚染がエチオピアでも再現されないことを願っています。バラ生産の経済的効率の追求と環境保護の間点が両立できないと、必ず発生する現象と言えます。