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Olij Rozen
Achterweg 73
1424 PP De Kwakel
Netherlands

2005年7月20日にHollandWeb社のMichel de Kok氏の案内でOlij Rozen社を訪問しました。
 Olij Rozen社は1991年に訪問したことがあります。当時Olij Rozen社は台木生産会社で,このような国際的な育種会社に成長するとはとても予想できませんでしたが,現在では育種,苗生産,切花生産を行う総合バラ企業ということができます。Olij Rozen社での育種は1980年代に開始され,現在では70品種以上の新品種が登録されています。Olij Rozenの強みは,育種,苗生産,切花生産を行っていることで,育成した品種を切花生産してマーケットの反応を判断すると共に,大量に生産出荷してマーケットを占有してブームを起こすと共に,苗を生産販売して切花生産者に供給できることです。

当然MPS加盟会社です。

【苗生産部門】

 環境を制御できる5haの大規模な苗生産施設を持っており,苗生産能力は年間2,300万本です。5haの大規模環境制御施設は全体が4区画に分けられており,湿度を99%→90%→80%→自然状態に調整されていました。
 苗生産施設はプールベンチを用いた移動ベンチシステムが導入されており,湿度99%の発根誘導区画を経た苗はムービングプールベンチで次の湿度90%?80%へと移動していきます。まさに苗生産工場といった雰囲気です。

 湿度99%の発根誘導室内でのドライフォッグ作動時の状態 

 右の白いカーテンの向こうは湿度99%の発根誘導室    

 ムービングプールベンチシステムを用いた効率的な環境制御

 

5haの大規模苗生産施設をプールベンチが縦横無尽に移動していきます
培地は輸出を考慮して,ココピートあるいはロックウールを用いています

生産した苗の輸出先は40カ国に及びます。
バラ苗生産会社のなかには,密閉挿しを行っているところもありますが,「密閉挿しを行うと,挿し穂から発生するエチレンによる障害(葉の黄変)が発生する場合があり,これを防止するために開放施設で湿度コントロールを行っている」とのことでした。

発根誘導区画以外の施設には補光ランプが設置されており,5.000 lux と10.000 luxの補光が行われていました。
10年程前に,シリンドロクラジウム(スソ枯れ病)による病害の蔓延や疫病の発生が問題となったことから,プールベンチは毎回高温蒸気によって殺菌・洗浄されます。

台木はNatal Briar,Inermis,R. indica Majorを用いていました。

 

大量の台木の枝が保管されています。台木は台木圃場より枝ごと切り取られた後,葉を取り除いた状態に調整され,保存されます。

 

台木の枝と同じように,穂木も品種ごとにバケットに入れられて大量に冷蔵庫に保管されていました。
穂木は,切花を採取した後,一節ごとに切り分けて品種ごとに貯蔵されています。

苗生産方法は台木と穂木品種を接ぎ木した後に挿し木する「ミニプランツ」が一般的ですが,Olij Rozen社では新しい苗生産方法として,発根後に接ぎ木を行うrooted-graftingを導入していました。rooted-graftingは台木の芽を2芽付けて挿し木し,発根・発芽したものに芽接ぎを行う方法です。

  

ロックウールキューブに台木の枝を挿し木します
当然,発根促進剤としてオキシベロンが使用されていました。
従業員による挿し木を見ましたが,挿し木の速さはとんでもない早さで,挿し穂を取り出して発根剤を基部に付け,ロックウールブロックに挿すまで,一秒たりとも手が止まっていません。挿し木に使用する培地はロックウールキューブ,ココピートブロック,プラグなど需用者の要望に従って生産されます。


【切花生産部門】

 Olij Rozen社での切花生産は6年前から始まりました。生産施設面積は6haで,年間の切花出荷量は1,600万本です。自社育成のTorero,Milano,Amandineなどの品種を生産し,アールスメアー花き市場に出荷しています。このオランダ農場の他に,ケニアにも総面積8.5haの切花生産農場を持っており,1,500万本をオランダに輸出し,Olij Rozen社でリパックしてアールスメアー花き市場に出荷しています。
 ケニア農場で生産している切花品種は,オランダのバラ生産者との競合を避けるために,オランダで生産している品種とは異なっています。オランダで生産すると収穫本数は多いものの(200本以上/u),切花長が短くなりやすい中輪のフロリバンダ系品種が選抜されています。ケニアは2000mの熱帯高地で,日射量が多く日格差も大きいことから,シュートの発生が多くても切花長が長くなり,花径も大きくなることから,中輪系品種であっても大輪系品種と同じ程度の花径になります。

 

今やオランダの切りバラ生産施設の定番の補光ランプです。一昔の明るさで6500kuxの補光でした。



温室の屋根の上にはスプリンクラーがあり,高温期には水が散布されます(当然,散布した水は回収されます)。

 最近のオランダのバラの切花生産は,ケニアなどからの東アフリカ産切りバラ輸出の影響を受けて,収量追求型から品質追求型へと変化し始めています。
 品質向上を目的に,夜温を15?に下げています。収量は下がるけれども,切花長や蕾径は大きくなり,品質は向上します。また,切花の品質向上(長さと花径)のために,暖房パイプを花首の成長にしたがって上昇させます。これによって株周辺の空気の上昇気流が生じて,病気の発生も予防できます。

 

仕立て方法はアーチング仕立てです。列中央に暖房パイプ(白いパイプ)が設置されています。
切花シュートが伸びるに従って,ちょうど花首の高さの直下程度になるように調節します。

  

収穫作業はシステム化されています。
殺菌剤溶液の入った収穫バスケットをハンギングレーンに吊り下げて収穫を行います。
収穫された収穫バスケットから,運搬車に移し替えて選花場に移動します。

   

選花場では自動選花機で切花長と蕾径で選別が行われ,規格ごとに20本ごとに自動的に束ねられてバケットに収納されます。
バケットは自動搬送機で冷蔵庫に運搬されます。



自動選花機で除外された規格外の花などの廃棄物は専用のレーンで廃棄処理されます。

 

切花保管冷蔵庫にオゾン発生装置が設置されていました。
冷蔵庫内は湿度が高く,灰色カビ病(Botrytis)が多発します。
オゾン発生装置の設置で灰色カビ病の発病が大幅に抑えられるようになったとのことでした。

 

ミニバラの育種と鉢物生産も始めていました。


【育種部門】

 Olij Rozen社で育種・登録されている品種は赤系18品種,ピンク・紫系16品種,黄系23品種,白系7品種,複色系15品種,スプレー系11品種に及びます。
 オランダの育種の傾向として,ヨーロッパでは赤バラの評価が固定し始め,Grand Prixが主力となっているため,黄色や白色に注目し始めている。ヨーロッパ全体としてもバラの花色は赤から黄・白に変化し始めているとのことです。



かなりの面積で交雑が行われていました。

 

交配・播種・選抜されたものはココピートバックを用いて栽培されています。



害虫の侵入を防ぐために天窓はアコーデオン式の防虫ネットが取り付けられていました。

 

品種展示温室には他社の品種も一堂に展示されており,他社の品種とOlij社の品種を比べながら選択することができます。
ここに来ればほとんど全ての品種特性をみることができるかもしれません。