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島袋孝栄氏のキク生産
 【キク切花生産】
 (沖縄県沖縄市)

2010年11月24日に沖縄県のキク生産を視察しました。
沖縄県でのキク切花生産は昭和60年(1985年)頃から急増し、平成20年(2008年)の出荷本数は3億1500万本(90億円)です。特に小ギクは、全国の43.7%のシェアを誇っています。沖縄のキク切花の出荷時期は11〜5月に限られていますが、12〜3月の国内で消費される小ギクの95%以上のシェアを占め、特に正月と春の彼岸の物日出荷が中心となっています。
沖縄県のキク生産農家は沖縄県花卉園芸農協「太陽の花」沖縄県農業協同組合(JAおきなわ)に所属しており、沖縄県花卉園芸農協「太陽の花」が総出荷量の約60%を占めています。

沖縄県のキク生産は露地栽培が主体であるため、夏の台風の到来で大きな被害を受けていましたが、平成11年(1999年)から導入が始まった農作物被害防止施設(平張施設)によって8月定植も可能となり、収穫期の前進化に貢献しています。

 

沖縄県農業研究センターの宮城悦子さんの案内で、沖縄市池原の島袋孝栄の圃場を視察致しました。
島袋氏は沖縄県農業協同組合(JAおきなわ)に所属しています。栽培品種は小ギクのみさき、金秀、沖の乙女などで、露地が16,000坪、平張施設が2,700坪です。平針施設では約2回の定植・収穫が行われます。栽培面積が大きいにもかかわらず、労働力は家族2名と常時雇用10名(出荷時にパート2名)で管理していました。
平張施設では12月収穫用の小ギクが栽培されていました。平張施設内は自動潅水装置や蛍光灯電照装置が設置されています。

   

平張施設の建設費用は7,200円/坪で、県全体の普及率は20%程度とのことでした。
平張り施設の当初の目的は台風被害の回避でしたが、網目の細かい防虫ネットを展張することで塩害、アザミウマ・マメハモグリバエ、ヨトウなどの被害を防ぐことができます。将来は雨除け施設に変更したいとのことでした。

平張施設では、露地に比べて換気効率が低下するために湿度が上昇して土壌が過湿気味になるため根の生育が低下し、さらに茎が軟弱気味に伸長するため、Ca欠乏症が発生する品種がみられるとのことでした。施設内に循環扇を設置することで回避できる可能性があると考えます。

露地栽培圃場には電照施設が設置されていました。電照栽培は施設園芸と考えていた私にとっては少々驚きの設備でした。
この電照施設の設置のおかげで、正月や春の彼岸という物日に合わせた小ギクの出荷が可能になっています。