

地球温暖化が我々の通常の生活を脅かし始めており、一刻も早く問題を解決する必要があります。当研究室では、
気候危機の解決に有望な太陽電池の研究開発に貢献することを目的として、
特に太陽電池材料の評価および太陽電池発電シミュレーション技術に焦点を当てて研究開発を行っています。
一方、私たちの世界は急速に変化しており、コンピューター技術、特に人工知能(AI)が極めて重要になってきています。
特に様々な研究開発や生産が、今後AIなしでは成り立たない世界が訪れようとしています。
経済産業省は、2030年にはAI人材が55万人不足するとの見通しを発表しており、AI人材が今後ますます飛躍的に活躍することが予想されています。

藤原研究室の最大の特徴は、岐阜大学電気電子コースでは唯一、全ての学生が人工知能、特にディープラーニングと呼ばれる技術を
活用して研究を行っていることです。具体的には、太陽電池材料の光学評価および太陽電池パネルの発電量評価を人工知能を
取り入れた計算工学により行っています。
当研究室の研究は、材料物理学の基礎から具体的な太陽電池シミュレーションに至るまで、幅広い分野を網羅しています。
特に、当研究室は光学測定手法である分光エリプソメトリーを使用して多くの太陽電池材料の光吸収特性の解明に
大きく貢献してきました。
→研究業績
さらに、産業技術総合研究所との共同開発により、デバイスシミュレーションソフトウェア
「e-ARC」も無料で公開しており、ソフトは太陽電池の研究に世界中で広く利用されています。
→共同研究
研究内容
太陽電池材料の評価および開発

太陽電池の潜在変換効率は、太陽電池材料の光吸収特性によってほぼ完全に決定されます。そのため、太陽電池に適した材料を見つけ、
それを用いて太陽電池を作る事が非常に重要です。当研究室では、人工知能を取り入れた評価技術により、
太陽電池材料の光学評価や材料探索を行っており、この分野で世界の研究をリードしています。
特にAI技術(深層学習)をエリプソメトリー解析に適用することにより、半導体のバンドギャップや薄膜の構造を超高速で評価する
全く新しい技術を開発しています。これにより、大量の太陽電池材料の評価を非常に効率よく実施することが可能になります。
太陽電池モジュールの発電シミュレーション技術

現在の最先端の太陽電池開発では太陽電池構造が複雑化しており、太陽電池デバイスの発電量シミュレーション技術が
極めて重要になっています。当研究室では、研究・生産レベルの各種太陽電池デバイスの年間発電量を高精度に評価できる技術を
開発してきました。これをさらに発展させて太陽電池の発電コストをグローバルに計算することに成功しました。
現在は、人工知能による解析を取り入れた計算シミュレーションを行うことにより、さらに高度なシミュレーション技術を開発しています。
近年では、太陽電池パネルは、通常の設置方法に加え、ビル壁面や農地への設置など、様々な設置方法が検討されています。
当研究室ではこれらの新しい設置形態でどのように発電するかをAI技術を活用して定量評価する技術を開発しています。