===== 要旨 ===== **要旨** 小角散乱のデータ解析は、実験データから3次元構造が直接得られるわけではないので、実験データを様々な形式に変換して回帰曲線より構造パラメータを決定する。あるいは、モデルを仮定し、そのパラメータを最適化して実験データにフィットさせることにより構造解析を行うのが一般である。その際、シミュレーション結果を2次元ないしは3次元でプロットして妥当性を検討する。 データを様々な形式に変換してプロットし、回帰分析を行うことは商用のグラフソフト :program:`Igor` などを使えばかなり高度なことも可能である。しかし、有料であり全ての人間の間で解析結果を共有することは難しい。 :program:`jupyter-notebook` はpython上で動くフリーの対話型python環境で、データサイエンスにおける強力なツールとして急速に普及している。 :program:`jupyter-notebook` はpython環境なのでファイルを読み込んで、対数を取ったり、最小自乗近似を行うなどのpython式を実行できるのみならず、 数式・テキスト入力、2次元プロットや構造の3次元モデルなども埋め込むことができる。 :program:`jupyter-notebook` では入力、出力情報も記録されるので、 :program:`jupyter-notebook` を読み込むことによって別のPCで内容を確認し、解析の流れを実行することにより追跡できる。 計算機環境の違う複数の人間でデータ解析を携わっている場合は非常に便利である。 本稿では、2019年にJohn Badger 氏によって開発された動径分布関数からタンパク質分子構造を再構成する プログラム :program:`SHAPES` による構造解析を通して、 :program:`jupyter-notebook` 利用に役立つテクニックを紹介する。 なほ、本稿で使用されたnotebook等は、 https://www1.gifu-u.ac.jp/~fujilab/jupyter_SAXS_html/download.html からでもダウンロードできる。