========================== MERGING AND DATA REDUCTION ========================== SAXSのデータセットは、複数の濃度と露光時間で収集される。ビームライン12.3.1では、プレートローディングモードで一つの試料の3つから4つの異なる露光で収集する。これは、放射線損傷をチェックするのに必要である。しかし、SECモード(サイズ排除クロマトグラフィー)では、単一の露光時間が使われるが、多くの露光が溶出ピークにわたって行われる。実験室光源を使用する際、粒子間干渉をチェックし、高散乱ベクトルおよび、低散乱ベクトルの両方でデータを収集するために、いくつかの濃度を収集することができる。すべてのケースで、複数のデータセットは、構造解析のために単一のSAXSデータセットにマージする必要がある。データセットの価値を最大限にするには、各データセットから以下すべてのSAXSパラメーターを個別に抽出する必要がある。 - 実空間と逆空間 :math:`I(0)` - 実空間と逆空間 *Rg* - 実空間と逆空間 *Vc* - Porod指数 - 体積 - d-max - 分子量 これらのパラメーターのどれか、もしくはすべてのプロットを濃度または露光時系列と比較することは、SAXS信号の不変性を表示するための直接的な方法である :file:`BIOSIS` から :file:`2SAMRR` をダウンロードしてもらいたい。これには5種類のSAXS曲線が含まれる。 .. figure:: 5-1.png :scale: 60% データを読み込み、 :menuselection:`"Plot"` ボタンを押す。自動 *Rg* アルゴリズムは、解析可能なギニエパラメーターを自動的に決定する必要がある。問題のあるギニエ領域のデータセットについては、手動による決定が必要である。 :menuselection:`[Scale]` ボタンを押して、表示されているすべての曲線を重ね合わせる(図2)。データセットのスケーリングは :math:`I(0)` を変更しないことに注意してほしい。スケーリングされていないデータセットから :math:`I(0)` が決定される。重ねあわせは合理的であるが理想的だろうか。同じ日に :file:`SAM_2` 、:file:`SAM_3` 、 :file:`SAM_4` が収集されたが、残り2つはそうではない。 .. figure:: 5-2.png :scale: 60% データのギニア領域を拡大する(図3)。ビームストップでの下がる曲率(粒子間干渉)や、上がる曲率(凝集)がみられるか。 .. figure:: 5-3.png :scale: 60% 小角 *q* 領域でデータが大きく見えるので、Kratkyプロットでスケーリングされたデータも見ることができる(図4)。この場合も、データの小角 *q* 領域が大きく見える。けれども、最小のピークのより広角側の *q* 領域ではデータはよく重なりあっていない。最悪のデータセット(図4の緑)は :file:`sam_3_merged.dat` のようにみえる。 .. figure:: 5-4.png :scale: 60% さらに確認するには、:file:`SAM_2.dat` と :file:`sam_3_merged.dat` の比率をプロットする。 :file:`SAM_2.dat` と :file:`sam_3_merged.dat` を残しながら、 :menuselection:`Analysis Tab` のすべてのデータセットのチェックを外すことで、これを行うことできる。 .. figure:: 5-5.png :scale: 60% この比プロットは、2つの曲線の違いを明確に示している(図5)。2つのSAXSデータセットが同一で、スケール因子のみが異なる場合、ほぼ平坦な比率が予想される(図6)。ここでは、比率プロット全体にわたって特徴を見ることができ、2つの曲線間で構造変異があることを示唆している。追加のチェックとして、 *P(r)* 分布を重ね合わせる(自分でやってみる)ことで見ることができる。 .. figure:: 5-6.png :scale: 60% 私ならボックスのチェックを外すことによって、 :menuselection:`collection` の残りの部分から、 :file:`sam_3_merged.dat` を除外する。我々はデータセットの減量化に2つの方法を提供する。1つは目に見えるデータセットの平均化(図7の青矢印)、もう1つは、共通の *q* 値のデータに対して中央値を取る(図7の赤矢印)を取る。明らかに、平均化は :math:`I(q)` 観測のノイズを低減するが、中央値は :math:`I(q)` セットの外れ値に対する耐性を与える。低濃度、短時間露光もしくは不適切なバッファー差分などといったいくつかの装置の偏りがあるノイズの多いデータがある場合、中央値は偏りのない信号を回復する良い方法ではあるが、 :math:`I(q)` あたりすくなくとも5回の観測点が必要である。 .. figure:: 5-7.png :scale: 60% :menuselection:`Average Set` もしくは :menuselection:`"Median Set"` を押すと、ダイアログボックスがポップアップされ、ファイル名を選択して保存する。 :menuselection:`available collection` にドロップすると、新しいファイルをダウンロードすることができる。 .. figure:: 5-8.png :scale: 60% 高角qで弱い信号を回復するために、バッファ差分前に試料の単一のSAXS測定をする。単一の測定値は高角 *q* でのデータの広い分散を示し(図8A)、高角 *q* 領域のバッファー差分ノイズの影響を受けやすい。幸いにも、バッファの5個の独立したSAXS曲線を収集した(つまり、新しいバッファがロードされ、それぞれ5回露光した。)これは通常、 :menuselection:`plate collection mode` で起こり、一連の濃度シリーズ収集ごとにバッファーを取る。次に、試料の1回のシリーズ測定から、各バッファーを引き、5つのそれぞれのSAXS曲線を得た。Scatter(図8B)に5つの曲線を重ねあわせると、その傾向情報を見ることができる。各 :math:`I(0)` で平均を取るのではなく、外れ値の影響を緩和するために中央値をとり、高角 *q* でSAXS信号を回復させる。非常に少ない点では、各 :math:`I(0)` を平均化することは、外れ値に向かって値を誤って引き出す可能性がある。