菌類を用いた害虫防除
 
 微生物防除

 今後世界中で食糧不足が問題となるであろう現在、害虫による農作物の食害は安定的な農作物の生産に関して大きな悩みの種の一つとなっています。害虫の防除においては、今までは農薬を用いる化学的防除を行うのが一般的でしたが、最近では残留農薬などによる人体、家畜、環境などに対する影響が懸念されています。その点、天敵生物を用いる生物的防除はそれらへの影響はほとんどなく、また自然の生態系を不必要に撹乱してしまうおそれも少ないと考えられています。その中でも菌類、細菌類、ウイルス類を用いての防除を特に微生物的防除と呼んでいます。
 さて、本研究室ではその微生物的防除の中でも菌類に関する研究をしています。研究に用いられる菌は昆虫病原性糸状菌Metarhizium anisopliae です。
 

 昆虫病原性糸状菌Metarhizium anisopliae (メタリジウム菌)

■ メタリジウム菌って何かな?

 昆虫病原性糸状菌の一種であり、本来は土壌に存在しています。感染すると菌は分生子の先端から分泌されるクチクラ分解酵素を使って昆虫体表から体内へ侵入し、体液中で毒素を生産したり、栄養、水分の吸収を行いつつ生長します。そして、菌の感染を受けた昆虫は結果的に死に至ります。その後、死亡昆虫の体表には濃緑色の菌糸が見られることから、緑きょう病菌とも呼ばれています(参考サイト)。

■ どんな昆虫に対して効果を示すのかな?

 アルファルファタコゾウムシなど甲虫類の他、バッタ類など、多くの広範な昆虫に宿主域や特異性を持つものが報告されています。

■ 菌類を使うメリットは?

・どこ由来の菌株かにより様々な特性をもつ。
・菌株の選択でよりターゲットを狭めることができる。
・環境、人体に無害。

 

(長谷川 啓一)
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