ニカメイガ Chilo suppressalis
 

 ニカメイガ(ニカメイチュウ、Chilo suppressalis )は温帯、熱帯を中心に世界に広く分布するイネ(Oryza sativa )の害虫です。本種の幼虫はイネの葉鞘や茎内部を食害するため茎の倒伏や不稔実等が問題となり戦後日本の稲作の最重要害虫として生態や防除法が研究されました。しかし、1970年代頃からは発生面積も減少し、1975年頃には防除は必要性がないともいわれるようになりました。その原因はニカメイガの越冬場所が少なくなったこと、稚苗移植栽培の普及、わらの裁断等、数々議論されてきました。また近年、各地域で本種が突発的に大発生し問題となりましたがその原因は分かっていません。そしてここ数年では全国の水田で個体数が激減しています。新型の稲箱施用殺虫剤の普及によるものと考えられています。
 


[写真] 幼虫はイネの茎の内部にいる。
    



イネ茎内で蛹化する。

 本種はイネ以外にも水田脇の用水路やため池などに自生するマコモ(Zizania latifolia )に寄生します。マコモに寄生する個体はイネに寄生する個体より体サイズが大きい為(牧・山下、1956;高野ら、1959;高崎ら、1969)、以前からイネとマコモのニカメイガは別の種ではないかという議論がされてきました。分類学的な違い(丸毛、1930)や染色体の違い(栗原、1930)が見られないことが報告され、小池ら(1981)は室内で行われた寄主植物選択実験や交配実験の結果F2まで得られていることからイネとマコモのニカメイガの間に生殖隔離はないと報告しています。
 

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