コムギ胚芽は、発芽に備えて活性の高い翻訳因子を多量に貯蔵しています。そのため無細胞タンパク質合成系の優れた材料と考えられていましたが、最近まで計が不安定なためにタンパク質の調製法として用いることはできませんでした。近年、胚乳から混入してくる翻訳阻害因子がタンパク質合成系を不安定にしていることが突き止められたので、胚芽を充分に洗浄したのちに細胞抽出液を調製したところ、抽出液はきわめて安定で、長時間のタンパク質合成反応に耐えることがわかりました。さらに専用の高発現ベクターが構築され、ハイスループットにタンパク質を調製できる系が構築されています。