最近の研究成果の一部 (このページの写真及び図表については、無断転載等は堅くお断りいたします)

 当研究室では、神経解剖学的研究の一環として、これまでに気管の神経支配を様々な形態学的・組織化学的手法を用いて検討してきました。

 この写真は、ジャワオオコウモリの気管の、2重蛍光免疫組織化学的手法による染色像です。左側の赤い写真では、PGP9.5というタンパク質を保持している神経細胞が強く赤く光っています。右側の緑の写真では、substance Pというペプチド性神経伝達物質を保持している神経細胞が強く緑色に光っています。右側と左側は同じ気管の試料で、2重蛍光免疫組織化学的手法を用いることで、同一試料上で2種類の物質の組織局在を検討することができます。これら写真からなにが導き出せるか、左側と右側の写真をよく見比べてみてください。PGP9.5を発現している神経細胞の全てがsubstance Pを発現しているわけではないことが分かります。このような手法で神経細胞の特徴を細かく解析していくことが、神経学的研究に課せられている一つの重要な使命です。

 この写真は、ラットの気管における神経細胞の軸索の走行や、細胞体の位置を検討したものです。左の写真aは気管全体を取り出して、PGP9.5を保持している神経を染色したもので、ホールマウント標本と呼んでいます。一つ上の写真では、気管を薄く切った標本を染色しているので、組織内における微細な分布を検討することができますが、全体像を把握するのは困難です。ホールマウント標本を用いることにより、標的器官において神経がどの様に走行しているのかという全体像を明らかにすることができます。左の図bは、右の写真aをもとに神経の走行や細胞体の位置をトレースしたものです。本研究から、気管に分布する神経の走行や分岐の様子を明らかにすることができました。

 この写真は、やはり気管のホールマウント標本から得られたものです。この研究は、気管を神経支配している脳領域(脳幹)に神経細胞に取り込まれる物質を注入し、脳の特定の領域から気管へどの様に神経が投射しているのかを検討したものです。写真bと写真cは、写真aの中の四角で囲まれた部位の拡大像で、神経終末と呼ばれている神経細胞の軸索の最末端がどの様な形をしているのかがよく分かります。

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