インターネット「旋毛虫の研究」のホームページ



Internet Review of Trichinella Research

 
                                      このホームページの連絡先 yu3@cc.gifu-u.ac.jp
                                                       岐阜大学医学部寄生虫学 高橋優三

Electron Micrograph with English caption
旋毛虫症は、人畜共通の感染症です。食肉から経口感染します。 重症感染では致死的ですので、流行地では食品衛生上、重要視されています。 日本でも集団発生した例もありますし、海外との交流の隆盛にしたがい、日本にも患者が増加する可能性があります。 単発の症例では、診断が難しく、急性期では細菌性の腸炎、慢性期ではリウマチ性の筋肉炎と誤診されるかもしれません。 旋毛虫の研究で、一般的な興味は、   旋毛虫感染により、感染防御がおこる、その機序解明のモデルとして。   旋毛虫感染により、高度のIgEの産生がおこる、IgE産生の研究モデルとして。   旋毛虫感染により、筋肉細胞の変異がおこる、その変異の機序は? などです。 寄生虫学的な興味は、    免疫診断の技術開発、    ワクチンを作って食肉用動物の衛生管理、    筋肉幼虫は何故、胃で消化されないか?    クチクラ表面の抗原性、    珍しい発育史---ひとつの宿主の中で発育史を完結する、   食道腺の外分泌物が宿主に及ぼす影響、 などです。 寄生虫学の実習の材料としても最適です。 生きた旋毛虫を学生に観察させる事ができます。 人工胃液による虫集めも経験できます。 一度マウスに感染させますと2〜3年生きますので、一年に一度の実習の時に、継代すればOKです。



         旋毛虫の研究を行っている施設名、連絡先  

         保存のstrain     日本で保存されている旋毛虫のstrain名と施設名

         TRC(Trichinella Reference Center)   旋毛虫の分類の中心機関ローマに有る。
                               Dr. Edoardo Pozioが責任者。 全世界から旋毛虫の分離株を集めている。

旋毛虫の研究の歴史:日本における旋毛虫の研究
  日本における旋毛虫の研究は、1974年に青森県岩崎村での集団発生に始まる。
    当時の弘前大学医学部の寄生虫学教授・山口富雄先生が、この恐るべき旋毛虫症が日本にも存在する事を
    初めて明らかにした。
    その後の研究成果は、山口富雄先生の著書「日本における旋毛虫ならびに旋毛虫症」
    株式会社南山堂1989年に集大成されている。



臨床

          旋毛虫症の症状、検査、診断、治療、感染経路、疫学について知りたい方は、
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発育史

          被嚢形成 新生幼虫は筋肉に入って、筋肉細胞をナース細胞に変える。
          嚢壁は、ナース細胞と線維芽細胞によって作られる。 



旋毛虫の分類

         旋毛虫症をおこす旋毛虫として、
             Trichinella spiralis、
             Trichinella britovi、
             Trichinella nativa                Trichinella nelsoni 
              Trichinella pseudospiralis
          が知られている。
          日本で分離された岩崎株と山形株はTrichinella britoviである。Pozio、斎藤、山口等が発表予定。

        旋毛虫の分類について、詳細を知りたい方はここをクリックして下さい。



生理・生化学

脱皮  腸管に寄生している時に3回脱皮をする。 新生幼虫はL1である。感染能力を持つ被嚢幼虫もまたL1である。
  
食道腺顆粒 食道の周りを取り囲む外分泌腺であり、被嚢中にも徐々に分泌されるが、感染初期には、大量に分泌される。

クチクラ   クチクラは、細胞外物質であり、虫体の最も外側の表面を覆い、虫体の外部刺激からの保護と虫体成分の漏出防止に役立つ

ヘモリンフ  旋毛虫の体腔液はヘモリンフと呼ばれ、 ヒトの血液、リンパ液に相当するものと考えられている。



免疫

抗原

              旋毛虫の特異抗原は幼虫の食道腺の外分泌顆粒成分である。これは分泌されたあと一部は幼虫の体表に付着し、
              一部は宿主の循環系に出て抗原として働く。
    
              旋毛虫の抗原の 詳細を知りたい方は、ここをクリックして下さい。

免疫反応

               旋毛虫感染により宿主は強い免疫反応を示し、再感染は困難となる。
                      このような感染防御は、多重感染を防ぎ、宿主が肉食の動物に
                      食べられるまで生きる事につながるので、旋毛虫の種全体としては有利に働く。

               旋毛虫の感染に対する宿主の免疫応答、感染防御、モノクローナル抗体などについて知りたい方は、
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免疫診断

               免疫診断の方法、(ELISA、組織化学的な方法など)、について知りたい方は、
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形態

           線虫の一般的な構造を有する。すなわち体壁で囲まれた偽体腔の中に消化器と生殖器があり、
            それらの間隙にヘモリンフが存在する。
            体壁は外から内に、クチクラ、皮下細胞、筋肉細胞が重層して形成されている。
            クチクラは皮下細胞で合成された細胞外物質であり、寄生虫を皮膚のように物理的に保護する。 
            皮下細胞の核は側索に存在する。
       
            幼虫、成虫、嚢の形態の詳細を知りたい方、写真を見たい方は、ここをクリックして下さい。

形態研究の方法

           旋毛虫成虫組織の超薄切片の作製
           旋毛虫成虫のクチクラは固定液、そのほかの試薬を通すので、そのまま電顕や光学顕微鏡用に試料作製できる。
                      Takahashi et al. Japanese Journal of parasitology, 38, 285-289, 1989
                       Hematoxylin and Eosin staining profile of adult worms of Trichinella spiralis.



遺伝子

           食道腺顆粒抗原の遺伝子 旋毛虫に一番重要な抗原である食道腺の外分泌顆粒の遺伝子

           遺伝子の多型性  遺伝子の多型性を利用して分類の基準とする



実験方法

           実験感染、虫の集め方、抗原の集め方などを、知りたい方は、ここをクリックして下さい。