甘南美寺のなぞ?


 私は脳の脂質代謝と学習記憶との関係を研究テーマの一つとして研究してきていますが、今回縁あって大分医大から岐阜大学工学部生命工学科に移りまして、2000年4月から岐阜に住んで(単身赴任)おります。こちらにきて、最初に観光に行ったのは、なんといっても金華山でしたが、そのあと行ったのは、岐阜大学から北へ16Kmほどいった山間にある伊自良湖というきれいな湖でした。(写真1)
大分にいた頃、やはり車で20分ぐらいで着けるところに志高湖という湖があったのですが、見た感じそっくりのところでした。
 

 その伊自良湖のすぐそばに、なにか由緒ありそうな古いお寺がありまして、それが甘南美寺です。
初め訪れた時、なんと甘美そうな珍しい名前のお寺だろう、と思ったのですが、そのときは、何と読むか判りませんでした。案内看板もでていませんでした。ただ、私の頭にすぐ浮かんだのは、「カンナビジ」でした。それは、私の研究分野の最近のホットな話題の一つが、実は生体内マリファナであるアナンダミドなどのカンナビノイドという麻薬物質であり、そのことが頭にあったので直ぐに「カンナビ」がでてきたわけです。でも、まさか、ね、と思っても、すごく気になり出しました。知り合いに聞きましたら、一般には「かんなみじ」というらしい、のですが、インターネットで調べてみると岐阜県のマルチメディア平成の風土記には「かんなびじ」と振りがなをうっているところもあり、私個人としては「かんなびじ」と呼びたい感じです。このカンナビノイドに詳しい研究者にこのお寺の話をすると、大変喜んでくれました。その名前の漢字といい、何か引かれるものがあるです。
 そのあと、なかなか再度訪問する機会がなかったのですが、8月の御盆休みの猛暑の中、写真をとるべく再訪しました。
 お昼頃、岐阜市内は39度もあろうかという猛暑でしたが、甘南美寺の境内は爽やかな風が吹き、大変涼しい感じのするところでした。こんこんと清水の涌く井戸もあり、大変気持ち良い所です。案内所があって、若い感じのお坊さんがおられたので、由緒等を書いたパンフレットがあるかどうか、聞いたら、そんなものは無い、という大変つれない返事。それ以上名前の由来を聞き出す意欲がそがれ、もうちょっと宣伝する気が無いのかね、と捨て台詞も言いたくなる感じでした。普通それなりに古い寺には由来等を書いた案内板ぐらいあるのですが、確かに、境内のどこにも、それが無いのです。本堂には、由緒ありそうな大きな絵馬などが掛かっているのですが、文字は全く読めないくらい褪せていて意味不明でした。お寺の山門にはよくある 阿吽の2体の仁王像が立っていました。今にも朽ち果てようか、というくらいの古さです。ますます気になるお寺です。(何か隠してんじゃないの、って)
 お寺の入り口近くには、綺麗な池があり、鯉等が涼し気に泳いでいました。その池の中程には小さな祠があり、覗いてみると弁財天が祀られていました。あとで調べてみると、岐阜県観光情報によると美濃七福神というのがあって、その一つがなんと伊自良村甘南美寺の「恵比須」とあるではないですか!でもここの池には弁財天があるんです。あるいは、本堂の奥の方には恵比須さんがいるのかな? これはまだ未確認です。
 このようななぞを残しながら、撮った写真を下に御覧頂きます。また、ついでに、ちょっと蘊蓄をたれると、カンナビノイドというのは、大麻にふくまれる多くの種類の化学物質の総称で、大麻のことを Cannabissativa といいます。その一つ、アナンダミド というのは、arachidonylethanolamineamide という脂肪酸アミドの一種で、その名前 アナンダミド はサンスクリット語でアナンダという「至福」という意味の言葉 からきたと言われています。実際動物の脳の中にも存在しまして、最近では記憶や学習、脳の病気にも関係するとして、注目されている化学物質です。勉強してみたい方はここをクリックして御参考に
 甘南美寺の名前といい、伊自良(いじら)湖といい、なにかインド方面の言葉を彷佛とさせる名前がでてきます。(もとはサンスクリット語からきたのじゃないかな?)
 
iriguchi fukin no syashin desu
写真2
伊自良湖の方から歩いていくと、このような山門が見えてきます。山門までの中程に赤い橋が見えますが、これが、鯉のいる池に掛かる橋で、池の中にある祠に弁財天が祭られており、そこをこの橋を渡って見に行けます。
ssanmon fukin no
写真3
山門の手前に、「甘南美寺 名勝」と書いてある塔があるだけ。旗には、南無観世音菩薩 と書いてある。中には観音様が祀られている。この横に有名な桜の木があり、桜の季節には人が多いという。
ido no hitotu desu
写真4
清水から湧き出る水が、小さな滝を作っている。いかにも涼し気。しばらくここにいると、市内の暑さを忘れます。

写真5
実は、この湧き水の井戸、甘南美寺の井戸 ということで、「カンナビノイド」 の洒落のつもりで出したいと思い、この写真を撮ったのです。 これが岐阜の カンナビノイド。でも普通の清水です。。。ふぅ・・^^;)
oku no inn desu
写真6
奥の院。白華山 甘南美寺 というのが正式の呼び名。この中に、千手観音 があるらしいが、未確認。覗いても良く見えない。ますます奥ゆかしい。

(2000.8.13 記)デジカメは、Epson CP-800S。