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若井研の提供するエネルギー・環境問題入門


目次 1.エネルギー事情 2.大気汚染 3.乗り切る 4.温暖化 5.原子力・核融合 6.新エネルギー 7.車技術 8.COP3 9.私たち 10.文献,WebSite



9.私たち個人で何をすべきか

|車社会| |電気器具| |ガス器具| |通学通勤| |勤務先・学校|

 以上のように、すでに手遅れとも言える状況で私たちは少しでも悔いが残らないように生きて行くためには何かできるのでしょうか?救世主が現れるのを贅沢三昧の中でただ待っているだけなのでしょうか?塵も積もれば、と言う言葉はこの場合死語かもしれませんが、3章ですでに少し考えたのですが、ともかくやらなくてはならないのだから、ここではもっと各論を述べましょう。そんな程度では無理と考えるか、免罪符として試みるか、希望をもって実行するか、あなたの判断にかかっています。マザーテレサの小さな運動が世界に広がったように、あなたと同様に小さな運動をする人がきっと他にも居て、点が線となり、面となる日がそれほど遠く無い将来に来るかもしれません。ともかく考えてみましょう。
 以下のような項目で考えようと思いますが、定性的な話では信頼性が乏しいので、できたら定量的に示すことができるように、計算したり実験してから示したいのですが、なかなそういう時間がとれませんので、時間の猶予をください。
 責任転嫁はいけませんが、当初この省は私の研究室の学生が卒論の合間に何かできることを考えて調べ、それを掲載するつもりでした。それから何年も経ちましたが、なかなかそういう企画がうまく行きません。学生諸君も、結構忙しいのです。

 
9.1 車社会の中で

 上述のように執筆を計画していますが、なかなか進みません。
 ただ、言えることはあなたの運転の仕方30%程度は燃費を稼ぐことが可能で、その結果としてエネルギーの無駄な消費を減らし、炭酸ガスの排出量も減らすことができます。
 さらに、自分の車の燃費を稼ぐだけでなく、ほかの車の燃費を稼ぐためにターンシグナルなどを適切に出すことでもかなり目的を達成できるものです。
 もっと言うなら、歩いて行ける範囲、自転車で行ける範囲に車を使わないということにすれば相当問題解決に近づけるでしょう。 COP3 の達成目標のうち、車の責任を十二分果たせると思います。
 「そんな格好の悪いことはできない」と思う人もいるかもしれません。そんな無駄な時間は使えないという人もいるかもしれません。でも、格好のためや自分の余暇をわずかばかり削るのを惜しんだために、50年後という、子孫の将来を摘み取ってしまうことを恥ずかしいと思わない方が、大きな問題です。

free move distance versus speed



 上のばかでかい図は、ブレーキをかけることで車が持つ運動エネルギーをいかに失うかを可視化したものです。ちょっと理論的になりすぎるので、詳細は
別ページ(まだ完成していません)に譲るとしてここでは結果だけ見てください。図で μa とは車の空力抵抗の程度を示すもので、セダンの自家用車ならほぼ 0.002、バンやトラック、バス類に近い形なら 0.003 程度と思ってください。μr はタイヤと道路で発生する転がり摩擦に関するものです。アスファルトとふつうのタイヤなら 0.01-0.015 程度と思ってください。W(式では G) は車重(kg)です。A は車を正面から見たときの面積(高さx幅)です。図の見方ですが、たとえば時速40kmの上を見てください。典型的な例(1tonの車中でセダン、道路条件は良好)は赤線で示してあります。クラッチを切る(オートマチックならニュートラルに)と、その後惰性で走れる距離(約460m)。したがって、信号やカーブでブレーキをかけると、惰性でこれだけ走ることができたものをみすみす失うことになります。たとえば通学や通勤で車を利用している人は、ブレーキをかける回数とそのときの速度を覚えて置いて、この図から損した距離を計算してみて下さい。10km の通学で10回そういうブレーキをかけたとしたら、4.6km損したことになるのです。同じ道を時速60kmで走っていて同じブレーキをかけたとしたら、8.1km程度損しますね。でも、これは時速0kmまでじっと耐えて惰性走行した場合の距離です。大変時間がかかります。その時間を計算すると、次の図のとおりになります。時速40kmでは止まるまでに、約90秒かかります。60km/hでは約2分です。つまり、これだけのエネルギーを回収するには、その信号に到達する90秒(あるいは2分)前に、到達した頃に信号が赤になるということを予知しなければならないことになります。これは私も耐えられません。ですから、まず時速40kmのところは40km/hで走ることです。そういう制限速度を無視して走る車が多いですが、たとえば通常60km/hで走っている人が有るとします(残念ながら、岐阜ではそういう人が非常に多いと思います。たとえば、制限速度の異なる道が併走するところが有りますが、私が高速側を制限速度=50km/h で走っていると、後ろの車が並行した低速=40km/h の道路に移って、私をあっという間に抜いてゆきます、遙かに60km/hを越えています。これは珍しい現象ではありません)。そうすれば、ブレーキをかけたとしても、810-460=350m 得します。上述のように10kmで10回こういうことが有れば、10kmの間に3.5km稼ぐことになります。この場合、信号直前での時間の損は有りません。時速40kmで走った時間(15分)と時速60kmで走った時間(10分)の差が燃費を稼いでいます。5分も無駄にできるか、という声が聞こえてきますが、もともとその5分は不法運転(速度違反)して稼いでいるので、まっとうなものではありません。さらに、空走のテクニックを駆使すれば、一層燃費を稼ぐことができます。赤信号なのに、アクセルを踏んだまま停止ラインに達しても、青の点滅になったときからクラッチを切って(ニュートラルにして)進行しても、その交差点は次に青信号にならねば走れないのですから、そうすべきですね。こういうことが上述の例の10回について、平均的に100m前(電柱間隔で3-4本分)で気づいたとしたら、これでも1km稼ぐことになります。この100m走行するための時間はわずか10秒で、そのときの時速は約33km/hに落ちています。後続の車も、これなら耐えられます。曲がり角も、同様に考えてください。高速で進入すれば、曲がりきれないためブレーキを踏み、それだけロスが大きくなります。
 ここで、オートマチック車に乗っている人は(どういうわけか、日本はほとんどがオートマチック車です)、ニュートラルにしなくてはならない、ということで大きなハンディーを背負うでしょう。走行中にニュートラルにすることなど、車を作る側は考えても居ませんし、慣れない人がこういうことをすると、事故を起こす可能性が非常に高い。それなのに、ニュートラルにしましょうとはとても、言えません。流体的オートマチック車は、マニュアル車あるいはメカニカルなオートマチック車に比べて15-20%燃費が落ちます。これだけでも、省エネから考えたら無駄なことをしていることになります。ヨーロッパでは燃費を気にするので、少々振動が多くてもディーゼル車を選ぶように、変速機についても、燃費の良いマニュアル車ばかりです。オートマチック車は地球の温暖化を促進しています。そのオートマチック車は、上述の省エネ運転ができないのでしょうか?そうではないですね、上述の、遵法速度運転をすれば、画期的に燃費を稼ぐことができますし、ニュートラルにするほどではなく、アクセルを戻すだけでも、相当燃費が稼げます。ニュートラルにすることとアクセルを切ることの違いは、エンジンが車軸につながっていて、車の運動エネルギーがエンジンの摩擦仕事、すなわちエンジンブレーキに使われるか使われないかの違いがあります。しかし、アクセルを踏み続ければ燃料が出続けますが、アクセルを戻せば今の車はフューエルカットで燃料を出しません。しかも、アクセルを踏んでいるときと踏まないときでエンジン回転数と車輪の回転数の比が変わります。踏まないときはエンジンの回転数が少ない方になります。そんなわけで、オートマチック車も、それなりに省エネ運転にはなります。腕に自信のある人は、今の車を乗りつぶしたら、是非マニュアル車にしましょう。あるいは、もしメカニカルオートマチック車が有れば、それにしましょう。メカニカルオートマチックとは、CVT と言われているものです。ベルト式とトロイダル式が有ります。流体式よりは動力伝達効率が良いはずですが、その伝達効率がなかなか入手できないので、どれだけ良いとここで記述できないのが残念ではありますが。
 さて、マニュアル車の場合の燃費の稼ぎ方で、もう一つ。極力ハイギアを使ってください。40km/h で走行するときに 5速なんて使えない、という人が居ます。メーカーやディーラーでもそう言うでしょう。でも、全く問題有りません。一定速度で走るなら、是非、5速で走ってください。
 また、ギアのシフトアップは早め早めにしてください。それでは、加速がつかない、と言いたくなりますね。それに対応するためには、アクセルの踏みこみを多くします。一般にはアクセルの踏み込みすぎは燃費を落とすということになっています。でも、常にそうとは限りません。むしろ、加速ではハイギアでアクセルを踏んだ方が良いのです。ただし、クラッチ合わせのタイミングが遅れすぎるとロスが多くなります。クラッチ断のときにアクセルを深く踏んでいる分、ピストンやクランク、はずみ車類が運動エネルギーを獲得します。つまり、エンジンが空ぶかし状態になります。それをしないために、てきぱきとクラッチ操作をしてシフトアップする必要があります。一番良いのは、アクセルを全く動かさないでクラッチとシフトアップをスムーズにできる技術です。そう言う私は、実はときどき、交差点でがりがりとやらかしていますが、一年でほんの数える程度です。
 オートマチック車は、変速機のエンジン側と車軸側の回転比が大きいときは損失が非常に大きい(回転比が同じになるときも急に効率が落ちます)ので、急加速は禁物でしょう。あなた任せのオートマではありますが、省エネのためには介入できる限り介入して努めることになります。
 最後に老婆心ですが、是非、省エネ運転に気を取られていて事故を起こさないでください
free move time versus speed


9.2 家庭の電気器具の利用では

 以下すべてに共通することですが、ともかく新しく電気器具を購入するときは、その電力に相当する古い器具を廃棄するとき、という原則を作ることです。たとえばクーラーを増やしたいというのは、経済的余裕がでてくれば、誰もが望むこと。たとえそうしたとしても、是非、同時使用の部屋を増やさないことです。最終的には、一ヶ月の電気使用料金が毎年減る方向に努力をすることです。
 冷蔵庫のような、発熱量の大きいものについて、冬は熱源だから暖房になるものの、夏は部屋の温度を上げますから、クーラを使っている場合は余分に稼働させることになります。ですから理想的には、夏は冷蔵庫や大きな発熱電気製品の有る部屋はクーラと隔離し、隔離した部屋はなるべく風通しを良くすることです。キッチンと居間が一緒になっている部屋も多いでしょうが、そういう場合は居間とキッチンとの間にカーテンなどを置くことで効果が出ます。

 
9.3 家庭のガス器具の利用では

 電気製品でも示したのですが、夏はクーラの有る部屋と隔離すること、それではキッチンが暑くて困るという設計の場合は、きちんと燃焼後の熱いガスが部屋にこもらないように、フードをきちんとつけて換気扇を有効に使えるようにすることです。冬は、燃焼後のガスは暖房代わりにはなるのですが、有害ガスが出ている可能性が有るので勧められません。昔のだるまストーブ、石炭ストーブは煙突を熱交換器として有効に熱を回収していました。このような構造にするのが望ましいですが、そんな設計をしている家は多分今時、日本中探しても無いでしょう。
 つまり、フードで集めた高温燃焼ガスを夏はそのまま換気扇を通して室外に排出、冬は煙突のような熱交換器を一度通してから換気扇で室外に放出、という設計です。
 こういうこでどれだけ効果があるか、まだ実験していませんが、実験協力者が現れたら是非一年かけて試したいものです。

 



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