
| 研究 内容 |
デルタエンジン | 省エネ運転技術 | 最適動力システム |
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- さあ、ダウンロードしよう !! (もちろん、フリーウェアーです)
若井研ファンのみなさん、ついにこのプロジェクトメンバーが手塩にかけた、ドライブシミュレータによる省エネ運転学習システムを公開するに至りました(2002.2.9)(とは言え、本来は教示システムを目指したのですが、手が込むということで断念、自ら学習してもらうという形になりました)。ダウンロードできるプログラムは 2種類それぞれ日本語版と英語版があります。英語版(もうしばらく公開まで時間を下さい)は英語のページからダウンロードしてください。それぞれの一種類はパソコンのキーボードをアクセル、ブレーキ、ギアーシフトレバー、クラッチにあてがって、誰でも簡単に使うことができるバージョンです。ちょっと慣れれば、パソコンが苦手な人でも十分楽しみながら省エネ運転がどんなものか学習できます。ただし、エンジンの知識や力学の知識ががある程度あると、本当によく理解できます。説明書の中の言葉など、申し訳有りませんが結構専門的になっているところもあります。もし、「それは苦手だ」という人は、誰か物理に明るい人、機械に明るい人に説明を求めてみてください(メールでの質問も受けています)。もう一つのファイルは、より現実感を味わいたい人向けです。マイクロソフトのステアリングホイールとブレーキペダルを用意してください。それぞれ下から選んでダウンロードしてください(いずれも 1.5Mbyte 程度ですから、電話モデム回線でもちょっと我慢すればダウンロード可能です)。
なお、このソフトが動くためには、以下の環境が必要です。そのほか、 CPU や VRAM などにもある程度の性能が無いと、動きが鈍くなる可能性があります。
- DirectX 8.0以上
- Microsoft Windows 98SE / ME / 2000 / XP
キーボード版
ステアリング・ペダル版
ダウンロードは、上の写真か文字(キーボード版とかステアリング・ペダル版の部分)にカーソルをあてがい、手のマークが現れたら左ボタンをクリックしてください。すると保存先を指定する窓が現れるので、保存先フォルダーを選択して保存してください。ダウンロードしたファイルは自己展開型なので、Cドライブに「Driving Simulator」というホルダーを作ってそこに展開してください。一度展開すると、その中にもう一度自己展開する exeファイルがあります。それも展開してください。それらを展開したファイルの中に MSword のreadme.doc ファイルがあるので、かならず読んでください。使い方が書いてあります。ただし、このソフトをみなさんのパソコンに展開したために、パソコン自体に何か不具合が起こっても(いつのまにかウィルスがくっついていたとか)、当方としては何の責任も取れません、その場合はご容赦下さい。なんらかの方法で、ダウンロードしていただくファイルが改ざんされる可能性が無いとは言えず、それを常にチェックする訳にも行かないからです。もし、ダウンロードはしたいがそれが怖いという人は、Mail to WAKAI Laboratory 宛にメール下さい。
楽しみ方の例として次項の要領を守った場合と反した場合の比較をしてみて下さい。また、慣れてきたら、是非画面にある方向指示標識(大きく作ってあるので見やすいはずです)にしたがってゴールまで行くルートで最高燃費に挑戦してみてください。あるいは、乗用車の燃費を決める 10・15モードを別に示しています(現在準備中)が、それに合うように運転して、一般の車と比較してみてください。デフォルトの車は大衆車クラスになっています。自分で Car.txtのデータを書き換えて新しい車を作って、それで 10.15 燃費の良い車はどんなものか、検討するのもおもしろいでしょう。以下の箇条書きの要領のうち 灰色の字 は、なぜその要領が燃費に良いかについて、かなり専門的な解説をしています。機械工学などを学ぶ諸君は、ぜひ理解していただきたいことですが、一般の方は、とばしていただいて結構です。
このシミュレーターで、法規を逸する走り方(信号が黄色でもつっこむとか、カントリーサイドでは速度制限にかかわらず、??十km/hが良いとか)が燃費を稼ぐことがもしわかったとしても、決して道路交通法を破らないでくださいね。安全運転は絶対で、その次に燃費を気にするようにしてください。ゆとりをもって運転することをまずモットーとしてください。ほかの車の状況にも気を配る気持ちも大事です。自分だけの燃費が良くなっても、意味がありません。
- 省燃費運転の要領
- 車速は極力一定に(実は、制限時速を少々超える程度に加速しておいて、制限時速を少々下回る速度までニュートラルあるいはクラッチ断で走ることを繰り返すと、燃費は伸びます。この間隔があまり短いと、加速ポンプが過剰に働き燃費は落ちます。また、この間隔が長いと時間軸上ではジグザグ運転になり、後続車両が居れば明らかに迷惑な話になります。路上でこの運転をするとしても、後続車に迷惑をかけないように運転してください)。
- 加速はゆっくりという話も有るようですが、実は適度に速く。適度とはどれぐらいか、表現はできないが、要はエンジンの部分負荷状態を不要に長く続けないこと(部分負荷は、エンジンの摩擦損失が相対的に増え、熱効率が悪化します)。
- シフトアップは早め早めに(ローギアでのばすということは、同じ加速をする場合は回転数で必要な仕事量をかせぐわけだから一回あたりの仕事は少なくて良く、これはエンジンにとって低負荷で良いことになり、熱効率が悪い領域を使うことになる。さらに言うなら、エンジンのピストンリングの摩擦仕事を何度もさせることになり、損する。さらに損なのは、エンジンの回転部分としてのピストン、クランク、クランクピンあるいははずみ車の回転数を上げることになり、それらの質量を加速しなくてはならないが回転数が高ければ高いほどそれは大きいエネルギーを必要とする。そのエネルギーはロー=一速のとき、ほぼ車重に匹敵するほどであるから、二台分を加速しているようなもの。そのエネルギーは、一般に回収できないで損失になる)。たとえば 2速へは 10km/h ゆっくりした自転車程度で、3速へは速い自転車程度の 20km/h あたりで、4速へは40km/hでは既に入っている状態で、また 40km/h 定速走行なら 5速で、という具合です。これがより効率の良い全負荷に近い状態でエンジンを回すコツです(オートマチック車は自分ではコントロールできないですね)。なお、こんな運転したらエンジンが壊れる、という人も居ましょうが、大丈夫ですよ、よほどのことが無ければ。でも、もし痛んでも責任はとれません。
- 市街地(発進・停止、信号、右折・左折などが頻発)では 最高速度は 40km/h 程度にした方が良い(減速するエネルギー回収ができない以上、加速は極力少ないのが良い、もともとほとんどの市街地は 40km/h ですから、敢えてこの速度を勧める必要はないですね)。
- 前方信号が赤など、止まらなくてはならないことが確実なら、アクセルを戻しギアをニュートラルにする(マニュアル車ではクラッチを切る)。そして極力空走をする(空走した分はそのままリッターあたり走行距離に上乗せされる)(上述通りで、運動エネルギーをブレーキ時、十分回収できるのならこんな必要はない。ハイブリッドカーを含む電気自動車ならそのエネルギーを50%程度回収できるが、それでも50%は失うのだから、ブレーキは損。なお、ブレーキをかけないことによる燃費の伸びを定量的に見てみたい人は、ここをクリックしてみてください。また、その減速にかかる時間を定量的に知りたい人はここをクリックしてください)。実際の運転でトライするときは、事故に気を付けてください。後続車に叱られないように、常にバックミラーで確認してください。
なお、エンジンブレーキで進んでも、停止すべきところまでの距離が短くて、まだ結構な速度で走ることができるという場合は、エンジンブレーキで進んだ方が燃費は良い(今の車はエンジンブレーキ時、アイドリング回転数よりまだかなり高い適当なエンジン回転数に下がるまでは、燃料カットになるから)。- カーブに入る前もできたら後続車の居ない(このシミュレーターでは全く居ない)ことを確認して、車速はフットブレーキを極力使わないで減速(これじゃスピードがありすぎて曲がりきれない、という危険な運転を推奨しているわけではないですよ、予め遠くからクラッチを切ってあるいはニュートラルでカーブに進入するということです)。
- 高速道路で100km/hを超えるのは燃費に悪い(エンジンの熱効率は何度も示したように部分負荷では悪化、したがって高負荷を要求する高速での熱効率は、実は高い。それなら100km/h で走ったほうが良いということになりそうですが、一方で車にかかる走行のため発生する抵抗のうち、空気抵抗は速度の自乗で大きくなるので、高速になればなるほど同じ距離走るのに急激にパワーが必要になる。したがって、低速ではエンジンの熱効率が悪く、高速では抵抗が大きく、その途中でちょうど良いところが存在することになります。それが経済運転速度。それがどこかは、種々の条件に左右されるから具体的には車を指定しないと決まらない。流線型なら高速側、背の高い箱形、あるいは SUVのような形は低速側に最適点が来ます。しかし、ほとんどの車は 100km/hでは明らかに最適速度を超えています。ましてや、100km/h を超えるのは燃費悪化が甚だしい。だから、高速道路では、 80km/h 程度で走るのが燃費に良いという説がでてくるわけです。)。
- 空ぶかしは禁物(先ほどのように、走らなくてもピストンなど回転する物体の回転を上げるために、車重程度を動かすに相当する。さらに実は加速時は、負荷にかかわらず燃料噴射量が大幅に増す)。
- これ以下は、シミュレーターに高度変化が仕組んでないから試しようがないので、実践においての参考要領。
上り坂も、ノッキングが起こらない限り極力高いギアーで上る。ただし、アクセル全開に近いと燃費は下がっているかも。- 下り坂をどうするか? 当然クラッチを切り(ニュートラルで)、降りるのが燃費に効く。が、クラッチを切るとエンジンブレーキは利かない。私の場合、マニュアル車なので、エンブレと空走を多用する。もちろん、クラッチペダルがすり減る可能性がある。私はしかしいまだにクラッチ板を取り替えたことがない。みなさんが「それなら」と、こういう走りをして問題が起こっても、責任がとれません。あくまでも安全運転第一でお願いします。
という程度でしょうか。ともかくも、速度はセーブ、極力高負荷(なるべくアクセルは踏み込む方向で、吸気圧は高くというとということはスピード違反になる、と言いたいかもしれませんが、そうではなくハイギアにして負荷を高めるということ)を利用し、部分負荷は極力少なく(低い吸気圧)、という心がけで。エンジンの回転数を極力少なくし、後続車に迷惑がかからない限り、クラッチを切りニュートラルにして空走する。この空走距離は、一分あたり数cc のアイドリングのための燃料で走ることになるので、ほとんど只でその距離分燃費が伸びるわけです。一回のカーブで、200m手前でクラッチを切り空走に移ると、20秒で曲がり角に達します。一方アクセルをそのままにして 40km/hで進入したら、曲がり角までに要する時間は 17秒ほどで、その差はわずか 2-3秒といったところです。それで200m ほど燃費を稼ぐことになります。これで 通常 1リットルで 10km 走る車が市街地の近くで1kmに一回の頻度で信号停止や右左折を繰り返す必要があったとしたら、2000mかせぐことになり、 2割アップです。空走距離をもう少し伸ばし、さらに交差点が多いところなら、30-40%稼ぐ場合も出てくるわけです。このシミュレーターで、真偽のほどを試してみてください。結構、気を遣う運転です。再三もうしますが、事故が起こってはおしまいです。簡単なことから始めるなら初めて見てください。私は、初心者マークのときから始めましたから、ぎくしゃく運転は後続車がきっと寛大に許してくれたと思います。
- シミュレーターのエンジン出力の計算方法
(展開ファイルの Car.txt を変更する時は以下を読むとわかりやすいかも?でも、内容は専門的なことにどうしても深入りしますよ)
まさに、熱力学的にエンジンの回転するのと同じようにシリンダー内の圧力、温度などをリアルタイムで計算しつつ出力を求めています。アクセル開度がその計算条件を決めるわけです。そのとき、圧縮、膨張過程は専門的な言葉ですがポリトロープ指数 n を 1.25 と大胆に入れています。圧縮中と膨張中の n を変えることも可能ですが、ここでは簡単のため同じとしました。したがって、圧縮過程は結構放熱があることになるし、燃料も重いものを想定することになります。一方膨張過程は、n=1.25とは、ガスが熱解離していて再結合反応でみかけ上ガスに熱が与えられるということを想定したことになります。これらはいずれも、希薄エンジンなら 1.4 に近づくことになります。試してみてください。
燃焼パターンは Wiebe 関数を用いて計算します。発熱するタイミングを、この発熱期間と点火時期で調整できます。点火時期を極端に早くしたり、遅くしたり、あるいは燃焼期間を遅くしたりして、出力(加速感)にどう影響するか、燃費にどう影響するかを調べることが可能です。
本来、これらの値は、希薄エンジンかどうかなどで大きく変える必要がありますし、シリンダー内にどの程度の乱れを作るかというエンジンの設計思想に依存しますし、もろもろのファクターが影響するので、いちがいにこうあるべきというものをシミュレーターで作り込むことができません。たとえば回転数に依存して燃焼時間はクランクアングルで与えているので、回転が上がるに従って燃焼期間も延びるのではないか、と考えるのが普通ですがそれを関数などで与えることはしていません。一般論が無いだろうからです。今は、回転数に無関係に丁度良い乱れが生成され、燃焼速度もうまく追従して結局同じクランクアングル内で燃焼が終わるという見立てになっています。
発熱の大きさは、希薄エンジンと通常エンジンでは大きく異なります。今はこれも大胆過ぎるのですが「同じ」になっています。これは簡単に変えられることなので、いずれ現実にマッチするように変更するかもしれません。次のバージョンアップ(いつのことかわかりません、積極的バージョンアップは計画していませんから)をご期待下さい。
以上の条件を入れて、dP/dθ, dT/dθを誘導して Δθごとに常微分方程式を解き (いわゆる P-v 線図を描くことになる)、トルクを計算させています。まさに計算機の中でエンジンが回っているのです。
それだけの計算では、機械工学で学ぶ、インジケーター線図出力であって、機械損失が含まれていません。ここでは、ピストンリング摩擦など諸損失を回転数の関数近似で入れています。なお、諸損失中、ポンピング損失は上述のインジケーター線図で求めていますので、二重カウントはしておりません。
大きな抜けは数々あると思いますが、その中で回転数が上がってくると今のエンジンは吸気圧の摩擦による減少を抑えるために脈動や慣性を利用するのですが、ここではそこまでは計算しておりませんから、非常に回転数が上昇してくると、その分熱効率が下がります。この効果を組み込むのは結構面倒だろうこと、また本来省エネ運転では高回転数は嫌うべきですので、それは気にしないことにしました。
圧縮比を変えて、燃費を調べることも可能です。ただし、ノッキングの発生を組み込んでいません。ですから、上述のようにスパークアドバンス、リタードなども無く、一定値にしています。圧縮比を高くすればノッキングも起こり熱効率に大きく影響するはずですが、ここではその効果が考慮されていませんから、熱効率は高くなる一方です。このノッキングの発生時期も計算上はかなり簡単に予測できる式があります。いずれ、組み込んでノックセンサー的に使い、点火時期も自動調整できるようにしたいと思います。ともかく、計算機が速くなる一方なので、開発当初は諦めていた計算も結構できるようになってきました。
CPU の性能アップは、さらにエンジンから排出されるNOx も、エンジン内の温度圧力混合気組成などを求めつつ NOx 生成メカニズムを計算機によりリアルタイム予測ができるようになってきました。触媒特性など調べて開発することを考えると公開が大幅に遅れるのでここでは、興味はあるのですが入れないことにしました。今後、担当学生に余裕ができて、作る気になれば対応してもらいます。それができれば、まさにエネルギーと環境をクリアーする車について学習ができることになります。このページを読まれて、その意義が有ると感じられた方で、そのようなデータを提供していただけるのなら、可能性が増します。
さて、このように仮想エンジンが組み込まれていますから、そのエンジンの設計をあなた自身が変更することができます。 Car.txt のデータを変更してみてください。
パワートレインも変更できますが、あまりこれはデータを変えてみても効果は無いかもしれませんね。
燃費に効くのは、エンジン性能だけではなく、車の条件も原因します。車の受ける抵抗は、車重にタイヤ転がり摩擦係数をかけた力と、車体の前から見た投影面積と車速の自乗の積に空気抵抗係数をかけて求められる力、そしてカーブを切るときは遠心力(車速の自乗に比例するので空気抵抗と影響は同様に表れます)と車軸の横方向摩擦係数をかけた値の総和になります。車重と投影面積に関係する車高と車幅もデータ変更可能です。もちろん、車重に比例した加速度も損失の一種です。ブレーキ損失を100%回収できれば、加速した分を損失と考える必要はありませんが、プリウスでも 40%程度の回収率と聞いていますし、一般車は回収するすべを備えておりません。せいぜい、エンジンブレーキをかけながらエンジン回転を高めて、バッテリーチャージでお茶を濁す程度ですね、できても。
エンジン排気量と上記、車の大きさのバランスも燃費に効きますから、調べてみてください。とは言えたとえば軽自動車は、理屈のうえでは燃費が大衆車、小型車などより良いはずです。このシミュレーターで設計(車高、車幅、車重、エンジンサイズの変更で可)、して走らせてみると確かに大型、小型、大衆車、軽という具合に燃費は良くなりますが、実は本物の軽は大衆車とほとんど変わりません。これはメーカーに聞くと、エンジンなどあらゆるものが窮屈に作られて損失が多くなるから思ったほど軽い効果が燃費に現れないとのこと。たとえば、エンジンを考えれば、面積/体積比(S/V比)がサイズが小さいほど大きくなり、放熱損失が大きくなります。このシミュレーターはそういうことまでは計算に入っていない(放熱損失程度は、実は入れることは簡単ですが)ので、理屈で考えたとおり、軽の方が大衆車より明らかに燃費が良くなります。
なお、もう少し理論的背景などを知りたい方は、下の論文をダウンロードしてください。
- 開発苦労話
- 若井談:
このシミュレーターの開発に着手したのが 1999年初頭。燃費は、車によっては表示してくれるから、こういうものは不要だという意見も確かにあった。が、そんな車は今のところ多くは無い。また走行抵抗がどのようにどの程度現れているか、知るよしもない。修士の学生にまずエンジンを作ってもらった。サイクルのシミュレーションである。それがコンピュータで必要な回転数だけ本物と同様に回ってくれるかどうか、疑問であったが、なんと6000回転でも回ってくれた。それと同時に CG による背景作りを応用情報学科の学生を先生に勉強してもらったり、java で組むべきかとその勉強をしてもらったりと、初めてのことなので、あれこれやって無駄時間も過ごしてしまった。一年目は手探りだったから、学部生を配属すると卒論が書けないと困り、修士 1年生のみが苦労した。二年目にはめどが出てきたので、学部生の配属を考えたところ、お宅人間のような人が来てくれた。修士二年目の先輩と合流したのは私の都合で夏休み過ぎ。しかしその頃から方針もはっきりし、後もないという状況で急ピッチで仕事がはかどるようになってきた。Open GL による CG が、車の走りにつてくるのか、エンジンの計算に負担をかけないか、などの懸念を払拭して、できあがっていった(もちろん CG が重いなら、エンジンの回転を全て忠実に計算する必要はないので間引きが逃げ策として有った)。ステアリングもペダルも用意して、拍車がかかってきた。そして半年後には研究室の仲間を相手にドライブさせて燃費をとりはじめるまでになっていた。
学生の力はこのように、実にすごい。機械システム工学科の学生が ゲームに比較してレベルは低いとはいえ、CG を使いこなし、ここまでやってくれるとは、正直思っていなかった(ちなみに、正直、私は全く能力がない)。
さて、最後を飾る「環境を保全するためにこういうもので庶民の意識を変えることができれば、ひとつの方向だ」という主旨の修士論文発表では、「技術者としては、こういうものに頼りたくない」という意見も出て、意気込んだ学生も少々肩の力が落ちた様子だった。一方、その後岐阜大学の VSL (Virtural System Laboratory) の三次元揺動システムに乗せて、スクリーンも三次元にしてより現実感を増すことでその有効性を図るべきという意見も専門家から有った。前者に対しては、10%燃費を上げるのに技術者は大変な努力をしている。それが、ドライバーの足裁き、手さばきで 30%も燃費が上がれば、それを理解してもらう努力を技術者が試みることも責任の一端というのがこの研究のスタンス。技術がいくら進歩して人間を楽にしようとしてきても、結局は今のように生産活動を無限に加速し続けなければ経済が破たんするというシステムが変わらないならば、技術者はむなしいと同じように、10%燃費をかせぐために血みどろの努力をしても、ユーザが経済的な運転とはなんぞやを知らずに簡単に 10%無駄に増やしてしまったのでは努力が報いられない。技術者だからこそ、燃費を無駄にしない方法を知っているわけで、それをどう知らせるかでたどりついたのが、この方法だったとご理解下さい(なお、ここでマスターしていただく方法は、ハイブリッドカーではかなりが技術でクリアーしていますから、ハイブリッドカーに乗って居られる方には効果薄です)。
若井研も、技術による燃費の向上を切り捨てているわけではありません。両方で攻めれば、運輸部門が京都議定書に果たすべき役割も見えてくる、というスタンスです。後者について、もうご理解いただけていると思いますが、これは実験室、研究室に閉じこもっていては意味がなく、より多くの人に体験してもらって意義が出るのです。CG による景色も省燃費運転をしてもらうのにそれほど立体的なものが必要ではないですし。
このときの学生二人は、今川崎重工とアルプス技研で活躍しています。
結局、二年目の修士と学部生との間ではホームページからダウンロードしてもらって自分のパソコンで利用してもらうのが最善との結論に達しました。1.5MByte という小さなサイズでインターネットでダウンロードするにも手頃なソフトとして、非常にシンプルな背景になったわけです(本当はすごい CG を作るには彼ら二人だけでは手に負えないのですが)。一方、彼らの研究目的はこのシミュレーターを利用した、新しいテーマ(そちらはソフトはほぼ完成の域、また目指した結果もほぼ出そうと今のところ二人はホクホクしている)。さて、このダウンロード版はその二人のサービスとして、一般の人が使いやすいものへと改造することでした。ほぼ一年で、学部生の本来の卒論とともにサイドワークとしてのこのダウンロード版が完成、めでたく公開するに至ったのです。本当に、ごくろうさん。
このテーマは上述したように、実は私が若い頃、免許を取るときから省エネ運転はこうあるべきだと実践してきた要領を理解していただくことができたら、ということに起因しています。それはここをクリックしてみてください。- 開発当事者の学生諸君の苦労談は、追って追加します。