組織的な若手研究者等海外派遣プログラム One World-One Healthを担う獣医学研究者育成プログラム
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■海外活動

参加者 東京農工大学 ポスドク 島田健一郎
派遣期間 2011年1月16日〜3月29日(73日間)
派遣先 アメリカ カリフォルニア大学

 私の専門である犬の皮膚バリア機能について新たな知見を得るために、カリフォルニア大学サンフランシスコ校(以下UCSFと略す)医学部皮膚科のPeter M. Elias教授の研究室に約2ヵ月半滞在した。Elias教授は皮膚バリア機能研究の第一人者であり、当ラボはバリア研究において世界をリードする研究室の1つである。30名程の研究者によって皮膚バリア機能障害に関連する皮膚疾患(アトピー性皮膚炎や魚鱗癬等)の発症メカニズムを解明するための研究が行われ、私が研修に訪れた際は、主にフィラグリンや脂質代謝(セラミド等)に関する研究活動が盛んに行われていた。また、ラボには多くの留学生が在籍しており、中国、台湾、ベルギーおよびスペイン出身の研究者と知り合う機会を得た。今回、研修期間中に以下のことを具体的に学んだ。

1. フィラグリンおよびロリクリンに対する免疫染色法
 免疫染色法とは抗体を用いて、組織標本中の抗原を検出する組織化学的手法のことである。近年、ヒトやマウスのバリア異常の原因としてアトピー性皮膚炎ではフィラグリンやロリクリンの発現異常が知られているが、犬では未だ不明な点が多い。それらのタンパク質を検出する手法の1つとして免疫染色法は非常に有用である。持参した犬皮膚の各パラフィンブロック(健常犬、アトピー皮膚炎罹患犬、疥癬罹患犬)を用いて免疫染色を試みた。標的タンパクを正確に検出するためには対象動物のモノクローナル抗体が必要となるが、今回は既存の抗体を用いた手技を習得した。

2. 機器を用いた皮膚バリア機能の測定法
 皮膚を対象にした医療では傷を残さずに診断、治療ができる非侵襲的手法が強く求められている。その点に答えるものとして、人医療では数十年以上も前から理工学的理論に基づいた機器の皮膚科学への導入が始まっている。特に皮膚バリア機能の指標となる経表皮水分蒸散量(Transepidermal Water Loss; TEWL)や皮膚の乾燥を評価する角質水分量さらに皮膚pHの測定は、いまや人医療の皮膚科学研究では欠かせない手法となっている。近年、獣医療の皮膚科学研究においても同様の測定法が用いられるようになって来ているが、今回はラボ内にある種々の機器を使用してヘアレスマウスにおける測定手技を学んだ。

3. 電子顕微鏡による表皮の観察
 皮膚バリア機能は、表皮の最外層である角質層とその下位に位置する顆粒層が重要な役割を担っている。電子顕微鏡を用いることで角質細胞間脂質の状態や顆粒層のケラトヒアリン顆粒やデスモソーム等を肉眼で観察することが可能となる。これまで電子顕微鏡を用いた研究の経験がなかったが、今回の経験を生かし犬の皮膚バリア機能に関連する構造物の形態観察を今後は検討したい。

感想:
 私にとって海外のラボで研究を行うのは今回が初めての経験であった。日本の獣医師である私に対し、UCSFのラボメンバーは皆親切に接しサポートしてくれた。また、私を受入れて下さったElias教授は研修期間中に私が研究室の施設を自由に使えるように配慮してくださった。今回の研修を通じ、数多くの研究者と親交を深めることができたことは、今後の私の研究生活にとって非常に大きな財産となった。素晴らしい環境の中で、共通の興味を持つ仲間と共に学べる喜びを強く感じた次第である。
 
研修先外観 研修先外観
 
研究室内 ラボメンバーと
 
 
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