Laboratory of Forest Ecology
■落葉広葉樹二次林■

 岐阜県荘川村にある落葉広葉樹の二次林。標高1000mの地点にある。調査結果から約100年生と推定されている。荘川村の厚意により、調査をさせて頂いている。
15年以上毎木調査を行っており、森は姿を変化させるものだということをデータから教えてくれる。詳しくは、『森の記憶』小見山章著をお読み下さい。
 この周辺ではかつて金が採掘していたらしく、坑道が幾つか残っている(落盤のおそれがあるので、絶対見つけても入ってはいけない)。

出現樹種(観察記録にもとづく)
ミズナラ、イタヤカエデ、ヤマモミジ、クリ、コナラ、ハルニレ、トチノキ、シラカンバ、キハダ、カツラ、ミズメ、ミズキ、ホオノキ、シナノキ、ウワミズザクラ、ツノハシバミ、ツリバナ、エゴノキ、サワフタギ、コマユミ、(まったく未完)

試験林看板
この場所では、小見山教授によって約20年ほど、毎木調査が継続され、森の姿の変化を、木の直径の測定と樹種組成の変化により、記録している。
調査地から六厩川を挟んで対岸側の様子
この地域、本来の植生と考えられるブナは、尾根沿いに一部残るだけとなっている。
直射光は一部にしかあたらない
太陽から地球表面に降り注ぐ光には、直射光と散乱光がある。通常、太陽からの直接の光を受けることができるのは林冠(森林の上部)と林床のごく一部の場所(木漏れ日が差し込む場所)だけである。
 しかし、上部の優占していた樹木が、台風や寿命などで枯死した場合の林冠の空隙や、写真のような季節的な植物体の粗密が生じる林冠を持つ場合、林床には直射光が入射する。
フェノロジカルなギャップ
春先に開葉時期の遅いクリの樹冠の様子。他の開葉済みの樹種に囲まれたぽっかり空いた穴のようになる。ここから林床には直射光が差し込み、林床の樹木が光を受けることができる。この時期には多くの下層の植物は葉を展開している。
雪の六厩(調査地対岸) 雪が降ると普段気に留めていない小さな沢が浮かび上がった
コナラの枝折れ クリの枝折れ
上下4枚の写真は、2002年11月13日の六厩の様子。2002年は寒さの到来が例年より早く(気温から例年と比較する予定)、高木の落葉前に降雪があった。その為に、下の2枚写真のように、着雪による枝折れが発生した。右のクリの枝に着いていた葉の色から、葉が完全に褐色へと変わる前に降雪があったことを物語ってる。落葉広葉樹には、雪害はないと個人的には思っていたが、思わぬ形で認識する機会を得た。
 これまで、最も早い降雪は、フィールドノートによると、1999/11/18である。しかし、2002年は、10/28には降雪があった。この枝折れは、少なくとも10/28-11/12の間に起きたものである。

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