岐阜大学大学院医学系研究科組織・器官形成分野

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報道資料(2005年)

日本再生医療学会が創設された2002年には、再生医療関連の研究発表にマスコミの関心が集中しました。われわれも、少し大げさにES細胞から誘導された「培養眼」などという演題を出したこともあり、再生医療学会の一般演題の発表中にテレビカメラが入るなど私個人としてはおそらく空前絶後の経験をしました。その後もしばらくマスコミの取材攻勢が続き、その年の3月から7月ごろまで何となく落ち着きませんでした。

印象に残っているのは、朝日新聞大阪本社の大岩記者です。問題をよく理解しておられ、質問も適切で、彼女の書いたいくつかの記事を見てきましたがいずれも的確だったと記憶しています。われわれの研究に関する記事も記事として十分正確で、まだ学会誌に掲載すらされてない段階であることを理解していただいた上で、それでも重要な研究と彼女も判断しているということで記事になりました。ただ、当時我々が思っていたほどは培養眼はレンズ細胞を含んでおらず、その後出版した論文ではレンズをあまり強調しておりません。これは私の見込み違いです。

2005年2月現在、朝日新聞社は NHKとの間で不毛な争いを繰り広げられております。組織の面子のために大岩記者のような方が万一信頼を失うことがあれば大変もったいないことです。ぜひ緩やかにでも方向転換し組織を立て直していただきたいと思います。法律的に解決している60年も前の問題は専門家に任せて、新聞はあくまでも未来にむけて時に厳しくなるべく明るく(そうもいきますまいが)ある方が吉ではないでしょうか。

それはさておき、以下に貼り付けた新聞報道のコピーは私の見解ではありません。私は、税金を使って研究するものの義務として報道機関の適切な取材には可能な限り応じるしその記事の内容に関しては一切干渉しない、もし明らかにこちらの意図と違うときはこちらから改めて抗議し訂正を求める、というスタンスを取りました。

そう断っておいて、記事のコピーを載せるというのは、ある意味無責任かつ微妙な著作権上の問題が生じましょうが、寛大なご配慮をお願いします。

若い方でわれわれのホームページの記載やあるいは論文を読まれた方はなんと恥ずかしい誇大表示ではないか、けしからんと思われるかもしれません。確かにそのような傾向はありますが、今も昔も、新聞記事は突き詰めれば商品です。

論文も、いわゆるよい論文ほど、商業的な色彩の強い雑誌に掲載されます。許容範囲内でなるべく魅力的になるよう表現方法を工夫することになり、それはともすれば誇大広告との印象を与えがちです。なかには、巧妙に誇大広告な部分が隠蔽されている論文もあります。専門家と呼ばれるヒトはそれを見抜けますので、研究成果が出版されて数年もすれば評価は落ち着くのが普通です。

科学として、培養眼はどうでしょう?確かに誇大広告気味ですが、最終的な評価にはもうしばらく時間をください。


朝日新聞 2002年3月31日



中日新聞2002年4月5日



日本経済新聞2002年4月16日




日刊工業新聞2003年7月