2004年度卒業研究テーマ


2005-03-10 更新

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テーマ

卒業研究では,おもに計算機代数システムを使って,数学の問題(代数系の計算 や計算整数論など)をアルゴリズム的に解くことを目標にします.

地味ながら1960年代から研究が続けられてきたコンピュータによる「数式処理」 システムが1990年代後半から実用的にもすぐれた「計算機代数」システムとして 広く普及してきました.

特に整数環と多項式環を自由に扱うことができるため, これにまつわる効率的なアルゴリズムを見出すことは数学のいろいろな 局面(不変式論,実代数幾何学,暗号アルゴリズムなど)で大切な問題 になっています.計算機代数が得意な演算として,

がありますが,これらのアルゴリズムについての学習・研究のほか, これらを応用して数学の問題に取り組んでみるという試みをテーマに しています.
必要な教材・機材

この研究には大掛かりな設備は必要がありません. パソコン一台とインターネットに繋がる環境があれば 大学外(自宅など)でも十分に研究ができますし,そもそも研究に時間 と場所を選びません. 設備よりもむしろ頭脳の勝負だと思ってください. (設備はいらないので誰でもできるのですが,意味のある結果を出す のは容易ではありません.)

セミナーのテキストやマニュアル,そのほかの学習・研究用の書籍は 研究室で用意して貸し出します(卒業時に返還してください). また,研究室にあるコンピュータ1台を自由に利用できます. 卒論作成やプレゼンに必要な消耗品や機材はこちらで用意します. そのほか,自分の学習や研究のために必要ならば (その内容によっては卒論とは直接関係なくても) 研究室予算の範囲内で購入することが可能です.

学生・院生の研究室にあるコンピュータは大学の計算機室にあるものと同じ機種です. 今後も,計算機室の更新にあわせて,計算機室と同等の機種が使えるように更新する 予定です.
自分のパソコン

しかし,(ノートでもデスクトップでもいいですから)少なくとも 1台は自らのパソコンを持ち,それに大学で利用するソフト をインストールして自分の使いやすい環境を構築して,大学外や自宅でも学習や 研究ができるようにしてください. 自宅のコンピュータがインターネットにブロードバンドで接続して いれば使い道がさらに広がります. また,生協などでUSBフラッシュメモリを購入して,大学と自宅で同じ データが利用できる工夫をしてください(64Mbyte以上あれば十分です). 卒論発表などのプレゼンのときも自分のUSBフラッシュメモリのデータを 利用することになります.

要するにあなたが必要なのは,

です.いずれも高価なものは必要ありません. また,すでにお持ちならば改めて買う必要はありません.

今(2005年)ですと,標準的なパソコンの値段は デスクトップ,ノートパソコンともに10万円程度です. (実際には,たいていの場合,メモリが最低限しか搭載されていないので, 増設する必要がありますが,値段は5〜6千円程度です) このクラスのパソコンは最速のパソコンの半分以下の価格ですが,速さが最速の ものと比べて2/3以下になることは稀で,大学などでの学習の機器として使うには 十分な性能があります.また,USBフラッシュメモリは2千円程度からあります. プリンタも必要でしょうが,2〜3万円のプリンタで十分です. カラー印刷の機能は特に必要ではありません.

10万円のパソコンを4年使うとして,1年あたりの出費が2.5万円.一月あたりの 費用は(電気代を除けば)2,000円程度. パソコンとプリンタ,そしてインターネットプロバイダの費用をあわせて4年で 24万円(年間6万円,月に直すと5000円).それに加えて,消耗品,ソフトウエア の料金,故障の修理などを考えると月2000円程度の上乗せが必要になりそうです. 平均して,月7000円の負担は決して安くありませんが,必要経費と割り切ってく ださい.

ちなみに,私は(家族とプリンタやプロバイダを共有していることもありますが), パソコンやプリンタ,プロバイダ料金や消耗品,ケータイの使用料も含めて 平均月5000円程度で済んでいます.

もちろん,今でも何十万円もする高価なパソコンがあります. しかし,この種のマシンに付加された価値・機能を使うことは (私の研究室では)ありません.簡単に言えば,不要です

セミナー

週1回のセミナーを通じて,数学の基礎と計算機代数システムの使い方,そしてTeXの 正しい作法を習得します.その習得のかたわら,それを実際の数学の問題の解決にどのよ うに応用するかを考えます.具体的な数学の問題に取り組むことで数学やアルゴリズム の知識,およびプログラミングの技術を身につけ,卒業後に幅広い分野で応用ができる ようになることを目指します.また,TeXを使ったプレゼンにも挑戦してみましょう.

「計算機代数」システムについて

典型的な計算機代数システムのひとつに 「Maple」があります. (これは学科でサイトライセンスを取得しています.) その解説書として, 「 Maple 7 ラーニングガイド」 と 「 Maple 7 プログラミングガイド」 が出版されています. また,計算機代数を使った数学の入門書として, 「 グレブナ基底と代数多様体入門(上)(下) 」があります (いずれもシュプリンガーフェアラーク東京刊).

卒業研究では「Maple」 や 「MuPAD」 を主に使いますが, 「GAP(群論計算)」, 「PARI/GP(数論計算)」, 「Risa/Asir(多項式計算)」 など,特殊用途の計算機代数のシステムも使ってみましょう.

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