日本の医学教育は歴史的に講座ごとの履修を積み上げ、それをもって卒業させていました。 この体制は明治に作られ、昭和中期まではそれなりに有効でした。しかし、その後の医学の進歩はめざましく、過去の体制の修正や延長では良好な医学教育が困難となりました。ひとつひとつの学問分野が大きくなりすぎて、昔のように知識を詰め込むこと自体、無理になってきました。 知識の賞味期限はどんどん早くなり、常に最新の知識を獲得しなければなりません。 そのためには生涯にわたって能動的に知識を獲得し、その知識を使って医学的な問題を解決できる能力が求められています。 また知識だけでなく、医師としての基本的な技能や態度・姿勢を身につけることも求められています。このような社会のニーズに合う医師を養成するために、当然のことながら医学教育も変わらなければなりません。 たとえば知識の修得はどのように行うべきでしょうか? できあいの知識をインスタントに教えることはむしろたやすいことです。
しかし残念ながら現実は「教える=学ぶ」ではありません。教員が一生懸命講義を行い、学生がそれを聴いて暗記する。これはどこの大学でも見られる授業風景ですが、教員が教えたつもりでも学生に伝わっていないことは日常茶飯事です。 また試験前に必死になって暗記しても、理論づけて理解していなければ試験終了後にはあっという間に忘れてしまうでしょう。知識の記憶や理解・応用は、自分が必死になって手に入れようと思い行動した時に最も効果が上がります。皆さんが日常業務の中で、目の前の課題や問題を解決したときに、知識やノウハウが一番身についたと感じていらっしゃることと同じです。
近年、各大学でテュトーリアル教育(問題基盤型学習 Problem-Based Learning: PBLとも言います)や、臨床実習におけるクリニカル・クラークシップのような学生参加型教育が積極的に導入されているのは、上述のような理由があるからです。 学生時代から能動的に問題点を考え、仲間と議論し、自主的に学習し、医療チームの一員として実習に参加し、患者様を受け持ちながら問題解決を体験してゆくことが、有効な医学教育方法のひとつとなったのです。 こうした参加型教育は、きめ細かなカリキュラム設計、運用、評価が不可欠です。クリニカル・クラークシップでは患者様と直接面接をしたり診察したりするといった医行為を行いながら学習をします。そのためには患者様に失礼がないような、しっかりとした知識・技能・態度を学生が有することを大学が評価しなくてはなりません。そうした考えから行われるようになったのが共用試験(CBT, OSCE)です。
こうした様々な新しいカリキュラムを運用してゆくために、事務職員の皆さんにもカリキュラムの基本となる考え方と実務のノウハウをしっかり身につけていただきたいと思います。
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