研究テーマ
1.ウマヘルペスウイルスの神経病原性のゲノミクスおよびプロテオミクス
2.伝染性ファブリキウス嚢病ウイルス(IBDV)の分子疫学と病原性に関する研究
3.オウム病クラミジアおよび動物のクラミジアの細胞生物学および診断法の開発
4.野生動物におけるウイルスおよび薬剤耐性菌の生態
動物の感染症(人獣共通感染症を含む)を制御するため,ウイルス,クラミジアおよび細菌を対象とし,病原性や疫学、その生態について分子レベルでの基礎研究から国際的な応用研究まで幅広い活動を行っている.
動物感染症は時としてその動物に関わるヒトの生命・財産に極めて甚大な被害を与えます.このため,社会的にも獣医微生物学の果たす役割は極めて重要です.国際的にも動物感染症の制御に対する期待は大きく,研究室には多数の留学生が在籍しています。
研究室では各自が与えられたテーマに沿って研究を行うだけでなく,実際の臨床材料や野外材料について細菌やウイルス検索を行い,問題となる疾病の病因解明,診断,および対策を考えるためのトレーニングをしています.
(ホームページを作り直しました.まだ途中ですが,皆様のご意見,ご要望をお寄せください.2007年4月)
ウマヘルペスウイルスの神経病原性
ウマヘルペスウイルスはアルファヘルペスウイルス亜科に属する2本鎖DNAウイルスである.獣医学上重要なウマヘルペスウイルスは1型および4型である.また,野生動物から9型が分離されている.特に1型はウマのウイルス性流産の原因として知られ,経済的な被害も大きい.近年は1型感染における麻痺をともなう神経疾患の発生数がアメリカ合衆国で増加しており,問題となっている.ウマヘルペスウイルスの神経病原性に関与する因子としてgI, gE, DNA polymerase, immediate early proteinなどがあげられている.
当研究室では馬ヘルペスウイルスの病原性,特に神経病原性発現の分子機構の解明を行っている.
オカメインコ開口不全症候群“CLJS”
オカメインコの雛、一般に2〜10週齢に流行性に発生する疾患で、くしゃみ、鼻汁、流涙、外鼻孔周囲の発赤・腫脹といった上部呼吸器症状を発現した後、開口が困難となる特徴的な病態を呈する症候群です。病原因子には諸説があり、まだ確定していません。
(当研究室では今年度から本疾患の原因究明と対策の確立を目指して研究を始めました.情報や検体の提供をお願いいたします)
オウム病
オウム病は鳥類,特にオウムインコ類から伝播する人獣共通感染症です.日本では毎年30から40例の届け出があります.適切な診断により治療することができます.感染源となった鳥も獣医師により治療が可能です.野外のハトも感染源として重要な役割を担っています.鳥類を扱う人は正しい知識を持ち,感染を予防することが大切です.