家畜の育種改良や、絶滅危惧動物の保全をめざして

ゲノムとは、「ある生物を構成する遺伝情報全体」を意味します。ゲノムの本体であるDNAの配列を比較すると、同じ種に属する個体間でも少しずつ違いがあります。種が異なれば、違いはさらに大きくなります。動物遺伝学研究室は、ゲノムの個体差や多様性の度合いに関する研究を進めています。こうした研究は、家畜の育種改良に役立つと同時に、絶滅が危惧される野生動物の保全や、動物園等での希少種の繁殖にも活かすことができます。

味覚・嗅覚や毛色の違いをDNAから探る

私たちは、外見や行動などの違いがゲノム上のどのような違いに由来するのかについて研究しています。特に、味覚や嗅覚に関連する遺伝子や、毛色に関連する遺伝子に着目しています。例えば、ある苦味を知覚できるかどうかは、たった一ヶ所のDNAの違いによって決まっていることがあります。味覚や嗅覚に関する個体間や種間の違いを、DNA配列の違いとして理解することで、家畜や伴侶動物の採食行動の理解、選抜・育種、飼料の開発などに役立てることができると考えています。

動物を進化の視点から理解する

DNAを調べることで、どの種とどの種が進化的に近縁な関係にあるのかを明らかにすることができます。例えば、イヌはオオカミから家畜化されたことがわかりました。私たちは、「いつ」「どこで」家畜化されたのかについて、研究を進めています。また、家畜以外の動物の系統関係についても研究しています。さらに、上で述べた味覚や毛色の違いが生じたのはなぜか、進化的な視点から分析しています。

     
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