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タ イ ト ル 更新年月日
カーネーションと家電製品の類似性 2017/02/15
花を買う楽しさ 2017/02/03
朝日新聞(2016/11/19)「魚の魅力 売り手が提案」 2017/01/05
2017年を迎えて 2017/01/04

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★カーネーションと家電製品の類似性 (2017/02/15)

 カーネーションの国内生産量は1992年を境に年々減少し、2015年の生産量は1992年の40%です【pdf】。しかし、カーネーションは花の色が豊富であることに加えて価格も手頃であることから人気の切り花で、国内総流通量は減少していません。国内生産量の減少をコロンビアからの輸入が増加し、カーネーションの需要を支えているのです。2000年頃から急増した輸入カーネーションは、2015年には総流通量の56%に達しました。このままでは国産カーネーションは崩壊してしまうのでしょうか。心配の前例はあります。アメリカのカーネーション切り花生産業はコロンビアからの輸入に押されて完全に崩壊し、現在アメリカでカーネーションの切り花生産を行っている生産会社は存在しません。
 家電製品は1990年代までは国内の生産企業が全盛期で、それこそソニーを始めとして三洋電機、シャープ、東芝、パナソニックなどがウォークマン、DVDプレーヤー、MDプレーヤー、ハイビジョンTV、プラズマTVなど新製品を次々と発売して、家電市場に活気がありました。しかし、中国のハイアールや韓国のサムスンを始めとする新興国からの輸出攻勢を受けて、急激に国内生産額が減少し、1991年の3兆1795億円から2015年の1兆7856億円と56%まで減少しました【pdf】。この間に三洋電気がなくなり、シャープが台湾の鴻海精密工業の傘下に下り、東芝もソニーもパナソニックも株価低迷に喘いでいます。
 しかし、当然のことながら国内の家電製品消費量は低下しているわけではありません。2000年代に2兆2000億円にやや下がりましたが、2015年には2兆7600億円と上がってきています。必要とされる家電を開発することが存続の危機を打開することに繋がります。しかし、心配に思うことがあります。「家電産業ハンドブック2016」によると、2006年頃までは次々と新しい家電商品が発売されていたのに対して、2010年以降は新たな商品の発売が見られなくなっていることです【pdf】
 海外のホテルに泊まると常に思うことです。ウォシュレットは何故日本にしかないのかなぁ。ロボット掃除機、コードレスクリーナー、美味しくパンが焼けるトースター、ホームベーカリー、IH炊飯器、食器洗い乾燥機。日本でしか評価されない家電製品はたくさんあります。ニッチマーケットと言う必要はありません。グローバル産業としての家電業界もありますが、経済大国の日本国内で評価を受けることで産業界が成り立つ方法もあります。
 カーネーションも国際化の波にのまれることなく、日本の「消費者」が望む品種の開発、日本の「消費者」が望む切り花商品の開発を進めましょう。これこそがアメリカの轍を踏まない唯一の道だと思います。


★花を買う楽しさ (2017/02/03)

 花きの販売額(流通量)が年々減少しています。販売店の方からは「景気が良くならないと花は売れない」といった声を良く聞きますが、本当にそうでしょうか?
 販売店の販売能力、情報提供能力、情報収集能力が低下しているのが原因ではないでしょうか。お客さんと一言二言お話をすれば、結構買ってもらえるものですよ。
 毎年11月始めに岐阜大学祭では鉢物や苗ものを販売します。今年の花売り初日の苦戦商品は「たまごボール(スピランサス)(オランダセンニチ:Acmella oleracea)」でした。一鉢も売れなくて、2日目の重点販売商品となり、私が担当しました。前を通った子連れのお母さんに(子供さんに)「名前がカワイイでしょ!黄色い花がもう少し大きくなってタマゴボウロのような形になるんです。節の所を見てください。もう既に蕾がビッシリ着いていて、次々と咲き続けます。冬を軒先で越せば、来年の11月までず〜っと咲き続けるんですよ。伸びたら適当にハサミで切ってやってね。肥料と水は大好きですから。」
 このトークでほぼ8割のお客さんが買ってくれ、2日目の午前中2時間で48ポットが完売しました。
 生産者の皆さん。自分だけが面白いと思っていても売れないですよ。ましてや見たことがない植物に手を出すほど、世の中は甘くありません。しかし、見たことのない植物が置いてないと園芸店・生花店の楽しさはありません。
 前回のコラムで紹介した「東久留米市の鮮魚専門チェーン角上魚類(小平店)」のお話を思い出してください。『常に約70種類の魚がずらりと並ぶ。売れないからと魚種を減らしてさらに売れなくなる。本当に良いものを並べて丁寧に説明し、食べられるように調理してあげれば、どんどん買ってくれるものだ。』
 販売の窓口である園芸店・生花店の売れ行きが悪くなれば、生産した物が流通しなくなります。スーパーでは真似のできないこと。それこそ「丁寧に説明すること」であり、「楽しみ方を伝えること」ではないでしょうか。園芸店・生花店は『専門店』です。専門店としての仕事に精を出しましょう。ロス率や販売効率ではスーパーやホームセンターにはかないません。


★朝日新聞(2016/11/19)「魚の魅力 売り手が提案」 (2017/01/05)

朝日新聞の「けいざい+」に興味深い記事が掲載されていました。

東京のベッドタウン、東久留米市の鮮魚専門チェーン「角上(かくじょう)魚類(小平店)」・・・人だかりがたえない鮮魚売り場には、常に約70種類の魚がずらりと並ぶ。「3歳の長男が魚を見るのが大好きで、せがまれてよく来ます」。・・・売上高営業利益率は6.3%。スーパー部門が営業赤字で営業利益率1%と対照的だ。・・・一人あたりの魚介類の年間消費量は、2001年度の約40kgをピークに2014年度は約27kgまで減った。「魚を売る側に問題があった。売れないからと魚種を減らしてさらに売れなくなる。本当に良いものを並べて丁寧に説明し、食べられるように調理してあげれば、どんどん買ってくれるものだ」。・・・「大手メーカーの食料品はどこで買っても同じで、結局安いかどうかだけだ。魚の調理は簡単にはまねできない。そこはものづくりと同じだ。難しいものを身に付けないと勝ち残れない」・・・

 水産業界と花き業界には共通点が多く見られ、水産業界が10年ほど先を進んでいます。1985年頃から輸入の急上昇が始まりました。それによって販売先が専門店である鮮魚店(魚屋さん)からスーパーに移行して専門店が急減しました。私が子供の頃に母親に付いて魚屋さんに行くのが大好きでした。「奥さん!今日は刺身の良いのが入ってるよ!旦那の給料日だろ!熱燗にどうだい!」と威勢の良い掛け声に対して、子供心に「魚屋さんは魚のことだけじゃなくて、お父さんのこともよく知っているんだ」と感心した記憶があります。種類も大きさもまちまちの近海魚を、煮付け・焼き物・刺身・唐揚げ・ムニエルなど料理法を女性に教えて手際よく捌いていく姿は憧れでした。
 これに対して、スーパーでの販売は規格商品の大量販売であったことから、国内の零細漁業での大きさも種類もまちまちの近海魚は販売先を失い、「メロ(銀ムツ)」とか「ティラピア(イズミダイ)」とか名前も良く判らない輸入魚の冷凍切り身のパック販売が主体となりました。骨はないものの、魚を食べる楽しみがなくなり、急速に魚の消費量も減少してしまいました。
 切り花の大量輸入は2000年頃から始まりました。切り花輸入が始まると、それはパッカーと呼ばれる花束加工会社でパック花束に加工され、スーパーで大量に販売されるようになりました。鮮魚店ほどではないですが、近年急速に生花店・園芸店(花・植木小売業)が減少し、1991年の25,940軒から2014年には12,963軒に半減しています。
 両業界が共通するのが、高年齢の消費量が多く年齢が下がるほど消費量が急減していること、輸入の急増の影響を強く受けていること、専門店の軒数が減少して販売先がスーパー中心となっていること、品目(種類)が減って多様性が小さくなっていること、消費自体が年々減少していることです。
 東久留米市の鮮魚専門チェーン「角上(かくじょう)魚類(小平店)」の取り組みを読んで、園芸店、生花店の皆さんはどう思われたのでしょうか。そして、生産者はどのように感じられましたか?
 生花店も園芸店も、楽しくなければ花屋さんじゃぁない!「へぇ〜。こんな花があるんだぁ〜。居間のテーブルに置いてみようかなぁ。」
 楽しくなるような、そしてワクワクするような植物販売こそが花き業界の原点ではないでしょうか。


2017年を迎えて (2017/01/04)

 酉年の年頭に当たって、メール年賀状を作成いたしました。ご覧下さい
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