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種苗法の解説

 種苗法は1998年12月24日に新種苗法が施行され,2003年7月に改正されました。
 この法律は,総則で,「この法律は、新品種の保護のための品種登録に関する制度、指定種苗の表示に関する規制等について定めることにより、品種の育成の振興と種苗の流通の適正化を図り、もって農林水産業の発展に寄与することを目的とする」とあるように,「新品種を保護することで,新品種の育成を進め,園芸業界をますます発展させる」ことを目的に,新品種を保護するための法律です。種苗法について,色々誤った解釈がされているようです。ここでは種苗法の解説を行いますので,是非参考にしてください。

種苗法についての解説

品種登録された品種を交配親に使うと,種苗法違反になるのですか?

 第二十一条第1項で,「新品種の育成や試験,研究用として登録品種を使用することに対して育成者権は及ばない」としていますので,育種での使用は全く問題となりません。
 誤解の原因となっているものとして,アルストロメリアなどのオランダの種苗が育種への使用を禁止していることがあると思います。これは種苗法でも「ただし、契約で別段の定めをした場合は、この限りでない。」と規定しているように,オランダの育種会社と栽培農家が契約書を交わしている場合には,その契約書が優先されることになり,登録品種の育種への使用が制限されます。
 ただし契約は商法によるものであり,契約締結者同士でしか拘束されませんので,オランダの育種会社と契約を結んでいない者が,園芸店や花屋さんで正規の金額で購入した鉢花や切花を育種の親として用いることには何も規制がありません。特に,切花として販売されている花からは花粉を取ることができるので,交配はかなり容易に使用できます。ズルイことかもしれませんが,オランダ種苗会社と契約したのが生産法人であれば,販売法人はオランダの登録品種を育種に使っても違法とはなりません。


挿し木や接ぎ木などの栄養繁殖は,どこまで規制されるのですか?

 栄養繁殖性の植物すべてについて,登録品種の無断増殖が禁止されています。(第二条第4項,第二十一条第3項)
 無断増殖が指摘された場合には,300万円以下の罰金です。(第五十六条の一)この罰金は違反者個人に対してですので,会社に対してはさらに法人に対して1億円以下の罰金が科せられます。(第六十条)
 罰金は国に対して支払うのですが,これに加えて,育種者に対する損害賠償が加わります。損害賠償金額は,無断増殖した苗の販売利益相当額が最低金額で,品種育成者はこれ以上の高額を請求することができます。(第三十四条)


どういう花が品種登録できるのですか?

 基本的にはどこかが異なっていて区別ができ,繁殖しても安定した形質であることが重要です。法文中では「重要な形質の特性」が違うと記してありますが,例えば,切花の場合には花色や花形など花は重要な鑑賞形質ですし,葉色も重要な形質といえると思います。(第二条)


中国など,海外で登録された新品種が無断で増殖・栽培されて,その切花が国内へ輸入された場合にはどのようなことになるのですか?

 無断で登録品種の苗を輸出できませんし,無断で増殖・輸出された苗を栽培して国内に輸入することはできません。(第二条第4項の一・二)
 UPOV(国際種苗法)に加入している国においては国内と同様に品種の保護が行われるため,これらの国に対しては輸出は禁止されるわけではありません。しかし,中国のように全ての植物が保護対象ではなく,法律で指定された植物だけが保護される国の場合には,指定植物以外の作物は輸出が禁止されます。例えば,中国ではバラは保護作物に指定されているので切花としてのバラは輸出禁止ではありませんが,サンダーソニアは指定作物になっていないので,サンダーソニアの新品種を中国に輸出することはできません。当然のことながら,輸出相手が切り花の観賞目的ではなく挿し木などでの増殖が目的の場合には輸出してはいけません。(第二十一条4項)
 登録した品種が品種保護されない国に輸出しようとしている業者がいれば,差し止め請求ができます。また,登録品種が海外で生産されて輸入される場合には,それを廃棄処分させることができます。例えば,中国で登録品種が無断増殖され,切花が輸入されようとしている場合には,水際で廃棄処分請求することができます。(第三十三条)


どこまで新しければ品種登録できるのですか?

 第二条と第三条の一で,「品種」とは、「重要な形質に係る特性の全部又は一部によって他の植物体の集合と区別することができる」こととしていることから,基本的には「重要な形質」でどこかが異なっていて区別ができ,繁殖しても安定した形質であることが重要です。ただし,法文中の「重要な形質」という点が問題で,何をもって「重要な形質」と判断するかは結構不確定な点です。バラで花色や花形が「重要な形質」であることは誰も疑う人はいませんが,「葉の大きさ」は重要な形質といえるのかが微妙です。「葉の斑入り」は重要形質ですよねえ・・。
 基本的に交配してできた子供は必ずどこか異なるところがあるので,新品種といえると思います。ただし,第二十条で「登録品種と特性により明確に区別されない品種」の場合には「新品種ではない」とされているので,登録品種と「そっくりさん」はだめです。


従属品種と突然変異個体について

 従属品種についての記載は第二十条第2項の一にあります。登録品種の重要な特性には変わりがなく,一部の特性が変化しているだけの変異個体については「従属品種」とみなされます。例えば,バラは花が主たる特性であるので,「葉の形が変わった」程度の変異は「従属品種」とみなされますが,花色の変異は「主たる特性」が変化しているので,新品種として認められます。
 栄養繁殖性の花き類の場合には栽培過程で花の色変わりがよく見かけますが,花色は重要な特性であり,これまでの事例をみても新品種として認められています。

種苗法の条文解説

「青字」で記載されたものは「条文」です。「赤字」で記載された部分は、福井博一のコメントです。

第一章 総則
(目的)第一条 この法律は、新品種の保護のための品種登録に関する制度、指定種苗の表示に関する規制等について定めることにより、品種の育成の振興と種苗の流通の適正化を図り、もって農林水産業の発展に寄与することを目的とする。
種苗法は,品種の育成を進めるための法律であり,育種を阻害するための法律ではありません。

(定義等)
第二条 この法律において「農林水産植物」とは、農産物、林産物及び水産物の生産のために栽培される種子植物、しだ類、せんたい類、多細胞の藻類その他政令で定める植物をいい、「植物体」とは、農林水産植物の個体をいう。
全ての植物が種苗法の範囲に含まれます。
2 この法律において「品種」とは、重要な形質に係る特性(以下単に「特性」という。)の全部又は一部によって他の植物体の集合と区別することができ、かつ、その特性の全部を保持しつつ繁殖させることができる一の植物体の集合をいう。
基本的にはどこかが異なっていて区別ができ,繁殖しても安定した形質であることが重要です。ただし,法文中の「重要な形質」という点が問題かもしれません。何をもって「重要な形質」と判断するかは誰が決定するのでしょうか。
3 この法律において「種苗」とは、植物体の全部又は一部で繁殖の用に供されるものをいう。
4 この法律において品種について「利用」とは、次に掲げる行為をいう。
 一 その品種の種苗を生産し、調整し、譲渡の申出をし、譲渡し、輸出し、輸入し、又はこれらの行為をする目的をもって保管する行為
苗や種子の生産することは当然のこと,譲り渡したり,輸出することも規制されます。
 二 その品種の種苗を用いることにより得られる収穫物を生産し、譲渡若しくは貸渡しの申出をし、譲渡し、貸し渡し、輸出し、輸入し、又はこれらの行為をする目的をもって保管する行為(育成者権者又は専用利用権者が前号に掲げる行為について権利を行使する適当な機会がなかった場合に限る。)
無断増殖した苗を用いて栽培すること自体が禁止されます。また,種苗法の規制が及ばない海外(例えば中国など)で登録品種を栽培したり,切花などを輸入することは規制されます。
5 この法律において「指定種苗」とは、種苗(林業の用に供される樹木の種苗を除く。)のうち、種子、胞子、茎、根、苗、苗木、穂木、台木、種菌その他政令で定めるもので品質の識別を容易にするため販売に際して一定の事項を表示する必要があるものとして農林水産大臣が指定するものをいい、「種苗業者」とは、指定種苗の販売を業とする者をいう。
6 農林水産大臣は、農業資材審議会の意見を聴いて、農林水産植物について農林水産省令で定める区分ごとに、第二項の重要な形質を定め、これを公示するものとする。

第二章 品種登録制度
第一節 品種登録及び品種登録出願
(品種登録の要件)
第三条 次に掲げる要件を備えた品種の育成(人為的変異又は自然的変異に係る特性を固定し又は検定することをいう。以下同じ。)をした者又はその承継人(以下「育成者」という。)は、その品種についての登録(以下「品種登録」という。)を受けることができる。
 一 品種登録出願前に日本国内又は外国において公然知られた他の品種と特性の全部又は一部によって明確に区別されること。
他の登録品種と何かしら違うところがあれば品種登録できる。
 二 同一の繁殖の段階に属する植物体のすべてが特性の全部において十分に類似していること。
繁殖させた場合に形質が固定していること。
 三 繰り返し繁殖させた後においても特性の全部が変化しないこと。
形質が安定していること。
2 品種登録出願又は外国に対する品種登録出願に相当する出願に係る品種につき品種の育成に関する保護が認められた場合には、その品種は、出願時において公然知られた品種に該当するに至ったものとみなす。
前文の(一)の「登録品種」には外国で登録されたものも含まれます。

第四条 品種登録は、品種登録出願に係る品種(以下「出願品種」という。)の名称が次の各号のいずれかに該当する場合には、受けることができない。
 一 一の出願品種につき一でないとき。
以前に登録されたものと同じ名前は付けられない。
 二 出願品種の種苗に係る登録商標又は当該種苗と類似の商品に係る登録商標と同一又は類似のものであるとき。
登録商標されている名前は付けられないし,まぎらわしい名前もダメです。
 三 出願品種の種苗又は当該種苗と類似の商品に関する役務に係る登録商標と同一又は類似のものであるとき。
名前の付け方として,「楽らく」といった名前が商標登録されている場合にはダメです。
 四 出願品種に関し誤認を生じ、又はその識別に関し混同を生ずるおそれがあるものであるとき(前二号に掲げる場合を除く。)。
よく似た名前,例えば「ローテローゼ」というバラの品種によく似た「ローテロゼ」はダメです。
2 品種登録は、出願品種の種苗又は収穫物が、日本国内において品種登録出願の日から一年さかのぼった日前に、外国において当該品種登録出願の日から四年(永年性植物として農林水産省令で定める農林水産植物の種類に属する品種にあっては、六年)さかのぼった日前に、それぞれ業として譲渡されていた場合には、受けることができない。ただし、その譲渡が、試験若しくは研究のためのものである場合又は育成者の意に反してされたものである場合は、この限りでない。
登録の一年以上前に既に販売していると,登録できない。

(品種登録出願)
第五条 品種登録を受けようとする者は、農林水産省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した願書を農林水産大臣に提出しなければならない。
 一 出願者の氏名又は名称及び住所又は居所
 二 出願品種の属する農林水産植物の種類
 三 出願品種の名称
 四 出願品種の育成をした者の氏名及び住所又は居所
 五 前各号に掲げるもののほか、農林水産省令で定める事項
2 前項の願書には、農林水産省令で定めるところにより、農林水産省令で定める事項を記載した説明書及び出願品種の植物体の写真を添付しなければならない。
3 育成者が二人以上あるときは、これらの者が共同して品種登録出願をしなければならない。

(出願料)
第六条 出願者は、一件につき四万七千二百円を超えない範囲内で農林水産省令で定める額の出願料を納付しなければならない。
2 前項の規定は、出願者が国(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人のうち品種の育成に関する業務を行うものとして政令で定めるものを含む。次項、第三十八条第二項及び第三項並びに第四十七条第二項において同じ。)であるときは、適用しない。
3 第一項の出願料は、国と国以外の者が共同して品種登録出願をする場合であって、品種登録により発生することとなる育成者権について持分の定めがあるときは、同項の規定にかかわらず、同項の農林水産省令で定める出願料の額に国以外の者の持分の割合を乗じて得た額とし、国以外の者がその額を納付しなければならない。
4 前項の規定により算定した出願料の額に十円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。

(出願者の名義の変更)
第七条 出願者の名義は、変更することができる。
2 出願者の名義の変更は、相続その他の一般承継の場合を除き、農林水産省令で定めるところにより、農林水産大臣に届け出なければ、その効力を生じない。
3 出願者について相続その他の一般承継による名義の変更があったときは、その一般承継人は、遅滞なく、農林水産省令で定めるところにより、その旨を農林水産大臣に届け出なければならない。

(職務育成品種)
第八条 従業者、法人の業務を執行する役員又は国若しくは地方公共団体の公務員(以下「従業者等」という。)が育成をした品種については、その育成がその性質上使用者、法人又は国若しくは地方公共団体(以下「使用者等」という。)の業務の範囲に属し、かつ、その育成をするに至った行為が従業者等の職務に属する品種(以下「職務育成品種」という。)である場合を除き、あらかじめ使用者等が品種登録出願をすること、従業者等がした品種登録出願の出願者の名義を使用者等に変更すること又は従業者等が品種登録を受けた場合には使用者等に育成者権を承継させ若しくは使用者等のため専用利用権を設定することを定めた契約、勤務規則その他の定めの条項は、無効とする。
2 従業者等は、契約、勤務規則その他の定めにより、職務育成品種について、使用者等が品種登録出願をしたとき、従業者等がした品種登録出願の出願者の名義を使用者等に変更したとき、又は従業者等が品種登録を受けた場合において使用者等に育成者権を承継させ若しくは使用者等のため専用利用権を設定したときは、使用者等に対し、その職務育成品種により使用者等が受けるべき利益の額及びその職務育成品種の育成がされるについて使用者等が貢献した程度を考慮して定められる対価の支払を請求することができる。
3 使用者等又はその一般承継人は、従業者等又はその承継人が職務育成品種について品種登録を受けたときは、その育成者権について通常利用権を有する。

(先願)
第九条 同一の品種又は特性により明確に区別されない品種について二以上の品種登録出願があったときは、最先の出願者に限り、品種登録を受けることができる。
二人以上の人が同じものを登録しようとした場合には,最初に登録申請した人に権利が認められる。早い者勝ち?
2 品種登録出願が取り下げられ、又は却下されたときは、その品種登録出願は、前項の規定の適用については、初めからなかったものとみなす。
登録出願を取り下げたり,却下された場合には,何も権利がありません。「種苗登録出願中」は登録が認められた場合にのみ有効です。
3 育成者でない者がした品種登録出願は、第一項の規定の適用については、品種登録出願でないものとみなす。
他人が育成した品種を横取りして登録することはできません。

(外国人の権利の享有)
第十条 日本国内に住所及び居所(法人にあっては、営業所)を有しない外国人は、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、育成者権その他育成者権に関する権利を享有することができない。
基本的には外国人は日本の種苗登録をすることはできません。
 一 その者の属する国又はその者が住所若しくは居所(法人にあっては、営業所)を有する国が、千九百七十二年十一月十日、千九百七十八年十月二十三日及び千九百九十一年三月十九日にジュネーヴで改正された千九百六十一年十二月二日の植物の新品種の保護に関する国際条約を締結している国(以下「締約国」という。)又は同条約を締結している政府間機関(以下「政府間機関」という。)の構成国(以下「締約国等」と総称する。)である場合
1991年に改正された国際種苗法(UPOV)条約に加盟している国の人は申請できます。
 二 その者の属する国又はその者が住所若しくは居所(法人にあっては、営業所)を有する国が、千九百七十二年十一月十日及び千九百七十八年十月二十三日にジュネーヴで改正された千九百六十一年十二月二日の植物の新品種の保護に関する国際条約を締結している国(同条約第三十四条(2)の規定により日本国がその国との関係において同条約を適用することとされている国を含む。以下「同盟国」という。)であり、かつ、その者の出願品種につき品種の育成に関する保護を認める場合(前号に掲げる場合を除く。)
1972年および1961年に改正されたUPOV条約に加盟しており,登録しようとする品種がその国の種苗法で保護されている場合には登録ができます。
中国の種苗法(中国種子法)では,バラやキクは保護植物になっていますが,例えばサンダーソニアなどは保護植物に含まれていないので,中国人がサンダーソニアの品種を日本で登録することはできません。

 三 その者の属する国が、日本国民に対し品種の育成に関してその国の国民と同一の条件による保護を認める国(その国の国民に対し日本国が育成者権その他育成者権に関する権利の享有を認めることを条件として日本国民に対し当該保護を認める国を含む。)であり、かつ、その者の出願品種につき品種の育成に関する保護を認める場合(前二号に掲げる場合を除く。)
UPOVに加盟していなくても,その国の法律で品種の保護が認められている場合には登録できます。例えば,タイはUPOVに加盟していませんが,ランの品種についてタイの国の法律で保護していますので,申請することができます。

(優先権)
第十一条 次の各号に掲げる者は、当該各号に定める場合には、当該出願の時に、農林水産省令で定めるところにより、優先権を主張することができる。
 一 締約国、政府間機関又は同盟国に対する品種登録出願に相当する出願(以下「締約国出願」と総称する。)をした者又はその承継人(日本国民、締約国等若しくは同盟国に属する者又は日本国、締約国等若しくは同盟国に住所若しくは居所(法人にあっては、営業所)を有する者に限る。) 締約国出願のうち最先の出願をした日(以下「締約国出願日」という。)の翌日から一年以内に当該締約国出願に係る品種につき品種登録出願をする場合
 二 前条第三号に規定する国であって日本国民に対し日本国と同一の条件により優先権の主張を認めるもの(締約国及び同盟国を除く。以下「特定国」という。)に対する品種登録出願に相当する出願(以下「特定国出願」という。)をした者又はその承継人(日本国民又は当該特定国に属する者に限る。) 特定国出願のうち最先の出願(当該特定国に属する者にあっては、当該特定国出願)をした日(以下「特定国出願日」という。)の翌日から一年以内に当該特定国出願に係る品種につき品種登録出願をする場合
2 出願者が前項の規定により優先権を主張した場合には、締約国出願日又は特定国出願日から品種登録出願をした日までの間にされた当該出願品種と同一の品種又は特性により明確に区別されない品種についての品種登録出願、公表、譲渡その他の行為は、当該品種登録出願についての品種登録を妨げる事由とはならない。

(品種登録出願の補正)
第十二条 農林水産大臣は、次に掲げる場合は、相当の期間を指定して、品種登録出願の補正をすべきことを命ずることができる。
 一 品種登録出願がこの法律又はこの法律に基づく命令で定める方式に違反しているとき。
 二 出願者が第六条第一項の規定により納付すべき出願料を納付しないとき。
2 農林水産大臣は、前項の規定により品種登録出願の補正をすべきことを命じられた者が同項の規定により指定した期間内にその補正をしないときは、その品種登録出願を却下することができる。

第二節 出願公表
(出願公表)
第十三条 農林水産大臣は、品種登録出願を受理したとき(前条第一項の規定により品種登録出願の補正をすべきことを命じた場合にあっては、その補正が行われたとき)は、遅滞なく、次に掲げる事項を公示して、その品種登録出願について出願公表をしなければならない。
 一 品種登録出願の番号及び年月日
 二 出願者の氏名又は名称及び住所又は居所
 三 出願品種の属する農林水産植物の種類
 四 出願品種の名称
 五 出願公表の年月日
 六 前各号に掲げるもののほか、必要な事項
2 農林水産大臣は、出願公表があった後に、品種登録出願が放棄され、取り下げられ、若しくは却下されたとき、又は品種登録出願が拒絶されたときは、その旨を公示しなければならない。

(出願公表の効果等)
第十四条 出願者は、出願公表があった後に出願品種の内容を記載した書面を提示して警告をしたときは、その警告後品種登録前にその出願品種、当該出願品種と特性により明確に区別されない品種又は当該出願品種が品種登録された場合に第二十条第二項各号に該当することとなる品種を業として利用した者に対し、その出願品種が品種登録を受けた場合にその利用に対し受けるべき金銭の額に相当する額の補償金の支払を請求することができる。当該警告をしない場合においても、出願公表に係る出願品種(当該出願品種と特性により明確に区別されない品種及び当該出願品種が品種登録された場合に同項各号に該当することとなる品種を含む。以下この条において同じ。)であることを知って品種登録前にその出願品種を業として利用した者に対しては、同様とする。
2 前項の規定による請求権は、品種登録があった後でなければ、行使することができない。
3 第一項の規定による請求権の行使は、育成者権の行使を妨げない。
4 出願公表後に品種登録出願が放棄され、取り下げられ、若しくは却下されたとき、品種登録出願が拒絶されたとき、第四十二条第一項第一号若しくは第四号の規定により品種登録が取り消されたとき、品種登録についての行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号)に基づく異議申立てが理由があるとしてこれを取り消す決定が確定したとき、又は品種登録を取り消し、若しくは無効を確認する判決が確定したときは、第一項の規定による請求権は、初めから生じなかったものとみなす。
5 第三十六条並びに民法(明治二十九年法律第八十九号)第七百十九条及び第七百二十四条の規定は、第一項の規定による請求権を行使する場合に準用する。この場合において、当該請求権を有する者が品種登録前に当該品種登録出願に係る出願品種の利用の事実及びその利用をした者を知ったときは、同条中「被害者又ハ其法定代理人ガ損害及ビ加害者ヲ知リタル時」とあるのは、「品種登録ノ日」と読み替えるものとする。

第三節 審査
(出願品種の審査)
第十五条 農林水産大臣は、出願者に対し、出願品種の審査のために必要な出願品種の植物体の全部又は一部その他の資料の提出を命ずることができる。
2 農林水産大臣は、出願品種の審査をするに当たっては、その職員に現地調査を行わせ、又は独立行政法人種苗管理センター(以下「種苗管理センター」という。)に栽培試験を行わせるものとする。ただし、出願品種の審査上その必要がないと認められる場合は、この限りでない。
3 農林水産大臣は、前項の規定による現地調査を関係行政機関、学校その他適当と認める者に依頼することができる。
4 栽培試験の項目、試験方法その他第二項の栽培試験の実施に関して必要な事項は、農林水産省令で定める。
5 種苗管理センターは、農林水産大臣の同意を得て、第二項の規定による栽培試験を関係行政機関、学校その他適当と認める者に依頼することができる。
6 農林水産大臣は、第二項の栽培試験の業務の適正な実施を確保するため必要があると認めるときは、種苗管理センターに対し、当該業務に関し必要な命令をすることができる。

(名称の変更命令)
第十六条 農林水産大臣は、出願品種の名称が第四条第一項各号のいずれかに該当するときは、出願者に対し、相当の期間を指定して、出願品種の名称を同項各号のいずれにも該当しない名称に変更すべきことを命ずることができる。
2 農林水産大臣は、出願公表があった後に、前項の規定により名称が変更されたときは、その旨を公示しなければならない。

(品種登録出願の拒絶)
第十七条 農林水産大臣は、品種登録出願が次の各号のいずれかに該当するときは、その品種登録出願について、文書により拒絶しなければならない。
 一 その出願品種が、第三条第一項、第四条第二項、第五条第三項、第九条第一項又は第十条の規定により、品種登録をすることができないものであるとき。
 二 その出願者が、正当な理由がないのに、第十五条第一項の規定による命令に従わず、同条第二項の規定による現地調査を拒み、又は前条第一項の規定による命令に従わないとき。
2 農林水産大臣は、前項の規定により品種登録出願について拒絶しようとするときは、その出願者に対し、拒絶の理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えなければならない。

(品種登録)
第十八条 農林水産大臣は、品種登録出願につき前条第一項の規定により拒絶する場合を除き、品種登録をしなければならない。
2 品種登録は、品種登録簿に次に掲げる事項を記載してするものとする。
 一 品種登録の番号及び年月日
 二 品種の属する農林水産植物の種類
 三 品種の名称
 四 品種の特性
 五 育成者権の存続期間
 六 品種登録を受ける者の氏名又は名称及び住所又は居所
 七 前各号に掲げるもののほか、農林水産省令で定める事項
3 農林水産大臣は、第一項の規定による品種登録をしたときは、当該品種登録を受けた者に対しその旨を通知するとともに、農林水産省令で定める事項を公示しなければならない。

第四節 育成者権
(育成者権の発生及び存続期間)
第十九条 育成者権は、品種登録により発生する。
2 育成者権の存続期間は、品種登録の日から二十年(第四条第二項に規定する品種にあっては、二十五年)とする。
登録品種の権利は20年間(木本類植物の場合は25年間)有効です。
(育成者権の効力)
第二十条 育成者権者は、品種登録を受けている品種(以下「登録品種」という。)及び当該登録品種と特性により明確に区別されない品種を業として利用する権利を専有する。ただし、その育成者権について専用利用権を設定したときは、専用利用権者がこれらの品種を利用する権利を専有する範囲については、この限りでない。
登録した品種はもちろんですが,それと同じ形質のものについても権利があります。
2 登録品種の育成者権者は、当該登録品種に係る次に掲げる品種が品種登録された場合にこれらの品種の育成者が当該品種について有することとなる権利と同一の種類の権利を専有する。この場合においては、前項ただし書の規定を準用する。
 一 変異体の選抜、戻し交雑、遺伝子組換えその他の農林水産省令で定める方法により、登録品種の主たる特性を保持しつつ特性の一部を変化させて育成され、かつ、特性により当該登録品種と明確に区別できる品種
「従属品種」に関する項目で,登録品種の重要な特性には変わりがなく,一部の特性が変化しているだけの変異個体については「従属品種」とみなされます。例えば,バラは花が主たる特性であるので,「葉の形が変わった」程度の変異は「従属品種」となります。しかし,花色の変異は「主たる特性」が変化しているので,新品種として認められます。
 二 その品種の繁殖のため常に登録品種の植物体を交雑させる必要がある品種
基本的に交配してできたものは新品種という取り扱いですが,固定種や雄性不稔個体などの場合には増殖に交雑が不可欠で,このような場合には交雑されたものでも同一品種として取り扱われます。
3 登録品種が、前項第一号の農林水産省令で定める方法により、当該登録品種以外の品種の主たる特性を保持しつつ特性の一部を変化させて育成された品種である場合における同項及び次条第二項の規定の適用については、前項中「次に」とあるのは「第二号に」と、同条第二項中「前条第二項各号」とあるのは「前条第二項第二号」とする。

(育成者権の効力が及ばない範囲)
第二十一条 育成者権の効力は、次に掲げる行為には、及ばない。
 一 新品種の育成その他の試験又は研究のためにする品種の利用
登録品種を交配親に用いることは問題がありません。【登録品種を親に使ってはいけないという誤解が広がっているので注意してください】
研究のために登録品種を栽培しても問題はありません。

 二 登録品種(登録品種と特性により明確に区別されない品種を含む。以下この項において同じ。)の育成をする方法についての特許権を有する者又はその特許につき専用実施権若しくは通常実施権を有する者が当該特許に係る方法により登録品種の種苗を生産し、又は当該種苗を調整し、譲渡の申出をし、譲渡し、輸出し、輸入し、若しくはこれらの行為をする目的をもって保管する行為
登録品種の繁殖方法として特許を持っている場合には,特許が優先されます。
 三 前号の特許権の消滅後において、同号の特許に係る方法により登録品種の種苗を生産し、又は当該種苗を調整し、譲渡の申出をし、譲渡し、輸出し、輸入し、若しくはこれらの行為をする目的をもって保管する行為
特許が優先されるので,特許権が消滅した場合には誰でも増殖できるようになります。
 四 前二号の種苗を用いることにより得られる収穫物を生産し、譲渡若しくは貸渡しの申出をし、譲渡し、貸し渡し、輸出し、輸入し、又はこれらの行為をする目的をもって保管する行為
2 農業を営む者で政令で定めるものが、最初に育成者権者、専用利用権者又は通常利用権者により譲渡された登録品種、登録品種と特性により明確に区別されない品種及び登録品種に係る前条第二項各号に掲げる品種(以下「登録品種等」と総称する。)の種苗を用いて収穫物を得、その収穫物を自己の農業経営においてさらに種苗として用いる場合には、育成者権の効力は、そのさらに用いた種苗及びこれを用いて得た収穫物には及ばない。ただし、契約で別段の定めをした場合は、この限りでない。
米などのように,種子が自家増殖できるものについては,いったん育成者から種子をもらった場合や購入した場合には,それを栽培して自家採種しても違法にはなりません。
3 前項の規定は、農林水産省令で定める栄養繁殖をする植物に属する品種の種苗を用いる場合は、適用しない。
挿し木や接ぎ木などの栄養繁殖で増殖するものについては,育成者から穂木をもらったり購入した場合でも,無断で増殖すると違法になります。
4 育成者権者、専用利用権者若しくは通常利用権者の行為又は第一項各号に掲げる行為により登録品種等の種苗又は収穫物が譲渡されたときは、当該登録品種の育成者権の効力は、その譲渡された種苗又は収穫物の利用には及ばない。ただし、当該登録品種等の種苗を生産する行為、当該登録品種につき品種の育成に関する保護を認めていない国に対し種苗を輸出する行為及び当該国に対し最終消費以外の目的をもって収穫物を輸出する行為については、この限りでない。
正規の方法で苗を購入した場合には,それを大きく育てて販売しても問題とならない。
ただし,輸出する場合には注意が必要で,品種保護が行われていない国に輸出することは禁止されます。例えば,中国ではバラは保護作物に指定されているので禁止ではありませんが,サンダーソニアは指定作物になっていないので,サンダーソニアの新品種を中国に輸出することはできません。
また,鑑賞する切花を輸出するのは問題となりませんが,それから挿し木で増殖する可能性がある場合には輸出できません。

(名称を使用する義務等)
第二十二条 登録品種(登録品種であった品種を含む。以下この条において同じ。)の種苗を業として譲渡の申出をし、又は譲渡する場合には、当該登録品種の名称(第四十一条第二項の規定により名称が変更された場合にあっては、その変更後の名称)を使用しなければならない。
登録品種を栽培する場合には,登録された品種名を明記しなければいけません。ラベルを付けていなかったりした場合には,それが登録品種であるかどうか判らなくなり,後々に問題が起きる原因になります。
2 登録品種が属する農林水産植物の種類又はこれと類似の農林水産植物の種類として農林水産省令で定めるものに属する当該登録品種以外の品種の種苗を業として譲渡の申出をし、又は譲渡する場合には、当該登録品種の名称を使用してはならない。
登録品種の名前を勝手に使用してはいけません。

(共有に係る育成者権)
第二十三条 育成者権が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その持分を譲渡し、又はその持分を目的として質権を設定することができない。
2 育成者権が共有に係るときは、各共有者は、契約で別段の定めをした場合を除き、他の共有者の同意を得ないでその登録品種等を利用することができる。
3 育成者権が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その育成者権について専用利用権を設定し、又は他人に通常利用権を許諾することができない。

(法人が解散した場合等における育成者権の消滅)
第二十四条 育成者権は、次に掲げる場合には、消滅する。
 一 育成者権者である法人が解散した場合において、その育成者権が民法第七十二条第三項その他これに準ずる法律の規定により国庫に帰属すべきこととなるとき。
 二 育成者権者である個人が死亡した場合において、その育成者権が民法第九百五十九条の規定により国庫に帰属すべきこととなるとき。

(専用利用権)
第二十五条 育成者権者は、その育成者権について専用利用権を設定することができる。
2 専用利用権者は、設定行為で定めた範囲内において、業としてその登録品種等を利用する権利を専有する。
自分が育成した品種を登録した場合,他の誰にもそれを栽培させないようにすることができます。
3 専用利用権は、品種の利用の事業とともにする場合、育成者権者の承諾を得た場合及び相続その他の一般承継の場合に限り、移転することができる。
4 専用利用権者は、育成者権者の承諾を得た場合に限り、その専用利用権について質権を設定し、又は他人に通常利用権を許諾することができる。
登録品種を独占して栽培する権利は売買できます。
5 第二十三条の規定は、専用利用権に準用する。

(通常利用権)
第二十六条 育成者権者は、その育成者権について他人に通常利用権を許諾することができる。
2 通常利用権者は、この法律の規定により又は設定行為で定めた範囲内において、業としてその登録品種等を利用する権利を有する。

(先育成による通常利用権)
第二十七条 登録品種の育成をした者よりも先に当該登録品種と同一の品種又は特性により明確に区別されない品種の育成をした者は、その登録品種に係る育成者権について通常利用権を有する。
品種が登録された場合でも,それ以前に自分が栽培していれば問題となりません。例えば,バラ品種「ローテローゼ」を栽培しているなかでピンク色の変異個体が見つかったが特に品種登録をしなかった。別の農家の温室でも同じような変異が見つかり,新たに品種登録された場合には,登録以前に同じような変異個体を栽培していたので,ローヤリティーは請求されません。

(裁定)
第二十八条 登録品種等の利用が継続して二年以上日本国内において適当にされていないとき、又は登録品種等の利用が公共の利益のため特に必要であるときは、当該登録品種等につき業として利用しようとする者は、当該登録品種の育成者権者又は専用利用権者に対し通常利用権の許諾につき協議を求めることができる。
品種登録者が「自分以外は栽培できない」と宣言している品種について,その品種を2年以上栽培されていない場合には,その登録品種を「生産させて欲しい」と申し出ることができます。
2 前項の協議が成立せず、又は協議をすることができないときは、同項に規定する者は、農林水産大臣の裁定を申請することができる。
もし,品種登録者が「生産を認めない」と言った場合には,農水省に「何とかして欲しい」と申し出ることができます。
3 農林水産大臣は、前項の規定による申請があったときは、その旨を当該申請に係る育成者権者又は専用利用権者その他その登録品種に関し登録した権利を有する者に対し、文書をもって通知し、相当の期間を指定して、意見を述べる機会を与えなければならない。
4 農林水産大臣は、登録品種等につき利用がされることが公共の利益のため特に必要である場合を除き、当該登録品種等につき利用が適当にされていないことについて正当な理由がある場合は、通常利用権を設定すべき旨の裁定をしてはならない。
5 農林水産大臣は、第二項の裁定をしようとするときは、農業資材審議会の意見を聴かなければならない。
6 通常利用権を設定すべき旨の裁定においては、通常利用権を設定すべき範囲並びに対価及びその支払の方法を定めなければならない。
7 農林水産大臣は、第二項の裁定をしたときは、その旨を当事者及び当事者以外の者であってその登録品種に関し登録した権利を有するものに通知しなければならない。
8 前項の規定により当事者に第六項に規定する裁定の通知があったときは、当該裁定で定めるところにより、当事者間に協議が成立したものとみなす。

(通常利用権の移転等)
第二十九条 通常利用権は、前条第二項の裁定による通常利用権を除き、品種の利用の事業とともにする場合、育成者権者(専用利用権についての通常利用権にあっては、育成者権者及び専用利用権者。次項において同じ。)の承諾を得た場合及び相続その他の一般承継の場合に限り、移転することができる。
2 通常利用権者は、前条第二項の裁定による通常利用権を除き、育成者権者の承諾を得た場合に限り、その通常利用権について質権を設定することができる。
3 前条第二項の裁定による通常利用権は、品種の利用の事業とともにする場合に限り、移転することができる。
4 第二十三条第一項及び第二項の規定は、通常利用権に準用する。

(質権)
第三十条 育成者権、専用利用権又は通常利用権を目的として質権を設定したときは、質権者は、契約で別段の定めをした場合を除き、当該登録品種等を利用することができない。
2 育成者権、専用利用権又は通常利用権を目的とする質権は、育成者権、専用利用権若しくは通常利用権の対価又は登録品種等の利用に対しその育成者権者若しくは専用利用権者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行うことができる。ただし、その払渡し又は引渡し前に差押えをしなければならない。

(育成者権等の放棄)
第三十一条 育成者権者は、専用利用権者、質権者又は第八条第三項、第二十五条第四項若しくは第二十六条第一項の規定による通常利用権者があるときは、これらの者の承諾を得た場合に限り、その育成者権を放棄することができる。
2 専用利用権者は、質権者又は第二十五条第四項の規定による通常利用権者があるときは、これらの者の承諾を得た場合に限り、その専用利用権を放棄することができる。
3 通常利用権者は、質権者があるときは、その承諾を得た場合に限り、その通常利用権を放棄することができる。

(登録の効果)
第三十二条 次に掲げる事項は、登録しなければ、その効力を生じない。
 一 育成者権の移転(相続その他の一般承継によるものを除く。)、放棄による消滅又は処分の制限
 二 専用利用権の設定、移転(相続その他の一般承継によるものを除く。)、変更、消滅(混同又は育成者権の消滅によるものを除く。)又は処分の制限
 三 育成者権又は専用利用権を目的とする質権の設定、移転(相続その他の一般承継によるものを除く。)、変更、消滅(混同又は担保する債権の消滅によるものを除く。)又は処分の制限
2 前項各号の相続その他の一般承継の場合は、遅滞なく、農林水産省令で定めるところにより、その旨を農林水産大臣に届け出なければならない。
3 通常利用権は、その登録をしたときは、その育成者権若しくは専用利用権又はその育成者権についての専用利用権をその後に取得した者に対しても、その効力を生ずる。
4 第八条第三項又は第二十七条の規定による通常利用権は、登録しなくても、前項の効力を有する。
5 通常利用権の移転、変更、消滅若しくは処分の制限又は通常利用権を目的とする質権の設定、移転、変更、消滅若しくは処分の制限は、登録しなければ、第三者に対抗することができない。

第五節 権利侵害
(差止請求権)
第三十三条 育成者権者又は専用利用権者は、自己の育成者権又は専用利用権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
登録した品種が品種保護されない国に輸出しようとしている業者がいれば,差し止め請求ができます。
2 育成者権者又は専用利用権者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した種苗若しくは収穫物又は侵害の行為に供した物の廃棄その他の侵害の予防に必要な行為を請求することができる。
登録品種が海外で生産されて輸入される場合には,それを廃棄処分させることができます。例えば,中国で登録品種が無断増殖され,切花が輸入されようとしている場合には,水際で廃棄処分請求することができます。

(損害の額の推定等)
第三十四条 育成者権者又は専用利用権者が故意又は過失により自己の育成者権又は専用利用権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為により利益を受けているときは、その利益の額は、育成者権者又は専用利用権者が受けた損害の額と推定する。
2 育成者権者又は専用利用権者は、故意又は過失により自己の育成者権又は専用利用権を侵害した者に対し、その登録品種等の利用に対し受けるべき金銭の額に相当する額の金銭を、自己が受けた損害の額としてその賠償を請求することができる。
3 前項の規定は、同項に規定する金額を超える損害の賠償の請求を妨げない。この場合において、育成者権又は専用利用権を侵害した者に故意又は重大な過失がなかったときは、裁判所は、損害の賠償の額を定めるについて、これを参酌することができる。
登録品種を無断増殖した場合には損害賠償請求ができます。その金額は無断増殖した苗の販売利益相当額が最低額で,それ以上の高額を請求することができます。

(過失の推定)
第三十五条 他人の育成者権又は専用利用権を侵害した者は、その侵害の行為について過失があったものと推定する。

(書類の提出)
第三十六条 裁判所は、育成者権又は専用利用権の侵害に係る訴訟においては、当事者の申立てにより、当事者に対し、当該侵害の行為による損害の計算をするため必要な書類の提出を命ずることができる。ただし、その書類の所持者においてその提出を拒むことについて正当な理由があるときは、この限りでない。

(信用回復の措置)
第三十七条 故意又は過失により育成者権又は専用利用権を侵害したことにより育成者権者又は専用利用権者の業務上の信用を害した者に対しては、裁判所は、育成者権者又は専用利用権者の請求により、損害の賠償に代え、又は損害の賠償とともに、育成者権者又は専用利用権者の業務上の信用を回復するのに必要な措置を命ずることができる。

第六節 品種登録の維持及び取消し
(登録料)
第三十八条 育成者権者は、第十九条第二項に規定する存続期間の満了までの各年について、一件ごとに、三万六千円を超えない範囲内で農林水産省令で定める額の登録料を納付しなければならない。
2 前項の規定は、育成者権者が国であるときは、適用しない。
3 第一項の登録料は、育成者権が国と国以外の者との共有に係る場合であって持分の定めがあるときは、同項の規定にかかわらず、同項の農林水産省令で定める登録料の額に国以外の者の持分の割合を乗じて得た額とし、国以外の者がその額を納付しなければならない。
4 前項の規定により算定した登録料の額に十円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。
5 第一項の規定による第一年分の登録料は、第十八条第三項の規定による公示があった日から三十日以内に納付しなければならない。
6 第一項の規定による第二年以後の各年分の登録料は、前年以前に納付しなければならない。
7 前項に規定する期間内に登録料を納付することができないときは、その期間が経過した後であっても、その期間の経過後六月以内にその登録料を追納することができる。
8 前項の規定により登録料を追納する育成者権者は、第一項の規定により納付すべき登録料のほか、その登録料と同額の割増登録料を納付しなければならない。

(利害関係人による登録料の納付)
第三十九条 利害関係人は、育成者権者の意に反しても、登録料を納付することができる。
2 前項の規定により登録料を納付した利害関係人は、育成者権者が現に利益を受ける限度においてその費用の償還を請求することができる。

(登録品種の調査)
第四十条 農林水産大臣は、登録品種の特性が保持されているかどうかについて調査の必要があると認める場合は、育成者権者又は専用利用権者に対し登録品種の植物体の全部又は一部その他の資料の提出を命ずることができる。
2 農林水産大臣は、前項に規定する場合には、その職員に現地調査を行わせ、又は種苗管理センターに栽培試験を行わせるものとする。
3 第十五条第三項から第六項までの規定は、前項の現地調査又は栽培試験に準用する。

(登録品種の名称の変更)
第四十一条 農林水産大臣は、登録品種の名称が第四条第一項第二号から第四号までのいずれかに該当する場合であることが判明したときは、育成者権者に対し、相当の期間を指定して、当該登録品種について同項各号のいずれにも該当しない名称を提出すべきことを命ずることができる。
2 農林水産大臣は、前項の規定により第四条第一項各号のいずれにも該当しない名称が提出されたときは、品種登録簿に記載して当該登録品種の名称をその提出された名称に変更しなければならない。
3 農林水産大臣は、前項の規定により登録品種の名称を変更したときは、その旨を、当該登録品種の育成者権者に通知するとともに、公示しなければならない。

(品種登録の取消し)
第四十二条 農林水産大臣は、次に掲げる場合には、品種登録を取り消さなければならない。
 一 その品種登録が第三条第一項、第四条第二項、第五条第三項、第九条第一項又は第十条の規定に違反してされたことが判明したとき。
 二 品種登録がされた後において、登録品種が第三条第一項第二号又は第三号に掲げる要件を備えなくなったことが判明したとき。
 三 品種登録がされた後において、育成者権者が第十条の規定により育成者権を享有することができない者になったとき。
 四 第三十八条第五項に規定する期間内に第一年分の登録料が納付されないとき。
 五 第三十八条第七項に規定する期間内に登録料及び割増登録料が納付されないとき。
 六 第四十条第一項の規定により資料の提出を命じられた者が正当な理由なく命令に従わないとき。
 七 前条第一項の規定により登録品種の名称の提出を命じられた者が正当な理由なく命令に従わないとき。
2 前項第一号から第三号まで、第六号又は第七号の規定による品種登録の取消しに係る聴聞は、当該品種登録に係る育成者権に係る専用利用権者その他登録した権利を有する者に対し、相当な期間をおいて通知した上で行わなければならない。
3 前項の聴聞の主宰者は、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第十七条第一項の規定により前項に規定する者が当該聴聞に関する手続に参加することを求めたときは、これを許可しなければならない。
4 育成者権は、第一項の規定により品種登録が取り消されたときは、消滅する。ただし、次の各号に掲げる場合は、育成者権は、当該各号に定める時にさかのぼって消滅したものとみなす。
 一 第一項第一号又は第四号に該当する場合 品種登録の時
 二 第一項第三号に該当する場合 同号に該当するに至った時
 三 第一項第五号に該当する場合 第三十八条第六項に規定する期間が経過した時
5 農林水産大臣は、第一項の規定による品種登録の取消しをしたときは、その旨を、当該品種登録に係る育成者権者に通知するとともに、公示しなければならない。
6 第一項第四号又は第五号の規定による品種登録の取消しについては、行政手続法第三章(第十二条及び第十四条を除く。)の規定は、適用しない。

第七節 雑則
(在外者の裁判籍)
第四十三条 日本国内に住所及び居所(法人にあっては、営業所)を有しない者の育成者権その他育成者権に関する権利については、農林水産省の所在地をもって民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第五条第四号の財産の所在地とみなす。

(品種登録についての異議申立ての特則)
第四十四条 品種登録についての異議申立てについては、行政不服審査法第四十五条の規定は適用せず、かつ、同法第四十八条の規定にかかわらず、同法第十四条第三項の規定は準用しない。
2 品種登録についての行政不服審査法に基づく異議申立ての審理は、当該品種登録に係る育成者権者又は専用利用権者その他登録した権利を有する者に対し、相当な期間をおいて通知した上で行わなければならない。
3 農林水産大臣は、前項の規定により通知を受けた者が当該異議申立てに参加することを求めたときは、これを許可しなければならない。

(品種登録簿への登録等)
第四十五条 次に掲げる事項は、農林水産省に備える品種登録簿に登録する。
 一 育成者権の設定、移転、消滅又は処分の制限
 二 専用利用権又は通常利用権の設定、保存、移転、変更、消滅又は処分の制限
 三 育成者権、専用利用権又は通常利用権を目的とする質権の設定、移転、変更、消滅又は処分の制限
2 この法律に定めるもののほか、品種登録及び品種登録簿に関して必要な事項は、農林水産省令で定める。

(証明等の請求)
第四十六条 何人も、農林水産大臣に対し、農林水産省令で定めるところにより、次に掲げる請求をすることができる。
 一 品種登録出願及び登録品種に関する証明の請求
 二 品種登録簿の謄本又は抄本の交付の請求
 三 品種登録簿又は第五条第一項の願書若しくはこれに添付した写真その他の資料(農林水産大臣が秘密を保持する必要があると認めるものを除く。)の閲覧又は謄写の請求
2 品種登録簿又は第五条第一項の願書若しくはこれに添付した写真その他の資料については、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成十一年法律第四十二号)の規定は、適用しない。

(手数料)
第四十七条 前条の規定による請求をする者は、実費を勘案して農林水産省令で定める額の手数料を納付しなければならない。
2 前項の規定は、同項の規定により手数料を納付すべき者が国であるときは、適用しない。

(条約の効力)
第四十八条 新品種の保護に関し条約に別段の定めがあるときは、その規定による。

第三章 指定種苗
(種苗業者の届出)
第四十九条 種苗業者は、農林水産省令で定めるところにより、次に掲げる事項を農林水産大臣に届け出なければならない。ただし、農林水産省令で定める種苗業者については、この限りでない。
 一 氏名又は名称及び住所
 二 取り扱う指定種苗の種類
 三 その他農林水産省令で定める事項
2 前項の事項中に変更を生じたときも、また同項と同様とする。
3 前二項の規定による届出は、新たに営業を開始した場合にあってはその開始後二週間以内に、第一項の事項中に変更を生じた場合にあってはその変更を生じた後二週間以内にこれをしなければならない。

(指定種苗についての表示)
第五十条 指定種苗は、その包装に次に掲げる事項を表示したもの又は当該事項を表示する証票を添付したものでなければ、販売してはならない。ただし、掲示その他見やすい方法をもってその指定種苗につき第一号から第四号まで及び第六号に掲げる事項を表示する場合又は種苗業者以外の者が販売する場合は、この限りでない。
 一 表示をした種苗業者の氏名又は名称及び住所
 二 種類及び品種(接木した苗木にあっては、穂木及び台木の種類及び品種)
 三 生産地
 四 種子については、採種の年月又は有効期限及び発芽率
 五 数量
 六 その他農林水産省令で定める事項
2 前項第三号に掲げる生産地の表示は、国内産のものにあっては当該生産地の属する都道府県名をもって、外国産のものにあっては当該生産地の属する国名をもってこれをしなければならない。
3 前二項に規定するもののほか、需要者が自然的経済的条件に適合した品種の種苗を選択するに際しその品種の栽培適地、用途その他の栽培上又は利用上の特徴を識別するための表示が必要であると認められる指定種苗については、農林水産大臣は、その識別のため表示すべき事項その他の当該表示に関し種苗業者が遵守すべき基準を定め、これを公表するものとする。
4 農林水産大臣は、前項の規定により定められた基準を遵守しない種苗業者があるときは、その者に対し、その基準を遵守すべき旨の勧告をすることができる。

(指定種苗についての命令)
第五十一条 農林水産大臣は、前条第一項及び第二項の規定に違反した種苗業者に対し、同条第一項各号に掲げる事項を表示し、若しくは当該事項の表示を変更すべき旨を命じ、又はその違反行為に係る指定種苗の販売を禁止することができる。
2 農林水産大臣は、前条第四項の規定による勧告を受けた種苗業者がその勧告に従わなかったときは、当該種苗業者に対し、期限を定めて、同条第三項の基準を遵守すべきことを命ずることができる。

(指定種苗の生産等に関する基準)
第五十二条 農林水産大臣は、優良な品質の指定種苗の流通を確保するため特に必要があると認められるときは、当該指定種苗の生産、調整、保管又は包装について当該指定種苗の生産を業とする者及び種苗業者が遵守すべき基準を定め、これを公表するものとする。
2 農林水産大臣は、前項の規定により定められた基準を遵守しない指定種苗の生産を業とする者又は種苗業者があるときは、これらの者に対し、その基準を遵守すべき旨の勧告をすることができる。
3 農林水産大臣は、前項の勧告に従わない指定種苗の生産を業とする者又は種苗業者があるときは、その旨を公表することができる。

(指定種苗の集取)
第五十三条 農林水産大臣は、その職員に、種苗業者から検査のために必要な数量の指定種苗を集取させることができる。ただし、時価によってその対価を支払わなければならない。
2 前項の場合において種苗業者の要求があったときは、その職員は、その身分を示す証明書を提示しなければならない。

(種苗管理センター又は家畜改良センターによる指定種苗の集取)
第五十三条の二 農林水産大臣は、必要があると認めるときは、農林水産省令で定める区分により、種苗管理センター又は独立行政法人家畜改良センター(以下「家畜改良センター」という。)に、種苗業者から検査のために必要な数量の指定種苗を集取させることができる。ただし、時価によってその対価を支払わなければならない。
2 農林水産大臣は、前項の規定により種苗管理センター又は家畜改良センターに集取を行わせる場合には、種苗管理センター又は家畜改良センターに対し、当該集取の期日、場所その他必要な事項を示してこれを実施すべきことを指示するものとする。
3 種苗管理センター又は家畜改良センターは、前項の指示に従って第一項の集取を行ったときは、農林水産省令の定めるところにより、同項の規定により得た検査の結果を農林水産大臣に報告しなければならない。
4 第一項の場合において種苗業者の要求があったときは、同項の規定により集取をする種苗管理センター又は家畜改良センターの職員は、その身分を示す証明書を提示しなければならない。

(種苗管理センター又は家畜改良センターに対する命令)
第五十三条の三 農林水産大臣は、前条第一項の集取の業務の適正な実施を確保するため必要があると認めるときは、種苗管理センター又は家畜改良センターに対し、当該業務に関し必要な命令をすることができる。

(報告の徴収等)
第五十四条 農林水産大臣は、この法律の施行に必要な限度において、種苗業者に対し、その業務に関し必要な報告を命じ、又は帳簿その他の書類の提出を命ずることができる。

(都道府県が処理する事務等)
第五十五条 第五十条第四項、第五十一条、第五十二条第二項及び第三項、第五十三条並びに前条に規定する農林水産大臣の権限に属する事務の一部は、政令で定めるところにより、都道府県知事が行うこととすることができる。
2 この章に規定する農林水産大臣の権限は、農林水産省令で定めるところにより、その一部を地方農政局長に委任することができる。

第四章 罰則
第五十六条 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。
 一 第二条第四項第一号に掲げる行為を行い育成者権又は専用利用権を侵害した者
無断で苗や種子の生産したり,輸出すると300万円以下の罰金です。
 二 育成者権又は専用利用権の侵害の行為を組成した種苗を用いることにより得られる収穫物を、育成者権者又は専用利用権者の許諾を得ないで、業として生産し、譲渡若しくは貸渡しの申出をし、譲渡し、貸し渡し、輸出し、輸入し、又はこれらの行為をする目的をもって保管した者
無断で増殖された苗を栽培して切花や鉢花を生産して販売したり,輸出することや,海外で無断で増殖された株から収穫された切花を輸入すると300万円以下の罰金です。
第五十七条 詐欺の行為により品種登録を受けた者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
本当は新品種ではないのに,ゴマかして品種登録すると100万円以下の罰金です。
第五十八条 次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。
 一 第五十条第一項及び第二項の規定により表示すべき事項について虚偽の表示をした指定種苗を販売した者
登録品種ではないのに登録品種と表示して販売した場合は50万円以下の罰金です。
 二 第五十一条第一項又は第二項の規定による処分に違反して指定種苗を販売した者
登録品種の表示義務違反に対する農水省の指導に従わなかったときには50万円以下の罰金です。
第五十九条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
 一 第四十九条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
 二 正当な理由がないのに第五十三条第一項又は第五十三条の二第一項の集取を拒み、妨げ、又は忌避した者
 三 第五十四条の規定による報告若しくは書類の提出をせず、又は虚偽の報告をし、若しくは虚偽の書類を提出した者

第六十条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。
 一 第五十六条 一億円以下の罰金刑
無断で苗や種子の生産したり,輸出することや,無断増殖された苗を栽培して切花や鉢花を生産・販売・輸出することや,海外で無断で増殖された株から収穫された切花を輸入した場合,それを実行した経営者や従業員は300万円以下の罰金を支払いますが,それを行った会社に対して1億円以下の罰金です。会社に対して1億円以下の罰金です。

 二 第五十七条、第五十八条又は前条第一号若しくは第三号 各本条の罰金刑

第六十一条 第十五条第六項(第四十条第三項において準用する場合を含む。)又は第五十三条の三の規定による命令に違反した場合には、その違反行為をした種苗管理センター又は家畜改良センターの役員は、二十万円以下の過料に処する。

第六十二条 第二十二条の規定に違反した者は、十万円以下の過料に処する。
登録品種の名前を明記しなかったり,勝手に同じ名前を付けたりすると,10万円以下の罰金です。