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【トマト】

 岐阜県のトマト栽培は、大きく飛騨地方と東濃地方の夏秋トマト、海津郡(岐阜県南部)の冬春トマトにわけられます。海津郡の冬春トマトは昭和28年からトマトの早熟栽培を試行し、成功したのが始まりです。夏秋トマトは昭和40年代に入ってパイプハウスとビニールを利用した雨除け栽培技術の開発で、冷涼地の環境を生かしながら品質向上と生産安定を図ることができ、飛騨地方および恵那地域を中心に広がりました。どちらも60年頃から消費者ニーズに対応した完熟系品種「桃太郎」が導入され、62年には全県下「桃太郎」に統一されました。近頃は環境と調和した安全・安心トマトづくりとして「マルハナバチ」による受粉交配、天敵昆虫の利用による害虫駆除を推進しています。夏秋トマトは7月〜11月に、冬春トマトは12月〜6月に県内及び京阪神地域に出荷されます。

夏秋トマト
 夏秋トマトは飛騨・恵那・益田・郡上・可茂地域において、雨よけ施設の積極的な導入によって生産拡大がなされ、本県の基幹品目として定着している。今後も引続き高品質・低コスト・建康で安全・安定生産を軸とした産地体制の強化を図るため、有機物供給施設の設備を行い、面積の拡大、土壌環境の改善・気象災害の防止等を積極的に対応している。
 品種はすべて「桃太郎8」に統一され、作型は夏秋トマト栽培です(3〜4月:播種、5月下旬:定植、7〜11月下旬:収穫)。栽培面積は約160haで、平均収量は約7t/10a。 主な出荷先は京阪神で、全体の66%をしめており、京阪神での飛騨のトマトの占有率は50%にも達し、8月から9月に京阪神市場で取り扱われるトマトの60%は飛騨地方のトマトである。 苗のほとんどはプラグ苗生産で行われており、「飛騨セルトップ」のほか、「ダイヤトピーグループ」、JA飛騨などでプラグ苗生産が行われており、各農家に配布されている。 選果は各地域毎に設置された共同選果場で自動選果され、出荷されている。 他の産地と同様土壌病害が発生しており、土壌消毒や抵抗性台木の利用などが行われてきたが、近年有用微生物資材などの導入などの新たな試みが行われている。
 また、市場や消費者のニーズが完熟トマトを強く求めていることから、「桃太郎8」の特性を十分理解して、基本技術の徹底を図ると共に、出荷については、低温輸送体制の整備を図り、完熟トマトとしてさらに一層の銘柄向上につながるよう、京阪神・中京市場を中心とした拠点販売及び京浜市場への継続安定出荷体制の確立を検討し、強力な販売戦略を推進している。


冬春トマト
西南濃を中心に、本巣、可児、武儀で栽培されているが、施設栽培中心のため、連作障害等により、栽培面積、生産量ともに横ばい傾向であるものの、一部の地域では栽培面積の増加も見られる。このため、土づくり等による作柄の安定化を図るとともに、高冷地育苗等による作型の前進化、生産施設の装置化・システム化を進めている。出荷については、完熟系ハウス桃太郎で北陸、中京市場を中心に継続安定出荷を実施している。

岐阜県におけるトマトの今後の目標

1 産地の拡大
 (1)新規生産者の確保
 (2)前進栽培を組み合わせた個別経営の規模拡大
 (3)省力化技術の導入
 (4)保温・耐雪構造ハウスの導入
2 栽培管理
 (1)保温と適正な土壌水分管理によるチャック果・窓開き果の発生防止
 (2)土づくりによる品質向上
 (3)近紫外線カットフィルムの導入推進
 (4)フェロモントラップ等による発生予察の励行
 (5)資材費等の見直しによる低コスト栽培の推進
 ◎検討事項
  (1)防虫網、黄色蛍光灯によるオタバコガ防除対策
  (2)セル接ぎ木苗における第1段花房着生節位の安定化
3 継続安定出荷の励行
 (1)週間・旬別計画出荷の徹底と情報の提供
 (2)等階級の流れの適正化
4 選果選別の徹底
 (1)農協間及び選果場間の品質較差の是正
 (2)適期収穫の徹底(収穫時の着色度)
 (3)裂果、軟果、胴打ち果の混入防止
 (4)追熟抑制と結露防止
5 予保冷システムの推進
6 安全性のPR及び消費宣伝

【ホウレンソウ】

 冬から春にかけてのホウレンソウは、岐阜市を中心とした美濃平坦部で生産されています。代表的な産地の岐阜市「島地区」は約40年の歴史があります。冬はホウレンソウ、夏はエダマメを栽培しています。暑さに弱く、雨が多いと品質が下がるホウレンソウは夏作が難しかったのですが、全国にさきがけて昭和45年頃から飛騨地方で始まった雨除けハウス(天井部だけをプラスチックフィルムで覆ったパイプハウス)による夏秋どり栽培が定着し始めました。今では、夏でも涼しい岐阜県の飛騨・奥美濃などの中山間・高冷地を代表する野菜となっています。今では飛騨の高冷地から美濃の平坦地と変化に富んだ自然条件と技術を駆使して栽培され、産地リレーによる周年出荷が可能となり、全国的にも特徴のある産地となっています。

【夏ホウレンソウ】
 3月から次々と播種し、11月まで収穫が行われる夏ホウレンソウ。栽培面積は約700haで、総販売額は約50億円。主な出荷先は京阪神、名古屋で、いずれの市場でも7月から8月にかけて取扱量の70%が飛騨のホウレンソウで占められます。年間5回の収穫が行われ、なかには6回以上の収穫を行う場合もあります。トマトと同様に土壌病害の発生が問題となっていますが、これまでは土壌消毒で対応してきました。しかし、環境問題への配慮から、太陽熱を利用した土壌殺菌や堆肥、有用微生物資材による防除も試みられ始めています。近年開発された新しい作型として、11月下旬から12月に種子をまき、冬季は積雪下に置き、2月中旬から3月上旬の残雪期にハウスにビニールをかぶせて低温下で発芽・生育させた後、4月下旬まで収穫する「雪割りホウレンソウ」があります。「雪割りホウレンソウ」は低温下で生育を行うため、「柔らかくて甘味がある」と市場での人気は高く、新ブランドとして温暖な産地のホウレンソウより高値で取引されています。

岐阜県における夏ホウレンソウの今後の目標

1 産地の拡大
 (1)4 〜11月までの長期安定継続出荷体制の確立(中山間地への新産地化)
 (2)開発農地、水田転作等による面積拡大と新産地の育成
2 栽培管理
 (1)災害に強い栽培技術の徹底
 (2)土づくりと土壌診断による適正な施肥
 (3)密植の防止
 (4)遮光資材の利用(発芽揃いの斉一化)
 (5)かん水による生育調節
 (6)土壌病害の軽減と不耕起栽培による省力化
 (7)夏場のズルケ(腐り)対策技術とかん水技術
 (8)ダニ等微少害虫の防除対策の徹底
 (9)肥料の見直し等による低コスト化の推進
 ◎検討事項
   越冬作型の確立
   適期収穫の励行
3 迅速な予冷による鮮度保持(VCによる予冷)
4 赤葉、ズルケ(腐り)の解消
5 農家、農協間の品質格差の是正
6 FG200gの葉柄折れ等の事故防止と出荷量の拡大
7 出荷情報の提供、継
 ◎検討事項
  (1)鮮度保持フィルム包装の省力化と出荷拡大
  (2)的確・迅速な生育、出荷情報体制の確立と連続安定出荷

【冬春ホウレンソウ】
 大正時代から昭和の始めには夏野菜の後作として栽培され、戦時中には桑畑の間作として徐々に面積を伸ばしてきました。当時は今のように品種が開発されていなく、秋まきがほとんどで、初秋に適当に降雨があるかないかで発芽のそろいが左右され、また発芽の良否で生育の良否がされたため、賭に似た栽培でた。冬から春にかけてのほうれんそうは主に岐阜市・神戸町・安八町が産地で、約400haの栽培面積があります。

岐阜県における夏ホウレンソウの今後の目標

1 産地の拡大
 (1)機械化体系による産地拡大
 (2)品種と段播きによる長期安定生産・出荷
 (3)鮮度保持フィルム出荷の拡増加促進 (4)天候に左右されにくい出荷体系の推進
2 栽培管理
 (1)環境に配慮した低コスト生産
 (2)土づくりや適切な肥培管理による高品質安定生産
 (3)冬期間鮮度保持フィルム出荷できる栽培体系の推進
 (4)M粒種子による品質向上
 (5)マルチ栽培による生産安定
3 共販率の向上
4 段まきによる継続安定出荷と適期収穫の励行
5 出荷初期、終期の品質保持
6 生産者間品質格差の是正
7 3〜4月期の高品質出荷
8 FG袋出荷による販路拡大

【イチゴ】

 岐阜県の施設園芸の代表的な品目で、主に岐阜地域(55ha)、西濃地域(37ha)、中濃地域(13ha)、東濃地域(1.2ha)で栽培され、基幹品目として定着しています。岐阜県におけるイチゴの栽培は古く、大正時代に柳津町で始まり、昭和38年頃から本格化しました。イチゴは本県の施設栽培の代表的な作物で、主に岐阜・西濃・中濃・東濃地域で栽培されています。今後も需要の拡大が期待され価格も安定しているので大型ハウスや予冷庫利用による苗冷蔵システムの導入、また品質向上対策としての予冷庫の効率利用を進めるとともに、「女峰」「とよのか」による作型の組み合わせで11月出し出荷を図っています。また、昭和63年に大粒で食味の良い「アイベリー」に果形と食味の良い「女峰」を交配して「濃姫」が誕生しました。岐阜県ゆかりの戦国時代の武将斉藤道三の娘でのちに織田信長の正室となった濃姫にちなんで命名されたこのイチゴは、高貴で芳醇な香り、鮮やかな赤がひときわ目を引く妖艶なる容姿・・・とその名にふさわしいイチゴです。
 今後、高冷地夏秋取り栽培、小型ポット等利用による育苗の省力化の普及推進により周年供給化を計画しています。

 出荷は10月〜6月に県内をはじめ、主に北陸市場へ出荷されます。

イチゴ(濃姫)の高設ベンチ栽培  

 岐阜県におけるイチゴの今後の目標

1 産地の拡大
 (1)優良親株の生産・供給体制の整備
 (2)生産組織(青年、婦人等)の活動強化
 (3)生産から消費宣伝、販売までの組織活動強化
 (4)濃姫の導入をきっかけにした産地の活性化
2 栽培管理
 (1)土づくりや施肥改善による生産量の増加
 (2)小型ポット等の利用による育苗や定植の省力化
 (3)濃姫の栽培技術の徹底と生産拡大
 (4)雨よけや隔離育苗による健全苗の生産
 (5)暖房機の利用や炭酸ガス施用による高位生産技術の推進
 (6)養液栽培や天敵利用技術の確立1市場集約による拠点販売の実施
3 選果、選別の徹底と産地間較差の是正
4 予冷庫導入による鮮度保持対策の徹底
5 共通の推進
 (1)荷口の大型化
 (2)個選対策
6 継続的計画出荷の推進
7 前進栽培による有利販売
8 消費宣伝の実施
9 通い箱出荷による品質向上と経費削減

【エダマメ】

岐阜県におけるエダマメの本格的な栽培は昭和32年に岐阜市の島地区に導入されてからです。その後栄養価の高い野菜として需要が伸び、作付面積が増加し,現在では県下で約460ha(全国7位)が栽培されています。主な産地は岐阜・西南濃・郡上地域ですが、特に岐阜市の栽培面積が最も多く、約550戸の農家で栽培され、作付面積は約300haで、生産量は約2000t(全国6位)、販売額は約12億円です。岐阜市の長良川流域の肥沃な土壌で栽培されたエダマメは大粒で甘みに富み、岐阜県内と京阪神市場を中心に出荷され、特に京阪神では最高級ブランドと評価され、「岐阜えだまめ」は別格扱いされています。昔は9月〜10月が旬でしたが、現在は7月〜8月が旬です。しかし、ゴールデンウィークを過ぎると「ジョッキを片手にエダマメ」というビール党の期待に応えられるよう、5月から11月まで連続的に出荷されています。7月〜8月に出荷するエダマメは露地で栽培されていますが、5月〜6月に出荷されるエダマメはハウスで栽培され、最近ではこのハウスを利用して11月〜12月の初冬まで出荷されています。
 最近の消費者ニーズは、味の良い白毛種への嗜好が強いことから、優良品種の選定に加えて、予冷施設の導入を行うなど品質の向上に努めています。

岐阜県におけるエダマメの今後の目標

1 産地の拡大
 (1)新産地の育成や中山間地の作付け拡大
 (2)もぎ取り機や袋詰め機など機械化体系 による産地拡大
 (3)転作田の利用による生産拡大
 (4)品種と段播きによる長期安定生産・出荷
 (5)かん水施設の整備による天候に左右されにくい出荷体系の推進
2 栽培管理
 (1)土づくりや施肥改善による生産量の増加
 (2)ハウスやトンネル栽培による5〜6月出荷量の増加
 (3)フェロモントラップ利用による害虫防除
 (4)優良品種の導入と作付け拡大
 (5)トンネル栽培の機械化体系の確立
○出荷改善
1選果、選別の徹底
 (1)汚染、虫害さやの混入防止
 (2)農協間の品質格差の是正
2 共販率の向上
 (1)県統一元集荷による販売力の強化
3 継続的安定出荷と量販店対応(特に8月中旬以降の数量確保)
4 消費宣伝の実施


【ニンジン】

 全国有数のニンジン産地の各務原市鵜沼地区が中心となって約200戸の農家で栽培されています。5月から6月に収穫される春夏ニンジンと11月から12月に収穫される冬ニンジンの年2回採りで全国でも珍しい産地です。春夏ニンジンは寒い1月に播種が始まり、寒さを防ぐためトンネル栽培をしています。一方冬ニンジンは8月上旬の暑い時期に播種が始まります。この時期は土づくりや敷わら等を利用して発芽に注意します。このニンジンが栽培されている各務原台地は火山灰土で覆われた「黒ボク土」と言われる地質で、保水性・透水性・通気性に優れていることから産地として成長してきました。しかし、各務原市は大都市名古屋の通勤圏であることから、都市化の進展により作付面積は横ばい傾向にあります。また、春秋、冬ニンジンの連作によって連作障害の発生がみられるようになり、堆肥などの有機物資材の投入土壌改良資材を用いたり、輪作体系の確立などにも積極的に取り組んでいます。
 1970年代に透水性の良い土壌が災いして、施肥した肥料が地下水汚染を引き起こすという事態が起きましたが、施肥改善、土づくり、牧草などとの輪作体系など産地をあげて積極的に取り組み、現在では「環境に優しいニンジン産地」として環境庁からも評価される大産地として発展してきました。

岐阜県におけるニンジンの今後の目標

1 産地の拡大
 (1)環境に配慮した低コストニンジンづくりの推進
 (2)機械化体系による産地拡大
 (3)マルチやトンネル栽培の組み合わせによる計画生産・出荷
 (4)優良畑の賃借による作付け拡大
2 栽培管理
 (1)土づくりや施肥改善及び輪作体系による高品質・安定生産
 (2)トンネル栽培の適切な肥培管理の徹底
 (3)土壌病害虫(しみ症、センチュウ)防除対策の徹底
 (4)栄養価の高い品種選定・導入と栽培技術の改善
 (5)かん水施設の導入による生産安定
3 選果・選別の徹底
 (1)個人格差の是正
 (2)水切り徹底による腐敗防止対策
 (3)出荷初期並びに終期の選別強化
4 適期収穫と鮮度保持
 (1)M中心での適期収穫
 (2)天候不順による出荷のバラツキの是正

【ダイコン】

 県内各地で四季を通じて栽培されています。3月から6月に出荷を迎える春ダイコンは主に岐阜地域の岐阜市と西濃地域の神戸町です。7月から9月の夏ダイコンは主に中濃地域の高鷲村と飛騨地域の朝日村、丹生川村です。10月から2月の秋冬ダイコンは主に岐阜地域の岐阜市、西濃地域の平田町で生産出荷されるので、年中新鮮な岐阜県産のダイコンが消費者にお届けできます。平坦地のダイコンの産地でもっとも大きいのは岐阜市です。長良川北岸の一帯は沖積層の砂質土壌で耕土が深く、根菜類の産地に適し、古くからの産地です。消費者ニーズの青首品種をいち早く導入し、土づくり、機械化、ハウス・トンネル等の利用など常に努力を重ねて、都市近郊産地のモデルになっています。また夏でも涼しい奥美濃や飛騨地方の高冷地では夏ダイコンを生産出荷していますが、なかでも郡上郡高鷲村の「ひるがの高原」は夏ダイコンの大産地で京阪神市場等に出荷し名声を博しています。

【春ダイコン】
 岐阜市を始め、神戸町、美濃市、関市、安八町が主産地で、約160haの栽培面積があります。ハウス栽培及びトンネル栽培の普及により作型は前進化してきています。また春ダイコンは、栽培品種が多いため青首系基幹品種の選定と統一を図るとともに、作型を延長して夏ダイコンに続く等の周年供給体制の確立と銘柄化の促進を図っています。出荷は中京、京阪神市場を中心として行われています。

岐阜県における春ダイコンの今後の目標

1 産地の拡大
 (1)消費者ニーズの高い青首品種の作付け拡大
 (2)ハウスやトンネル栽培の組み合わせによる計画生産・出荷と生産量の確保
 (3)機械化による省力化、軽作業化の推進
 (4)出作や転作田による産地化と栽培面積の拡大
 (5)ハウス賃借制度の導入による産地育成
2 栽培管理
 (1)栽培ほ場の条件(かん水、排水)整備による高品質・安定生産
 (2)環境に配慮した低コストダイコンづくりの推進
 (3)ハウスやトンネル栽培における適正な肥培管理によるボリュウムあるダイコン生産
 (4)気象に影響されない生産体系の推進
○出荷改善
1 選果・選別の徹底
 (1)適期収穫の徹底(老化防止)
 (2)箱内揃いの均一化
 (3)選別基準の厳守
 (4)除根の徹底
 (5)産地(個人)間品質格差の是正
2 計画的安定出荷と日出荷量の的確な把握 (的確な増減情報、週間情報)

【夏ダイコン】
 中濃地域の高鷲村を中心として、飛騨地域が主産地で、栽培面積は約270haにおよぶ大産地です。高冷地野菜の主要品目として定着しており、ハウス栽培やトンネル栽培、寒冷紗、べたがけ資材などの導入により出荷期間が長くなっています。露地栽培であるため、気象変動に対応できる品種の選択・統一を図る一方、圃場の環境を良くし、土づくりと計画的な輪作を積極的に行い、高品質安定生産を行っています。特に、連作障害の回避には、堆肥の積極的な投入や微生物資材の利用など総合的な防除を行いながら産地の維持に取り組んでいます。主な出荷先は、京阪神、中京、北陸市場で、拠点販売を積極的に推進し、銘柄評価を高めています。

岐阜県における夏ダイコンの今後の目標

1 産地の拡大
 (1)開発農地等での新産地の育成と面積拡大(丹生川、朝日、宮川)
 (2)高冷地のハウス・トンネル・べたがけ栽培による前進化(6月中旬からの出荷)
 (3)地域に合った品種の選定
2 栽培管理
 (1)計画的な輪作体系の確立
 (2)盛夏期(露地物)の品質低下防止対策 (3)品種の特性に合った播種期の徹底
 (3)土づくり(深耕と有機質資材等の施用)
 (4)単収向上(栽植本数増加)
 (5)病害虫防除とほ場衛生の徹底
 (6)収穫機導入の検討
 (7)期間をとおして安定出荷
 ◎検討事項
  収穫残渣処理
  ほ場内・法面からの土壌流亡防止対策の 実証
○出荷改善
1 選果・選別の徹底
 (1)箱内揃いの均一化
 (2)後半の黄葉の解消
 (3)品質の個人格差の解消
 (4)産地間の均一化
2 適期収穫及び朝穫りの推進
3 平準出荷体制の確立
  (週、旬別の出荷計画情報提供と出荷明細の報告、日量の安定出荷)
4 予冷・保冷の実施
 ◎検討事項
  共同洗浄、選果施設の導入による省力化

【秋冬ダイコン】
 岐阜、西濃、中濃地域等の平坦地で約550ha程度栽培されており、最も一般的で作りやすい作型です。このため市場での流通量が多く、価格はやや不安定となる傾向があります。春ダイコンの収穫が始まる1月から2月における出荷を検討することで、銘柄化の促進を図っています。出荷は京阪神、中京市場を中心に行われています。

岐阜県における秋冬ダイコンの今後の目標

1 産地の拡大
 (1)周年出荷をめざした計画生産・出荷
 (2)出作や転作田による産地化と栽培面積の拡大
 (3)優良青首品種の選抜と導入促進
 (4)中山間地域等の産地化促進
 (5)営農組合等による転作田の作付けと集団化の推進
2 栽培管理
 (1)栽培ほ場の条件(かん水・排水)整備による高品質・安定生産
 (2)環境に配慮した低コストダイコンづくりの推進
 (3)土づくりや輪作体系による高品質・安定生産
 (4)難防除病害虫(タバココナジラミ、はんこ病)の防止対策の実施
○出荷改善
1 選果・選別の徹底
 (1)箱内揃いの均一化
 (2)曲がり対策
 (3)品質格差の是正
2 計画安定出荷の励行・安定数量確保
 (1)集中出荷の是正

【ネギ】

岐南町・岐阜市・坂祝町が主な産地となっています。特に岐南町の八剣では「徳田葱」を昭和初期に村が育成に努めたので知れ渡るようになりました。出荷時期は10月から3月ですが、多いのは12月頃で岐阜市の市場を中心に出荷されます。

【タマネギ】

 本県では古くから栽培されてきましたが、特産品として振興されはじめたのは昭和28年頃からです。昭和29年には歴史的な品種「岐阜黄」が育成され、首のしまりが良く、光沢良く、貯蔵性も高いことから長期間に渡り、たまねぎの代表的な品種として評価されてきました。 現在では品種が変わったものの、青切り出荷する品種と吊り玉貯蔵する品種と栽培されています。5月から6月に出荷するものは早生品種で、たまねぎを早取りして出荷できるため、新鮮さが楽しめます。7月から8月に出荷される晩生品種で吊り玉貯蔵して保存が効くのが特徴です。 本巣・岐阜・西南濃を中心として栽培されています。