【ホウレンソウ】
 岐阜市の主要な農産物の一つ、ホウレンソウの出荷がピークを迎えている。今年は暖冬のため生育が早く、収穫時期も集中しがち。市内の農家の人々は収穫作業に大わらわだ。 市内には、島、則武、合渡校区などで約180戸のホウレンソウ農家があり、例年、合計約2千トンを北陸地方などへ出荷している。ほとんどが露地栽培だが、一シーズン2度の収穫が可能で、10月から4月にかけて収穫は続く。 しかし、今年は生育が1カ月ほど早いといい、春向けに種をまいたのがそろそろ収穫を迎えるという。 市園芸振興会ほうれんそう部会長の佐藤五郎さん(65)=同市菅生=は、妻の節子さん(59)と2人で収穫に大忙し。約55アールの畑で栽培しており、30把(ぱ)入りのケース25箱ほどを毎日出荷する。佐藤さんは「ホウレンソウは栄養価の高い野菜。今年は春先に品薄になる可能性もあり、出荷量の多い今が消費者にとってはお買い得でしょう」と話していた。





【イチゴ】
 羽島郡柳津町佐波の農家で、「佐波イチゴ」の出荷がピークを迎えている。甘酸っぱい香りが漂うビニールハウスでは、収穫作業が忙しさを増してきた。 佐波イチゴ組合(小川嘉守組合長)の39戸が計七ヘクタールのハウスで生産し、11月から翌年5月まで、ケーキ用に人気の「女峰」など3品種を岐阜、長野の市場へ出荷している。 岐阜南農協さかい川支店によると、今年は秋の長雨と暖かさから、例年に比べてやや小粒で、収量は少ないが、甘味は十分という。 同町佐波、安田正夫さん(58)方のハウスでは、大粒品種の「とちおとめ」を生産。妻の妙子さん(55)とともに、真っ赤に色付いたイチゴの実を大切に収穫している。
 イチゴの最需要期のクリスマスを控え、羽島郡柳津町佐波で特産「佐波イチゴ」の出荷が本格化した。農家の人たちは、朝早くから甘い香りの漂うビニ−ルハウスで摘み取り、出荷作業に追われている。 同地区では、大正末期に養蚕農家が新事業として取り組んだ。肥えた土地と気象条件に恵まれ、「佐波イチゴ」のブランドで全国に知られるようになった。 後継者不足で栽培農家は年々減っているが、現在も佐波いちご組合(小川嘉守組合長、四十七人)が八ヘクタールで品種「女峰」を栽培し、岐阜市場と長野市場へ五月までに三百トンを出荷している。今年から岐阜の新品種「濃姫」も一部試験栽培を行っている。 今年の出来は甘さ、粒の大きさも例年並みだが、ビニ−ルをかける前の定植期の五月に雨が多かったため根張りが悪く、収穫が一週間ほど遅れている。 専業農家の小河先さん(54)宅では、先月初めから収穫を始めており、早朝から四時間ほどかけて収穫している。ハウスの室温は二五度ほどで、作業をしていると汗ばむ。 収穫後は近くの作業場でパックに詰めてから、午後にJA岐阜南佐波支店へ出荷している。

【守口ダイコン】
 冬の風物詩となっている岐阜市特産の守口大根漬けの込み作業が、岐阜市則武中のJAぎふ則武支店横の倉庫などでピークを迎えている。農家の人たちが大きなたるに上り、数十本ずつ束ねられた大根を手際よく漬け込んだ。
 同市則武、鷺山校区などは、古くから守口大根の特産地。種まきは九月中旬だが、今年は豪雨で被害を受けたため、一部まき直した。その後は好天に恵まれ生育は良好で、市内や名古屋市などの漬物業者と契約した約二百三十四トン分の出荷は見込めそうという。
 この日は約五トンの大根が初出荷され、生産農家の人によって巨大なたるに漬け込まれた。この後の作業は漬物業者の手に移り、酒かすなど業者ごとの味付けで五、六回漬け返され、二、三年後に市場に出る。漬け込み作業は来年一月初めまで続くという。

【ブドウ】
 お盆休みで各地の行楽地がにぎわっているが、岐阜市長良雄総の観光ブドウ園では、デラウエアが最盛期を迎え、「近場でレジャーを」という家族連れらが詰め掛けている。 同ブドウ園は、長良川畔観光園芸組合(近藤叶一組合長、6戸)の農家が開設。計80アールの畑では、種なしのデラウエア、黒ブドウのスチューベン、ベリーAの3種類を栽培、9月下旬までブドウ狩りが楽しめる。 今年は、4月に雨が少なく、昼夜の温度差が大きかったため、平年に比べ豊作で甘みもたっぷり。デラウエアの食べごろはお盆ごろまでで、続いてスチューベン、ベリーAの順で収穫期を迎える。(グラフ転載のみ、この下も付けて下さい) 10日も、最高気温が34.3度(平年32.7度)と13日連続で真夏日となったが、朝から家族連れや子供会が訪れ、ブドウ棚の陰でもぎたての味を楽しんでいた。






【エダマメ】
 岐阜市の特産「岐阜えだまめ」のハウス物の出荷作業が島地区などで始まった。今年も例年とほぼ同時期で、出来栄えも上々とか。6月下旬からは、露地物の出荷が10月まで続く。 「岐阜えだまめ」は岐阜市の園芸農産物の中でも、トップの特産品。約550戸の農家で栽培され、作付面積は昨年より33ヘクタール増の296ヘクタール。今年の生産量は1924トン、販売額は12億円が見込まれている。うちハウス物は約2割。出荷先の7割は関西地方で、鮮度、味ともに優れた「岐阜えだまめ」は、各市場で高い評価を受けている。 この日は島、合渡、則武地区などの栽培農家で出荷作業がスタート。同市曽我屋の鷲見二夫さん(79)方では、近所の農家の協力を得て、取り入れやケース詰めを行った。 鷲見さんは「岐阜えだまめはビールのつまみに最適。今年も自信作が出来上がった」と話していた。
 中部地方で出荷量が最も多い特産「岐阜えだまめ」の出荷が、岐阜市内の農家で始まった。今年は天候に恵まれ、出荷は例年より1週間ほど早く、作柄も豊作が見込まれるという。出荷は11月上旬まで続く。 岐阜えだまめは、同市の園芸トップ銘柄品目。島、合渡、則武、七郷が主な栽培地区で、生産農家は約550戸。昨年の作付面積は255ヘクタールで出荷量は1,557トン。中部地方では最大の産地、全国でも出荷量は6位。作付面積は年々増え、今年は279ヘクタールで計画、出荷量も1,820トンを予想する。 出荷先は京阪神市場が約70%、北陸市場が17%で、地元岐阜市場は13%という。早朝の収穫で翌日の昼には店頭に並び、鮮度が良く、厳しい選別で品質を保ち、味の良い−と市場で高い評価を受け、他の産地に比べ高価格で取引される。 岐阜市曽我屋の枝豆専門農家鷲見二夫さん(76)方では6日、親類ら計5人が出荷に当たった。枝豆作り20年の鷲見さんは今年3月、県の飛騨美濃園芸特産で枝豆特産名人に認定されている。この日は、早朝に収穫した枝豆を選別し、百グラムの袋詰め作業をした。 いまはハウスもので、露地ものは7月以降になる。鷲見さんは「ハウスものは気温を一定に保つのが大切。今年は2、3月に気温が高かったので生育はいい。これからは市場が休みの日外はずーっと忙しい」と流れる汗をぬぐった。


【セントポーリア】
 生産量で全国一となっている本巣郡真正町のセントポーリアの出荷が最盛期を迎え、町内のビニールハウスでは従業員らが出荷作業に追われている。 同町のセントポーリアは1998(平成10)年度、92万2千鉢が生産され全国1位。ガーベラやカランコエ、ベゴニヤなどの栽培も盛んで、花き栽培全体では172万5千鉢を生産し、県内一の生産量を誇る。 同町上真桑の「サンコフ」(林克二さん経営)では、約8250平方メートルのビニールハウスで年間にセントポーリア約40万鉢、ベゴニヤ約30万鉢などを栽培して全国に出荷している。セントポーリアは毎年12月に苗を植え、出荷は3月初旬から始まるが、4月初旬から5月の母の日にかけてがピーク。 3年前から、国の補助を受け、花き栽培を始めたという林さん。ハウス内は苗の土かけや水やりなど多くの部分で機械化が進んでいるが、花のつき具合をチェックしながらの出荷作業は従業員12人が手作業で行う。「大変な仕事だが、多くの人に花を楽しんでもらえ、やりがいがある」と話していた。



【ニンジン】
 全国有数のニンジン産地の各務原市鵜沼地区の畑では、ニンジンの種まきの最盛期。畝(うね)にはビニールのトンネルが何本も延び、畑一面が銀世界≠フような壮観な景色が広がっている。 各務原市東部の鵜沼地区は、春夏ニンジンと冬ニンジンの二期作。県内生産の九割以上を占める東海地区随一の大産地で、約250戸の農家が約90ヘクタールで、年間約六千トンを生産している。春夏ニンジンは1月から2月にかけて種をまき、保温のため、畝の上をビニールで半円形に覆っている。日差しを浴びて輝く畑は、雪に覆われたような景色と錯覚しそうだ。 昨年出荷のニンジンは天候不順などで形が悪く、出荷量も大きく減ったただけに、農業関係者は「今年は天候に恵まれ、良いニンジンをたくさん出荷したい」と期待している。

 全国でも珍しいニンジンの二期作地で知られる各務原市で6日、春ニンジン≠フ出荷が始まり、色濃い大地の幸≠ェ食卓に運ばれた。5月下旬から6月初旬が出荷ピークになりそう。
 同市のニンジ畑は、根菜に適している火山灰土「黒ぼく土壌」が広がる鵜沼地区一帯。約200戸の生産農家が春−夏に約3500トンを栽培し、岐阜、名古屋、北陸の市場に出荷する。今年は3,4月に雨が多く、日照時間が少なかったため、生育はやや遅れ気味。
 初日から出荷する農家は3戸だけで、そのうちの薫田佐登史さん(40)宅では、朝早くからニンジンの洗浄や箱詰め作業に大忙し。はだか電球の明かりの下、3人がかりで手際良く詰め込んでいた。
 薫田さんは明治時代から長ニンジンを作る伝統農家。12月に種まきした土壌をシートで包み、地温を上げて大切に育ててきた。「春ニンジンは歯ごたえが柔らかいのが特徴。ぜひ味見を」と話していた。

【カランコエ】
 岐阜市石谷では今、南国の花・カランコエの出荷が盛んだ。岐阜県は埼玉県に次いで全国2番目の生産量を誇る。赤、白、黄色など色が多彩で育てやすく、ガ−デニングの素材としても人気を集めており、生産農家が出荷作業に追われている。 細かい花が固まって咲くカランコエは、マダガスカル原産でアフリカに広く分布。本来の花の時季は3月から5月だが、初夏の花の端境期にも部屋や庭を彩ることができ、ガ−デニングの名役者でもある。県園芸特産課の1996(平成8)年の調べでは、県内の出荷総量は約195万鉢だった。 岐阜市農業協同組合の温室を利用している生産組合・フロ−ラぎふOKI(種田七生代表)では6日、7人の組合員が鉢のラッピングなど出荷作業に大忙し。中京圏から関西圏を中心に全国に出荷しており、「従来より少し大き目の花をつける岐阜独自の種類も人気です」と生産者は話している。




【干し柿】
 山県郡伊自良村で特産の干し柿づくりがピ−クを迎えている。今年は柿の大豊作で、天日干しのために農家の軒先につるされた連柿の“玉すだれ”も大きく圧巻。柔らかな初冬の日差しを浴びてキラキラと輝いている。 同村は干し柿に適した細長い渋柿の伊自良大実(おおみ)の産地で、大正末期から昭和初期に農家の自家用として普及。その後、戦後の食糧難で甘い物が不足したこともあり、岐阜市場に広まった。  現在は伊自良連柿生産出荷振興協議会(作村勇会長、会員50人)を中心に約二万連(一連30個)を作り、迎春用の贈答品として、12月中旬に岐阜市場に出荷する。 各農家では柿の皮むき作業がピ−ク。皮をむいた柿は一本のくしに三個ずつ刺し、十本のくしをわらで編み上げて“連”にした後、日当たりのいい南向きの母屋や倉庫の軒先に架けていく。 2週間ほど天日干し、白い粉が噴き出した後、出荷される。価格は一連で1000円から4000円ほど。 同村では「昨年は春先の凍害で不作だったが、今年は例年の1・5倍の収穫。玉伸びもよく、干し柿も良品が期待できる」と話していた。

【カーネーション】
 「母の日」(5月第2日曜日)のプレゼントにカーネーションの花は付きもの。切り花のほか最近は、花が長く楽しめる鉢物の人気も高いとか。「母の日」が近づき、鉢物カーネーションの生産農家はパート主婦を雇い、出荷作業に追われている。 カーネーションはナデシコ科の多年草で、南ヨーロッパから西アジアが原産。「母の日」は米国の少女が死んだ母親の墓前に白いカーネーションをささげたことに由来。日本では1949(昭和24)年から始まった−とされる。 原種は鮮やかな赤い花。カーネーションの花といえば赤のイメージが強いが、最近は品種改良されてピンクや黄色、紫色の花まで登場してカラフルになった。 岐阜市日置江で花き栽培をしている浅野園芸=浅野寿晴さん(42)経営=では、鉢物の出荷を連休前から開始。ビニールハウス内には花を咲かせたカーネーションがずらりと並び、華やかな雰囲気。その中で従業員やパート主婦らは、忙しく動き回っていた。 岐阜市内の生花店の話では、30日現在で切り花は1本200−250円、赤い花の5寸鉢が1000〜1200円ほど。連休明けごろから「母の日」当日にかけて、値が上がるという。