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★チェンマイにおける露地切りバラ生産

 チェンマイは標高600mで、年間を通じて気候が温暖で、バラの生育にとって申し分ない条件です。11月〜4月の乾季の間は雨がほとんど降らず、なかでも12月〜1月は寒季とも呼ばれ最低気温が10℃前後になることがあります。雨季は5月〜10月で、8〜9月はほとんど毎日雨が降ります。
 したがって、12月〜2月はバラの生長が停止するため、それ以外の時期に露地の切バラ生産が行われています。農場を訪問したのは7月であったため適度な降雨があり、気温も25〜30℃と適温であったため、良質な切りバラが生産されていました。
 潅水は畝間潅水で、水路から水を引き入れて潅漑します。同時に肥料も供給されるようです。苗生産は挿し木で行われていました。充分な日射量があるため、生産性は思ったより高いと感じました。

     

収穫されたバラは、選花場で選別され、水揚げ処理を行った後、バンコクに輸送・販売されるとのことでした。低温庫も備えており、品質は悪くありません。露地栽培でこれくらいの品質のものが生産できれば、雨除け栽培であれば相当の品質のものが生産可能だと思いました。

   

★チェンマイ南西部のKhun Klang高地(標高1500〜2000m)におけるバラ生産

 チェンマイ南西部にはタイで最も標高の高いDoi Inthanon山(2565m)があり、その中腹の高原地帯には山岳民族が住んでおり、Royal Projectの一環として様々な野菜、花き類が生産されていました。生産地域のなかにバラの生産施設がありました。
 生産施設は写真のように簡易な雨除けパイプハウスで、栽培管理技術はまだまだ未熟ですが、このレベルの生産技術でもバラの成長自体は悪くありません。剪定技術や切花後の管理など、恐らく指導体制が不充分なため、生産された切りバラの品質は高くありませんが、生産技術のレベルが高まれば大きな産地となる可能性を感じさせます。
 この地域はミャンマーと国境を接しており、東南アジアの亜熱帯高地(ミャンマー、ラオス)と気候がほとんど同じです。以前より指摘しているように、この地域は将来、コロンビアやケニアに相当するアジアの切りバラ生産地となる可能性が高いと考えていますが、バラの生育を見る限り、私の推定は間違いないと実感しました。

     

★バンコクにおけるバラ生産

 バンコク西部の切りバラ生産地の状況です。訪問したのは7月ですので、雨季に入った直後の季節です。昼は30℃以上で夜も25℃と高いため、切花長も短く品質は高いとはいえません。出荷先はバンコク市内とのことですが、いわゆるカジュアルフラワーとしての利用だと思います。タイ国民はバラが好きなので、バンコク近郊産地としての需要があるものと思います。栽培管理はあまり徹底していないため、ウドンコ病も発生していましたが、あまり深刻な感じを受けませんでした。国民性なのかもしれません。