良才(ヤンジェ)花市場(韓国農水産物流通公社:aTセンター)
(韓国,ソウル市瑞草区(ソチョグ)良才洞(ヤンジェドン)232)
2006年8月16日に韓国ソウルで開催された国際園芸学会の際に訪問しました。
2011年2月28日に研究室の卒業旅行で、多幸園芸の青山英子社長の案内で訪問しました。
良才(ヤンジェ:Yangjae Flower Market)花市場は韓国最大の花き市場で農水産物公社が開設しています。敷地面積は3,500坪と広大で、時計ゼリの競売場と切花専門の相対市場、鉢物専門の相対市場が開設されています。
正門から入って右側の建物に競売(セリ)場の建物があり、事務所があります。韓国の競売(セリ)市場経由率は30%程度で、70%が相対市場で取り引きされています。良才(ヤンジェ)花市場には2台のセリ板があり、セリ下げ方式の機械ゼリが行われていました。切花の競売(セリ)は深夜12:00から始まり、午前6:00頃には終了して、その後に鉢物の競売(セリ)が始まります。良才(ヤンジェ)花市場には2回訪問したのですが、毎回マッコリ(にごり酒)を飲んだくれて深夜に訪問することはできませんでした。
競売場の他に、業者向けの切花相対市場(仲卸棟)があります。切花相対市場には約200軒の仲卸が入っています。競売が終わった花はすぐに仲卸棟の店舗に配荷され販売されます。
韓国でも切花鮮度が注目され始めているようで、市場開設者である農水産物公社がバケット流通を推奨しています。しかし、現場での評価が低く、なかなか広がらない状況で、横箱が主流です。
バケット流通が広がらない理由に市場手数料があります。生産者の出荷手数料は1箱あたり30円で、同様な経費が競売手数料としてかかります。出荷手数料が箱ごとにかかるため、切花本数が少ないバケット出荷は敬遠され、生産者は段ボール箱を大きくして経費節減を図っています。
大量のバラが販売されていました。韓国のバラ栽培面積は日本の490haより大きく、540haに達しています。出荷は10本束が基本で、ベニア板で仕切った区画に花を前面に向けて横に並べて展示してありました。
白の輪ギクが販売されていました。青山社長に伺うと、キクの需要は葬儀が主流で、日本式の葬儀が増えているとのことでした。
切花の出荷はソウル花き市場に集中しており、ソウルから地方への転送が多いとのことです。切花の消費を担っているのはキリスト教会とのことです。韓国のキリスト教普及率は30%に達しており、ソウル市内でもキリスト教会をよく見かけました。
キリスト教会では日曜礼拝の時に切花をたくさん使って飾り、教会同士が装飾を競っている傾向があるとのことです。
近年、アルストロメリアは生産量が急増して単価が急落し、100円/10本で販売されているとのことでした。
仲卸棟には切花装飾が展示してありました。下の写真の上段4枚は2006年に訪問した時に撮ったもので、下段2枚は2011年の訪問時に撮影したものです。装飾の変化がみられます。
韓国でも環境問題がクローズアップされており、オアシスは廃棄の時の環境問題や花保ちの問題で使用を制限する動きが出ているとのことです。
また、韓国ではガーベラの茎に針金を通して飾ることが一般的で、自然な姿が楽しめないということからあまり好まれなくなってきているそうです。販売されているガーベラをじっくり見ると、花の先に針金の先端が出ていました(矢印)。
2011年の花き市場に出荷されている切花をみて海外からの輸入切花が極めて少ないことに気が付きました。切花や鉢物の関税は24%で、これが輸入品の障害になっているとのことで、特に、良才(ヤンジェ)花市場は農水産物公社が開設しるため、農民に対する感情の問題から、韓国産でない外国の花は扱わない取り決めになっているようです。
将来は韓国で作っていないものなら輸入品でも扱う動きはあるものの、農家感情からそれも無理ではないかと、多幸園芸の青山社長は言っておられました。
一部の輸入切花については、ソウル市内の輸入業者が直接小売に卸しているとのことでした。
鉢物を取り扱う相対市場も併設されています。仲卸は約100軒ほどが店を出しており、小売もしています。
販売されている鉢花の種類はそれほど多くなく、植物名だけの表示で、登録された品種名を表示しているラベルはほとんど見かけませんでした。
価格はかなり安く、セントポーリアは1鉢140円、3鉢で350円でした。
東洋蘭の種類は多く、一種の投機的目的で流通しているような感じを受けました。
面白い商品を見かけました。シイタケの菌床を吊り鉢にして販売していました。一瞬ギョッとしたのですが、眺めていると結構面白くて、鑑賞と実益をかねて部屋に吊り下げるのも悪くない気がしてきました。
鉢物の仲卸棟の外には陶器鉢が販売されていました。