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Inggu Laut Florist
Batu, Indonesia

2010年8月31日にインドネシアのInggu Laut Florist社を訪問しました。
Inggu Laut Florist社は標高1350mのArjuna Flora社農場の隣にあるキクの生産会社で、主な業務は、キクの育種、組織培養、挿し木用穂木生産、切り花生産です。経営者はIndroko海軍大将です。Indroko海軍大将はインドネシアでは誰もが知っている有名な人格者です。施設をEko Hardiyanto氏に案内していただきました。
組織培養施設があり、キクとカーネーションの茎頂培養および無病苗の大量増殖を行っていました。Inggu Laut Florist社はキクの育種と種苗生産を行っており、育成した品種のウィルス・フリー個体の増殖用に組織培養を行っています。日本では、通常の成長点培養では除去できないウイロイドが問題になっていますが、インドネシアでは問題になっていないようです。カーネーションの茎頂培養はキクの技術を活用した新規事業としての試作とのことでした。

   

農場は、標高3339mのArjuna山の南斜面傾斜地にあるため、段々畑のように温室が建てられていました。舗装された通路の両脇に4棟×4列のハウスが建っています。

 

インドネシアのBatu市は南緯7度にあるため、年間12時間の日長です。したがって、キクやポインセチアなどの短日植物は年中花芽分化します。玄関脇に植栽されていたポインセチアは常に花芽分化して樹全体が赤色の苞で覆われていました。

温室は木造です。赤道周辺は強風がないため、簡易な木造施設でも充分です。キクはウィルスが問題となっているため、防虫ネットで周囲を被覆して吸汁性害虫の進入を防いでいました。

 

キクは短日植物ですので、挿し穂生産温室では蛍光灯による電照栽培を行って花芽分化を抑制しています。挿し穂の採取温室では元気なシュートが伸びていました。

   

キクの挿し芽はもみ殻燻炭を使用して行っています。

   

環境に配慮して雨水などを貯留するタンクが事務所の地下に設置されていました。この地下タンクからポンプアップして潅水に使用します。

 

キクの育種を行っており、実生選抜、収量性検定が行われていました。

   

今回の視察では、切り花生産温室を見ることができませんでしたが、出荷場にはスプレーギクがありました。施設全体から判断して、生産技術はそれほど高いレベルにあるとは思われませんでしたが、切花は良い品質でした。環境がキクの生産に適しているため、最適環境条件の効果が技術水準を凌いでいるのではないかと思います。今後、生産技術が向上すれば、国際水準の切花生産が可能になるものと思います。切花はインドネシア国内で販売しています。

キクの他、カーネーションやガーベラの切り花生産を試験し始めており、バラ苗生産やリンゴ果実生産も行っています。


カーネーションの試験栽培


バラ苗生産圃場


サンスベリアの花が咲いていました。