I. A. Bos B.V.社は1979年に創設された会社で、1995年に38,000u(3.8ha、11,400坪)の温室を建設してパプリカを生産し始めました。
10月に播種し、3月から収穫を始め、10月まで収穫を行う「栽培システム」を取っています。栽培システムはロックウール栽培で、用水は雨水を用いており、温室の外に大きな貯水槽があります。
温室規模はとても大きくて、通路の端から向こうが見えないほどでした。換気が行き届いていて、訪問した日は天気が悪かったのですが、眼鏡が曇るようなことはありません。このような温室内環境であれば、病気の発生も極めて少ないと思います。
パプリカは結実に従って果実の着果部位が上昇して高くなるため、栽培期間が遅くなると収穫は高所作業を要するようになります。下の写真の下段右にある機械は収穫作業機で、畝間の暖房用配管をレール代わりにして栽培ベッドを行き来します。機械の右側の「踏み台」が電動で上下動し、着果部位に合わせて作業を行うことが出来ます。機械の左側の部分が収穫したパプリカを入れる収穫ボックスです。
収穫されたパプリカは機械で選果機で重量選別され、規格ごとに箱詰めされます。主な出荷先はEU圏内ですが、アメリカや日本へも輸出されます。訪問した日の収穫物は「日本」向けに輸出されるものでした。
オランダ国内の農業に対する環境対策に関する法的規制は厳しく、特に野菜生産に関しては農薬使用量、廃液などの規制があります。 I. A. Bos B.V.社では殺虫剤の使用量を削減するために天敵を導入していました。スリップス(アザミウマ)、ダニ類、アブラムシのいずれに対しても各々2種類の天敵を導入し、これらに対してはほぼ無農薬の状態で生産を行っていました。