RijnPlantはアンスリウムの育種、苗生産、,鉢物・切花生産会社です。
2005年7月に鉢物生産部門の施設を視察しました.
2012年7月に育種部門の施設を視察しました.
9haの生産施設で40人の従業員が働いており、毎週4500鉢が出荷されています。
育種部門で育成された品種が、苗生産部門で組織培養で増殖され、その後に鉢物として生産するという一貫体制で生産が行われています。
生産はすべて自動化されており、機能的な施設設計となっていました。
ポッティング機械で培養土が充填された鉢に苗が定植されます。
定植された苗は、9haの広大な生産施設で31週間育苗され、出荷されます。この間に2回のスペーシングが行われます。
育苗は、コンクリート張りの床に直接並べられて育成されます。潅水はWebb & Flow方式の底面潅水ですが、床全体がプールになっています。
床に直接鉢がおかれているため、鉢から根が出ないように特殊な鉢が使われていました。この鉢の周囲の縁が鉢底より高くなっており、鉢底に空間が空くような仕組みになっています。鉢底に空間が空くためエアープルーニングで根が鉢底の穴から出ないようになります。
エア・プルーニング:空気根切り現象といい、根が通気性のある空気層に到達すると根端の伸長が停止する現象で、エアープルーニングされた根は再び鉢の内側に伸長し始めます。
スペーシングや出荷のための移動は、移動ベンチあるいは電動式牽引車で行います。
栽培施設にはナトリウムランプがあり、生育促進が図られています。
開花し始めた植物は、出荷検査のために自動搬送システムに移されます。
自動搬送システムラインはカメラが設置された画像解析装置に続いており、花の数を画像解析で判別し、出荷できる鉢と栽培施設に戻される鉢に分別されます。
自動搬送システムにはWPS Horti Systems社の自動搬送システムが導入されています。
搬送トレイの裏側にはICチップが付いており、画像解析で判別されたデータが瞬時に保存され、出荷場にむかうものと出荷ストックヤードへむかうものとに分別されます。画像解析では、草丈、株幅、花数、花の着色面積などが瞬時に判別されます。
ストックヤードに行く鉢は、画像解析によって花の数やその面積が不足して再度栽培継続が必要と判断されたものですが、その後の栽培期間も同時に評価され、一定の栽培期間を経ると再び自動的に画像解析装置まで移動します。ストックヤードは16,000鉢が栽培できる面積があります。
栽培期間中の潅水は、移動時に潅水レーンを通過する際に自動的に行われます。
出荷可能と判断された鉢は、最終調整が行われた後にラッピングを行い出荷されます。
研究開発担当者と栽培管理者との間で、熱心な討論が行われていました。
見事にデザインされた商品です。商品開発のために販売店からの要望を常時収集しています。
展示会や品評会には積極的に出品し、商品品質評価を継続的に収集しています。
育種部門および苗生産部門
施設面積は8haで、育種と苗生産が行われています。
入口を入ると品種展示ショールームになっています。
これまでRijn Plantでは200以上のアンスリウム品種を登録しています。
その多くは、「コレクション」という名前でシリーズ品種群が構成されており、現在15コレクションがあります。
King Collection、Queen Collection、Princess Alexia Collection、Princess Amalia Collection、Princess Ariane Collection、Adios Collection、Beauty Collection、Love Collection、Baby Collection、Bouquet Collection、Anthedesia Collection、Nano Collection、Specialty Collection、Prince Collection、Painter Collection
これらのコレクション品種群は、「コレクション」ごとに生産会社を指定して生産させており、差別化戦略をとっていました。
RijnPlantでは2010年から13名の鉢物生産者による連携生産者グループAllsenzAを形成しており、育成したコレクション品種群を専属で生産しています。AllsenzAの生産面積は49haに及びます。
生産した鉢物はヨーロッパ全土に出荷されています。
アンスリウムは熱帯性植物耐寒性が低いと思っていましたが、3℃でも耐えられる品種が育成されていました。
RijnPlant社のこれまでの育種は鉢物品種が主体でしたが、切り花品種も育種を開始していました。
育種温室に入るためには、病害防除対策として靴カバーを付けて入室します。スリップスの侵入を防ぐために天窓には目の細かい網がかけてありました。
系統ごとに10〜40交配を行います。
下の写真は交配後の果実が形成している状況ですが、11〜18週で種子を採取し、年間20,000〜40,000粒を播種しています。
実生個体の鉢には、交配親番号、交配日、鉢上げ日などが記入したラベルが貼られていました。
交配後の育成選抜中の個体が所狭しと並んでいます。
実生個体からの選抜では、20,000個体から開花段階で5個体を選抜し、その中から1個体を品種登録できる確率で、さらに売れる品種となると5品種のうち1品種程度とのことです。
R&Dショールームでは、数多くの実生個体が開花をむかえており、その中から生産者が優良と思われる個体を選んでいきます。
品種登録に要する年数は7年程度で、交配後2年半で開花→選抜→2年半の増殖トライアル→テスト栽培→品種登録となります。
苞の1つ1つが花弁化したものです。アンスリウムの概念が大きく変わりそうです。
スリップスの防除に天敵を使用していました。シンジェンタ社の天敵資材(ククメリスカブリダニ)のAmblyline cu(Amblyseius cucumeris)で、下中央の写真は自走式天敵散布機です。
苗生産部門
増殖トライアル中の苗です。組織培養による増殖率や順化鉢上げ効率を確認しています。
品種登録した品種は組織培養によって大量増殖され、プラグに鉢上げして育成します。
下の写真は連携生産者グループAllsenzAに集荷される苗です。