●遼寧省 遼陽市のバラ苗生産農家(遼寧省遼陽市)
2002年より花卉顧問に就任している遼寧省農業科学院の花卉研究所バラ部門がある遼陽市内のバラの苗生産農家を訪問しました。(2003年,2004年)
中国のバラ苗生産は,鉢バラとガーデンローズが主体で,日本のように切りバラ生産のためのバラ苗生産はほとんど発達していません。その理由は,切りバラ生産におけるバラ苗のほとんどが挿し木繁殖で行われており,自家増殖によっているため,苗の流通が発達していないことに加えて,登録品種に発生するパテント料(ロイヤリティーとも言う)の管理が全くといって良いほど行われていないことによります。
このような状況から,バラ苗生産は個人消費と景観植栽のための苗生産となっています。
この農場では,古いバラ品種(40年前位でしょうか)を親株として維持し,それを基に挿し木繁殖を行っていました。
挿し木培土はモミガラ燻炭を用いて鉢に挿しています。発根率は90%以上だということです。
挿し木管理温室では,ミスト装置を使って湿度の維持をしていました。ミスト発生装置は農薬散布用の動噴のノズルを流用して,鉄管に溶接したものを使用していました。なかなかのアイデアです。水は下の左写真の奥にみえるように,煉瓦を積んでその上にブルーシートをかけた臨時の貯水槽を作って,そこからポンプアップしています。ミストの発生は15分間隔で1分間ミストを出していました。
発根が終わった苗は栽培用温室に定植して育苗します。基本的には無暖房で,春に成長したものを鉢上げして,鉢物のバラとして遼陽市内の市場で販売するとのことです。