●上海曹安路花卉市場(上海花卉交易中心)
(上海市普陀区武寧路2207号)
上海曹安花市(上海花卉交易中心)は中山公園の北西4kmにある歴史を感じさせる昔ながらの花き市場で,上海曹安市場(青果市場)の向かいにあります。市場の北側の武寧路に面したところには大理石で作られた由緒ある銘板がありました。
上海市内の中心部にあることに加えて,建物も老朽化していることから,数年以内に取り壊されるとの話が出ていました。しかし,このような昔ながらの上海情緒を感じさせる花き市場も一つくらいは残しても良いのではないかと思いますが・・。
生産者の直売所というより仕入れ販売を行うマーケットといった感じです。中国に昔からある花鳥市場の雰囲気が残っている市場で,文字通り花と鳥,金魚なども販売する店がありました。2004年1月と2007年4月に訪問しましたが,いずれの時も大変な人混みでした。
2007年4月の訪問時にはキリギリスやコウロギが売っていました。コウロギは中国古来からある闘蟋(とうしつ:コウロギ相撲)の親としての販売でしょうか?
曹安花市は鉢物が主体の花き市場で,花鉢物や観葉植物,シンビジウムの他,花壇苗なども販売されていました。年々品質は向上しており,1990年代の鉢物の培養土はまさに畑の土でしたが,腐葉土や草炭などの混合培養土が使われています。
特に,シクラメンの1990年代から2000年にかけての商品性の向上は目を見張るものがあります。1990年前半のシクラメンは畑土に植えられた2年越しの株で,葉が10枚程度で花が1〜2輪付いたものが売られていましたが,2004年には鉢のラッピングやラベルも付いており,日本で販売されているものと遜色ない品質になっていました。
売られているものは,鉢物の他に果樹苗,バラなどの花木の苗や球根も販売されています。
また,伝統的な寒蘭や山取りのセッコクなども販売されていました。
中国の趣味家の花き園芸の対象に君子蘭があります。中年のお客は小さな実生苗を手に取って吟味しながら販売担当者と価格交渉をしていました。
なかには一鉢6800元(10万円)の価格の付いたものも売られていました。ここまで来ると趣味というより投機に近い感覚だと思います。
切花を販売する見せも幾つかあります。開店祝いや上司の奥様の誕生日プレゼントなどに使われるとのことです。
下右の写真の盛り花は素材に葉ボタンが使われていました。一見オールドローズが使われているのかと錯覚しました。
昆明から運ばれた切花が無造作にバケツに入れられて,20本束でカーネーションが4元(3.2円/本),バラが10元(8円/本)でした(2007年4月)。
切花の輸送中の取り扱いが悪いため,バラは下葉が痛んでしまいます。
したがって,中国の盛り花で使われるバラの花は,基本的に葉を付けないで花だけを使用することが多くなります。
昔の歯磨きのCMで「役者は歯が命!」というのがありましたが,「バラは葉が命!」だと思うのですが・・。
下の写真は2004年4月訪問の時に見かけたネコヤナギの着色切枝です。
一見造花のようですが,結構きれいでした。岐阜県飛騨地方の花餅のようです。