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●上海曹家渡花卉市場
(上海市普陀区長寿路1148号)

 上海曹家渡花市は中山公園に近い長寿路と万航渡后路の交差点にあります。上海は中国最大の花き消費市場であり,花きの消費を担ってきた上海精文花卉市場が2005年に閉鎖されたことを受けて上海を代表する最大の花き市場として2005年11月に設立されました。上海精文花卉市場の入場者の8割が曹家渡花卉市場に入場したといわれており,総面積35,000uで約400店舗が入っています。

 経営者は温州出身の朱祖国氏で,カラオケ店の経営で得た収入を花き市場の建設に投資したとのことで,曹家渡花卉市場の隣にはその基となった豪華なカラオケ店がありました。

 曹家渡花市は3階建ての販売棟と別棟の卸棟に分かれており,3階建ての販売棟の1階は生花,2階は造花,3階は資材の販売部門となっており,一般の上海市民も切花を購入することができます。
 1階の生花販売部門には約100店が入っており,一般消費者を対象に切花,鉢花を販売しています。切花が8割,鉢物が2割で,鉢物のうち観葉植物が8割程度を占めていました。

   

 切花の販売は,20本束の切花販売とアレンジの販売に分かれています。切花販売店ではバラ,カーネーション,キク,ユリの他,アルストリメリア,スターチス,カスミソウ,トルコキキョウなどが多く販売されています。切花の価格は,2006年2月29日の訪問時で,バラが18〜22元/20本(14〜18円/本),スプレーギクが8〜12元/20本(6〜10円/本)でした。

 

 2007年4月14日の訪問時での価格は,普通の品質のバラは12〜16元/20本(10〜13円/本)でしたが,日本でも高品質なバラとして販売可能なものは17円/本程度で販売されていました。ガーベラは5元/3束で,1.3円/本と情けないような価格でした。
 ただし,バレンタインデー(情人節)や春節では,普通のバラ品種は2元(32円)/本,最新品種は4〜6元(64〜96円)/本で販売されたとのことです。
 グズマニアの切花が販売されていました。中国ではグズマニアは高級鉢物の代名詞のように販売されていますが,近年少々過剰生産気味で,とうとう切花として販売されるまできたのかとの印象を受けました。

 

 販売店のブース代は4元/u/月で,平均的なブース面積は30uですので,120元/月と格安価格です。半年の前払いとのことでした。
 花束を加工販売するブースが多く,中国独特の豪華なアレンジが陳列されています。

   

下右の写真の赤バラのアレンジは350元(5600円)で,中国の物価を考えるとかなり高価ですが,もらった人はキットうれしいと思います。
市場の外では開店祝いと思われる花籠が出荷されるとことでした。

 

2階の造花販売部門では,いわゆるホンコンフラワーの店が数多く出店していました。
中国の造花製造技術は世界でも有数のレベルで,一見生花と間違えそうな造花アレンジが販売されていました。

   

 別棟の卸部は,2006年2月29日訪問時には一部が建設中でしたが,2007年4月14日の訪問では完成しており,数多くの生産卸ブースが店を並べていました。ブースの広さは生花販売ブースト同じ30u程度と思われます。

   

 販売される切花の多くは雲南省昆明から輸送されてきたもので全体の80%を占めていますが,グラジオラスやカーネーション,輪ギクなどは上海近隣の産地からも出荷されていました。
 日本へのサカキやシキミの輸出で一躍注目された浙江省の豊島集団のカーネーションが出荷されていました。豊島集団は,昆明で1,000ムー(666,000u)の竹製のビニルハウスでカーネーション,キク,ガーベラを生産しているとのことです。また,同様にスプレーカーネーションが2,000ムーの竹製ビニルハウスで生産されているとのことです。
 昆明で生産されたカーネーションやキクは集出荷場で一時選別されて上海に輸送され,上海でサカキ,シキミと組み合わせて仏花加工を行って,日本に輸出しています。日本側の荷受け会社は岐阜県の「ジャパンフラワー」などとのことでした。

   

 2000年頃に比べると,最近は輸送中の取り扱いもいくらか良くはなってきていますが,卸部の脇のトラック積み下ろし場には角が丸くなるほど詰め込んで締め上げた段ボール箱が無造作に放置してありました。

 

 このような状態で段ボール積めされた切花は,葉や花弁が痛んで商品価値が低下してしまいます。まだまだ現段階での中国では品質や商品性といった価値が定着していないと感じました。