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斗南花卉市場(昆明国際花卉拍売交易中心)【雲南花卉
雲南省昆明市呈貢斗南

 1999年に開催された中国’99昆明世界園芸博覧会を見学したときに訪問した2006年9月以来,久々に昆明市斗南花き市場を訪問しました。(2006年9月)
 斗南花き市場は,昆明の花博を契機に急速に発達した典型的な「産地相対市場」です。周辺の生産農家が、担いだり、自転車や荷車などを使って直接運び込んで販売する相対市場を形成しています。1999年訪問時に機械セリ場ができるとの話を聞いていましたが,ようやく訪問することができました。
 下の写真は1999年に撮影したものです。新しく整備された相対市場の正面全景です。


 下の写真は2006年に撮影したものです。7年前の面影は残っていますが,以前よりゴミゴミした感じで,取扱量が急速に増加していることを伺わせます。


 7年前は市場の道路を隔てた向かいはバラやカーネーションの農場でしたが,2006年に訪問したときには鉢物などの仲卸のテナントとなっていました。昆明での鉢物生産が増加し始めていることがわかります。
 下の写真は1999年訪問時と2006年訪問時の切花相対市場の風景です。
 相対市場は早朝の午前3時から始まります。ここで販売しているのは農民ではなく,農家から買い付け集荷した仲卸人です。
 1999年訪問当時に取引されていた切花の品質はかなり低く,バラなどはウドンコ病に罹病していたものもかなりありました。しかし,2006年訪問時には品質もかなり向上しており,日本でも販売可能なものもありました。7年間の生産技術の向上には目を見張るものがあります。
1999年訪問時の切花相対市場の風景
2006年訪問時の切花相対市場の風景
 相対市場のブースは毎日決められており,1ブースあたりの場所代は5〜10元/日です。取引価格は,バラで1本平均0.1元(1.3円)でした。

 切花相対市場の取引終了後には膨大な量のゴミが出てきます。毎日軽トラックで10杯以上発生するゴミの処分はどのように行われているのでしょうか・・・。ちょうどゴミを運ぶオート貨物が目の前を通っていきました。きっと堆肥化されているのではないかと想像しましたが,その先は不明です。

   

 上海でも見ましたが「花を輸送する段ボールの角がない」段ボール箱のルーツは昆明にあったことが判りました。段ボールをパッキング占め具で思い切り締め付けていました。これを見たオランダ人が「花のジュースでも作るのか?」言ったとの話を聞きました。

 さすがに昆明斗南花き市場は中国国内でも観光名所だそうです。日本で言う農協観光ツアーのように旗を持ったツアーガイドが十数人の中国人観光客を案内していました。また,下右の写真にあるように,結婚式用の車の飾り付けをしている店がありました。新婚とはいえこの車で町中を走るのは少々気が引けます・・。

 

 1999年訪問時に機械セリ場ができるとの話を聞いていましたが,ようやく訪問することができました。
 2002年12月に昆明国際花卉拍売交易中心有限公司(KIFA)が設立され,300席を備えたセリ場が完成しました。2006年12月20日に開始した機械セリは,その後北京,広州に広がりましたが,その中でもっとも正常に運用されているセリ市場といわれています。出荷登録者は,生産会社が3000社,売参人は1000社です。
 取扱販売数量は,2003年が5,554万本,2004年が6,537万本,2005年が7,640万本と年々増加しており,2006年の予想数量は10,800万本に達するといわれています。売参人の数も着実に増加しており,2003年は386社,2004年は508社,205年は630社で,2006年の800社が売参人登録が予想されています。

   
   

 問題点として,北京,広州のセリ市場にも共通することですが,予約相対販売とセリ販売が同時に行われるため価格形成が公正に行われないことや,輸出などの場合には生産会社との直接取引が行われており,実際の生産量,なかでも輸出可能な高品質な切花の実態を把握できないことがあげられます。
 昆明国際花卉拍売交易中心有限公司(KIFA)に出荷している企業の上位20位(2006年上半期)の企業名と品目,数量一覧を下に示しました。バラの総合計は19,481,818本で,この値は上位20社の上半期の本数ですので,相対取引を含めると,恐らく8億本程度が生産されている可能性があります。いかにバラが大量に生産されているかが判ります。
2006年上半期出荷数量上位20社
企業名 出荷本数 種類 企業の形態
1 麗都花卉 3,822,760 バラ 企業
2 金太陽 2,368,470 バラ 企業
3 同馨花卉 2,135,140 カーネーション 企業
4 金才園芸 1,513,540 バラ 連合体
5 聯慶花卉 1,491,022 バラ 連合体
6 雲大陽光 1,128,870 バラ 企業
7 何氏花卉 1,061,290 バラ 企業
8 海宇園芸 1,040,080 バラ 企業
9 稼南花卉 929,840 バラ 企業
10 緑色花卉 865,130 ガーベラ 連合体
11 玉渓紅塔人 740,072 バラ 連合体
12 錦苑中心農場 695,780 バラ 企業
13 継蘭花卉 623,560 バラ 連合体
14 錦苑麗泰花卉 614,174 バラ 企業
15 翠華園芸 599,680 バラ 連合体
16 盛園花卉 583,160 バラ 企業
17 通海錦海花卉 579,090 バラ 連合体
18 興隆花卉 574,656 バラ 集荷センター
19 裕光花卉 566,500 バラ 生産基地
20 繽紛園芸 550,275 バラ 企業
バラの合計本数 19,481,818
 昆明国際花卉拍売交易中心有限公司(KIFA)では品質についても厳しく判定しており,独自の切花日保ち検査を行っていました。



下の写真は,今回昆明市の産地を案内していただいた麒麟農業生物公司昆明分公司の事務所です。斗南花卉市場のすぐ前にあります。