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★北京の鉢花流通状況と考察

 中国における鉢花需要の主流を占めるのは、現状では公共利用あるいはビジネスユースであり、いわゆる個人消費はほとんど発達していないと考えます。公共利用の一例として、右写真は調度訪問日が重なっ中国建国記念日の天安門広場の風景です。中国の屋外の花飾りは鉢花を並べて行います。日本のように花壇を作らず、鉢花を並べて花文字や花絵を作って飾るので、建国記念日などの催事があると大量の鉢花の需要があります。また、ホテルや企業の玄関も鉢花で飾る習慣があり、特に大鉢の観葉植物はどの会社に行っても必ずといって良いほど飾られていました。
 屋外に飾る鉢花は風で倒れては困るため、重量のある素焼き鉢を使用し、培土も重めの土を使用しているようです。また、催事が終了すれば廃棄処分となるため、個々の鉢物の品質を重要視するのではなく、マスとしての色彩を重要視するようです。
 このような現状を考えると、日本でいう「公共緑化事業」のような感覚であり、園芸業界というよりも緑化木業界といった感じでしょうか。したがって、「花郷花卉市場」で販売されていた高品質の花鉢物は、ほんの一握りの「大金持ち」や「高級官僚へのつけ届け」などのような需要を満たしているに過ぎないのではないかと思いますし、とんでもない高価格なのも納得できると思います。
 今回の中国訪問で一般家庭を訪問する機会がありましたが、やはり一般家庭では4〜5号鉢の観葉植物が主体で、鉢花物を観賞するには至っていませんでした。恐らく2008年の北京オリンピックがすむまではこの状況が続くのではないかと思います。北京オリンピック終了後、急速に一般国民の経済生活状況が高まるに従って、ヨーロッパや日本のように家庭に鉢花を飾る習慣が定着するものと考えます。
 日本の感覚からすると、1500万人の人口に対して相対市場の数が圧倒的に少なく、需要をまかなえていないと感じましたが、一般需要がそれ程大きくない状況から、このような直接相対市場で充分需要と供給が釣り合っているのでしょう。しかし、10年後には需要の急増と共に日本やヨーロッパのようなセリ市場が登場するのではないかと思いました。



★北京の切花流通状況から見た今後の日本との関係

北京の切花需要を考えると、ホームユースのような個人消費は極めて少ない。主な切花消費は、開店祝いや誕生日、結婚式など記念日の贈答用の盛り花で、いわゆる「仕事花」である。
 中国はアジア圏内のなかで唯一経済成長を遂げている国であり、WTO加盟を目前にして活気のある状況に加えて、2008年には北京オリンピックを開催する。このような状況から、今後、国民の経済状況も今後大いに改善され、日本の35年前がそうであったように、個人消費が急速に増加することが予想される。
 バラの品質についてみると、切花長は40〜60pが主体でそれ以上の長さのものはほとんど見られない。ウドンコ病に対する防除も徹底されておらず、罹病した切花が多数出荷されている。3年前までは品種が明示されていなかったが、今回は品種名が明示されていた。
 6年前に調査したときのバラの価格は店頭で平均31円、市場で20円程度でした。3年前でもほぼ同様な価格で維持されていましたが、今回の調査結果では11〜15円/本と価格が急落していました。これは雲南省昆明での大規模な切りバラ生産が無計画に行われたことによるもので、雲南省での切りバラ生産量が現状の中国国内のバラ消費量を大きく上回り、需給バランスが大きく崩れ始めていることを示しています。雲南省での切りバラ生産面積は現在でも増加しているとのことからみて、2005年には供給過剰をむかえ、切りバラ価格が暴落すると予想されます。このことは、オランダ式時計ゼリを行っている「北京菜太拍売中心」でバラの価格が既に5円以下で取り引きされたことがあるという話から見ても間違いないことであろうと考えます。
 これまで「中国のバラの価格は高いため、中国のバラ生産農家が日本に輸出するメリットはない」と述べてきましたが、今回中国を訪問して、「このまま切りバラ価格の暴落が続けば、必ず近い将来中国からの輸出が行われる」との考え方に変わりました。国内価格が暴落した時の流通変化は、必ずといって良いほど高価格を維持している地域への輸出が行われます。現在の日本の切りバラ価格をみると、韓国の輸入バラが40円程度といわれています。
バラ50本束を中国から輸出した場合の価格想定表
日本での小売価格 (1本30円) 1,500円
小売利益(25%) 375円
卸売価格 1,125円
卸売利益(10%) 112円
輸入商価格 1,013円
輸入商利益(10%) 101円
日本到着価格 912円
陸送費、消費税および関税 150円
CIF日本価格 762円
航空運賃 500円
現地輸出価格 262円
中国引渡単価(1本価格) 262円÷50=5.24円
 上記の表から、中国の国内価格が5円を下回ったときには輸出経費などを加えても充分採算が合い、日本への輸出が始まるのではないかと考えます。10月24日現在、昆明の雲南花卉連合の市場価格は60pのカーディナルが1.8円で取り引きされているところからみて、既に輸出に対する環境は整い始めたと推定できます。
 中国国内の切花の個人消費は、前述のように急速に増大すると推定されるものの、現状の中国国内の切花の需要はかなり低く、雲南省昆明で大量に生産される切花が個人需要開拓がなされないままに推移すると、近い将来中国国内の需給バランスが崩れて価格が暴落し、日本への輸出が始まるものと考えます。今後の昆明の生産技術の向上と北京や上海などでの需給バランスの崩れ(価格の低落状況)に充分な注意を払う必要があるものと考えます。
 ただし、現状では日本向けに輸出できるほど切花品質は高くありませんし、切りバラは葉の至る所にウドンコ病が発生している状況ですので、生産技術の向上が不可欠です。
 現在の日本の切りバラ生産を考えると、出来るだけ長いバラを収穫する方向に向いていますが、中国からの輸出に向けて生産技術の開発や流通の改善を真剣に考える時期にきていると考えます。早急に中国に対する対応策を考えないと、アメリカの切りバラ生産がコロンビアやエクアドルに駆逐されてしまったように、壊滅的な影響を受けかねないと思います。

 このような低い切花需要のなかで開業したオランダ式セリ市場「菜太拍売中心」は今後ともしばらくの間、苦しい経営が続くものと考えます。私の感想からすると、セリ市場の開場自体が時期尚早であったのではないかと思います。すなわち、現在の需要に対して直接相対市場で充分機能しており、新たなセリ市場を開設する必要がないにも関わらず、海外の事例を鵜呑みにして市場を開設したことに無理があったのではないかと感じます。