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宮平憲勇氏のキク生産
【キク切花生産】
 (沖縄県中頭郡読谷村)

沖縄県花卉園芸農業協同組合「太陽の花」の案内で、大規模生産を行っている中頭郡読谷村の宮平憲勇氏の圃場を訪問しました。露地+平張り施設の計20,000坪(66,000u)の生産規模です。

 

Googleで見た宮平氏の農場です。沖縄中部の読谷村にあり、ホテル日航アリビラの近くです。白い枠で囲まれた範囲が宮平氏の農場で、右側の灰色にみえる部分が平張り施設で75m×75mの大施設です。

宮平氏の農場では20歳代の従業員を雇用していました。宮平氏はこれまでも多くの従業員を雇用しており、その中には独立して生産を行うものが現れ始めており、人材育成も行っています。従業員は太陽の花が開催するセミナーなどにも参加しており、知識と技術の伝承を図っています。

 

大変興味深い電照技術を教えて頂きました。
一般に、スプレーギクや小ギクの短日日長期間中の栽培では、一定期間夜間に電照を行い花芽分化を抑制して切花長を確保します。40〜50cmの草丈になった時点で電照をやめて花芽分化を促します。頂花が花芽分化すると、側芽も花芽分化して分枝した切花の形が整います。しかし、頂花の発育が早いため出荷前に頂花を切り取って出荷しますが、中心が空いてバランスが崩れるとともに、ボリュームが小さい欠点がありました。
宮平氏は、電照をやめて頂花の花芽分化が始まったのを確認した後に再び電照を開始し、頂花の発育を抑制して、あえて柳芽を発生させます。すると、側芽は花芽分化を行わない状態で分枝を始めます。一定期間側枝の発育を促した後に再び電照を停止させると、側枝の頂芽が花芽分化し始めて、側枝の孫枝に多数の花芽が形成され、ボリュームのある切花ができるとともに、頂花は発育が抑えられているため出荷前に頂花を切り取る作業が不要となります。

 

 

収穫が近づくと下葉を除去します。宮平氏の圃場では、高圧スプレーガンを使って水を株元に吹き付けていました。きれいに葉が除去されています。この操作を選花場で行うと下葉の大量のゴミが発生して廃棄処分に経費が発生しますが、圃場で行うことで廃棄物の発生を抑えることができます。

 

収穫した切花は鮮度を維持するために速やかに水揚げを行う必要があります。トラックの荷台に防水シートを貼り付けた「水揚げトラック」がありました。荷台の枠を上げると、まさに水揚げプールが完成し、圃場から選花場までの間に水揚げを行うことができます。鮮度を重視している太陽の花だからこそ考え出された素晴らしいアイデアです。

読谷村の地区では太陽の花の事業で平張り施設を建設し、農家にリースする方法で平張り施設面積を増加させています。生産農家は平張り施設の周辺の農地で露地栽培も行うことで、出荷期の拡大を図ることが可能となります。
下の写真は読谷村のGoogleの写真です。黄色枠の部分が平張り施設で、多数の平張り施設が点在しているのが判ります。

読谷村の写真でも判るように、キクの生産地はエメラルドグリーンの海からの距離が近く、露地栽培では台風の襲来による塩害の発生が大きな問題となっていました。しかし、平張り施設では強い雨であっても網のおかげで霧状になり、さらに頭上潅水施設が完備されていることから葉に付着した海水を速やかに洗い流すことができるために、塩害が回避されます。