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中日本農産(株)
(株)鈴鍵

 【堆肥生産】
 (愛知県東加茂郡下山村)

 私の研究室では、現在、堆肥の完熟度の判定指標の開発に関する研究を行っています。2002年5月16日に共同研究者である(株)花ごころ製造の紹介で、中日本農産(株)と(株)鈴鍵を訪問いたしました。

 (株)鈴鍵は、東海地方では大手の木質有機廃棄物処理業者で、道路の拡張で発生する伐採材や剪定樹枝を用いて木質堆肥を生産し、土壌改良材や法面緑化などの森林資源のリサイクルに取り組んでいる会社です。
 訪問したときも、愛知県の猿投グリーンロードの拡張工事が行われており、この時に発生した伐採樹も鈴鍵で処理されているとのことでした。

 伐採樹木は豊田市の1次粉砕処理場(矢並破砕ヤード施設)にいったん集められ、チップ化されます。1次粉砕処理場では、大型ショベルがフル稼働して、タブグラインダーと呼ばれる粉砕機にかけられます。
   
 タブグラインダーのバケットのなかには伐採樹を粉砕してチップにするための頑丈な回転刃(ブレード)がついており、伐採樹枝が次々とチップになっていきます。
   

 右の画像をクリックするとビデオが流れます。

 1次粉砕処理場である程度の量のチップが生産されると、堆肥生産工場に運搬されます。今回訪問した堆肥生産場は愛知県東加茂郡下山村の山中にある「下山バークパーク」です。下山バークパークは(株)鈴鍵と下山村が共同で開発している第3セクター方式のバーク工場で、ここで1次粉砕処理したバークを再度破砕処理(2次破砕処理)し、さらに回転ふるい機(トロンメルスクリーン)で粒子を揃える操作が行われます。下山バークパークでは3台の大型トロンメルスクリーンがフル稼働していました。
   
下の写真の左が1次粉砕処理を行ったバークで、右が2次粉砕処理したものです。かなり粒形の揃ったバークになっており、この粒形の揃いがこれから始まる堆肥化でおける通気の均質性の極めて重要な要素となります。
 

 トロンメルスクリーンで篩ったバークは、取りあえず一定の量が出来るまで大きな山に積み上げられます。下の左の写真の右の山は、ざっと見て一山1000t程度ありそうです。
 
 下山バークパークでは、バークに添加する窒素供給源として「フスマ」を使用しており、バークにフスマを添加したものをかまぼこ状に積み上げて堆肥生産を行っています。1山の堆肥の量は150tだとのことでした。
 
 積み上げられたバーク堆肥は、毎月最低1回はショベルカーで切り返しが行われており、通常、最低でも6ヶ月は堆積して出荷されます。訪問したときには13ヶ月堆積した完熟バークが出荷されていました。

 これまでのバーク製造工程は露天で行われていましたが、バークの品質向上を目的として、巨大なピットが建設されていました。1ピットに入る堆肥の量は300tだそうです。
 

 この下山バークパークで製造されたバーク堆肥は、中日本農産(株)が販売企業となって、園芸培土製造会社(例えば(株)花ごころ製造)に販売され、家庭園芸培土の原材料となったり、生産農家の土壌改良資材として利用されます。
 下の写真は、左から、「1次粉砕バーク」、「2次粉砕後、篩いにかけられたバーク」、「堆肥発酵中のバーク堆肥」、「完成した完熟バーク堆肥」です。
   

 番外編ですが、下山バークパークの堆肥場の周辺には堆肥の基となる菌類が、色々なキノコを生長させていました。一見美味しそうなキノコや、なかには松茸モドキのような立派なキノコも生えていました。しかし、チョット食べたいという気持ちは起きませんでした。