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■動物繁殖学研究室の研究内容を理解していただくために 動物園には、世界中の動物が集められ飼育されています。そこには普段めったにみられない珍しい動物がたくさんいるので、私達はそれらの動物に会いに行きます。子供たちに人気があるゾウ、背の高いキリン、愛らしいコアラ、ひょうきんなペンギンなど、目を引く動物がいっぱいいます。子供たちからお年寄りまでの多くの人達が世代を問わず動物園を訪れ、市民の憩いの場となっています。 動物園には誰もが一度は訪れたことがあると思いますが、市民には動物園という施設をどのような施設というイメージで捉えられているでしょうか?以前の動物園といえば、珍しい動物を飼育して展示している施設というイメージが強かったと思いますが、今ではそれだけではなく、絶滅に瀕した希少な動物種を繁殖し保全していくという重要な役割(生息域外保全施設としての役割)を担っています。動物園によって飼われている動物の種類も様々で、それぞれの園で展示方法を工夫して個性ある特徴を作り上げていますが、よほど特殊な動物種ではない限り同じ種を飼育している園は複数あります。同じ動物種を飼育している園間では、動物を繁殖させるための技術協力を行ったり、繁殖可能な個体を貸し出したりするなど、積極的に知的交流を行っています。しかし動物によっては、繁殖できる時期や繁殖させるためのタイミングがとても分かり難い種がいます。こういった種を増やすためには、その種の繁殖生理を研究して明らかにしなくてはなりません。 家畜や実験動物をはじめとして、多くの動物が人の手によって飼われています。近年、人に飼われている動物に対して"動物福祉(animal welfare)"、すなわち「人間の利益になる目的を満たすために飼育している動物の被る痛みや苦しみを最小限に抑えなければならない」という考え方が生まれました。飼育されている動物は、物理的に制限された環境下で飼育されており、少なからず動物間の社会的な環境も失われている可能性があります。そこで動物園では、"環境エンリッチメント"、すなわち「飼育されている動物の幸せな暮らしを実現するための動物福祉の立場に立った方策」を具体化し実現しようとしています。このような背景の中で希少動物を繁殖させるためには、動物にストレスを出来る限り与えない方法で、しかも正確に生理現象を把握しなければなりません。動物が生きたままの状態で繁殖生理を把握するためには、通常血液を使っていろいろなホルモンの分泌状態を調べます。繁殖には、種々のホルモンが関係していますが、主に調べるものは、生殖腺で合成され分泌される性ステロイドホルモンや脳下垂体からのペプチドホルモンです。しかし、動物から血液を採取すると、動物に多くのストレスを与え、動物によっては採取する人にも危害が及ぶ場合があります。これらを避けるために、私の研究室では、排泄物である糞や尿を用いて、その中に排泄されているステロイドホルモンやその代謝物を分析し、その結果を動物園での種の繁殖保全計画に利用していただいています。幸いにも多くの動物園の皆さんに協力していただいているお陰で、このような希少な動物種を扱うことができています。 (文責 土井)
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