4年前と今年の閏の日


 4年前の2004年も2月は29日までありました。

 この4年前にも書 きましたが、この2月という月は、とっても慌ただしい月で、今年度はそれに輪をかけ、学科長の仕事が引きも切らずやってきて、なかなかじっくりと 本も読めない、論文も読めない・書けない状態が続きます。29日は、余りの日なので、ちょっとは気分的には休める日のはずなのですが、今回は退職教員の最 終授業も あって、休めません。昨年度(2006年度)も、学会の大会の仕事、雑用が多くあってあまり心休まる時期がありませんでした。今年度(2007年度)も、 落ち着かなかった。
そのせいか、卒研学生への指導も、今年度はかなりおざなりになりました。ちょっと貧弱な卒研発表が続いてしまいました。

 ますます、じっくり議論し、じっくり考え、じっくり本を読む時間が欲しい、という思いが募ります。
来年度は、学科の仕事は落ち着くでしょうが、町内会やプライベートなことでは、なかなか落ち着くという状況にはいかない予想です、残念ながら。

 4年前には、この時期、何が話題だったか。
 この雑記によると、鳥インフルエンザの恐怖が、世の中を覆っていま した。鶏が何万羽も処分された、というニュースが踊っていました。今回は、昨年暮れから続いている「殺虫剤入り中国産冷凍餃子」の問題があり、イージス艦と漁船との衝突の問題があ りました。鳥インフルエンザも、毒餃子の問題も、どちらも中国発ですね、考えてみれば。。。その病気も食料の問題も、みんなグローバル化がもたらしたものですね。最近のニュースでは、日本でもタミフルの 効かないインフルエンザが出現してきているようです。これは、予想されたこと。こんなに日本では使われているんですから、タミフル耐性を獲得してもおかし くはないのです。
 毒餃子問題は、中国と日本の警察捜査の結果がなかなか一致しなくて、いらいらします。別々に実験して、一方では、希釈した殺虫剤が冷凍状態でも袋を通し て中に浸みこんだ、というし、他方では濃い殺虫剤で室温状態でやって袋を全然通さない、というし、こんな状態じゃ、結論は出ないでしょう。こういう科学的 な実験で結論を得るには、立会い実験しかありません。両者が立ち会って、同じ条件でやってみるしか、ないでしょう。

 アメリカ大統領選挙は、いつも面白いですが、今回は、塗箸の小浜、じゃなかったオバマ氏の奮闘のせいか、さらに面白くなっているようです。「Yes, we can!」と彼が叫ぶ演説(YouTubeで聴けます)は、とっても上手で聞き惚れますな。ドレミでいうところのミの音程で、それを繰り返し叫ばれると、 心に浸みこんでいきます。殺虫 剤より彼の演説は、多くの人の心の「袋」に浸みこみやすいようです、たとえは悪いですが。



 今日のN先生の最終講義で、久しぶりに懐かしいフレーズを聞きました。アラゴン詩集の「教 えるとは、希望(未来)を語ること  Enseigner c'est dire espérance 」 (つぎに、学ぶとは誠実を胸に刻むこと  Étudier fidélité )のフレーズ。僕らも学生時代 に、よく目にしました。ベル・エポックでした。ドキドキするほど懐かしいです。最近は、なんでも評価評価で縮こまり、希望を語って学生の心を鷲掴みにでき る教員は少なくなっているのではないでしょうか?
 オバマ氏の「希望を語る力」は、確かに大したもののようです。しかし、今の理系の学生に向って語れる「希望」とは、一体何か?それが問題です。社会的な 問 題にもなっている理系離れ、とは結局その「希望」を語れなくなった(というより語り難くなった)今の日本の状況の反映でもあると、思います。忍耐です、「学問は永い永い忍耐  Science longue patience 」。

(2008.2.29)