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ということで、東京のラッシュアワー時の混雑さながらに、からくり屋台を見たさに集まった人たちでしたが、また帰るのが大変。マイクで「すりが頻発しているので注意して下さい!」と叫んでいましたが、そんなこといわれたって、と押し合いへし合いしながら、その場を離れました。
やはり、からくり、という不思議なもの見たさに集まる人は多いものですね。いつの世も、不思議なものは人々の好奇心をかき立てるものです。
しかし、親戚の中でオリンピックの金メダルを取った人と、ノーベル賞を取った人がいる家系って、他にあるでしょうか?それも同時期に。アメリカならあり得るかな、とは思いますが。。。
ま、それはともかく、白川先生のお仕事は、分野が違っていたので知りませんでしたが、私もよく知っている導電性ポリマーを開発された、ということで、てっきりアメリカで開発されたものとばかり思っていたので、ショックでした。なんでもっと高分子学会などで宣伝していなかったのかなぁ。先鞭という意味ではあの「青色レーザー」以上にすごいことを日本の実験室でできたのだ、と感慨を深くしました。それも、たぶん今後語り種になるだろう「実験上のあやまち」によって生まれた発見、ということで、その間違えた研究生(?)(千倍濃くしたというから、たぶんモルの計算を間違えたのかな、それともミリとマイクロの単位を間違えたのかな、、、よく学生が間違えることだから、あり得る話だな、とは思いますが)、どんな感想をもっているでしょうね。(追記参照)
導電性ポリマーとしては、最初はポリアセチレン(PA)から作られたということですが、それにドーピングとしてヨウ素を入れた、と出ていました。これは、構造的には、不飽和の炭化水素鎖(前にも書きましたね)で、不飽和二重結合がヨウ素を結合しやすい、という脂肪酸の研究者には大昔から知られている脂肪酸の検出技術と原理的に同じものです。ただ、PAは、となりの二重結合同士の間隔が脂肪酸の時よりひとつ短く、π電子雲の重なりが起きやすく、ヨウ素のようなハロゲンが付くと電子(-)が一つ抜かれてホール(+)ができ、ポラロンとかソリトンとなって働き、電子が比較的自由に動けるようになる、と考えられます。この化合物が酸素に対して不安定なのは、不飽和脂肪酸が酸化しやすいのと同じです。現在ではもっと安定な別のポリマー素材が使われているそうです。
昔、私はミトコンドリアの電子伝達系を研究していましたが、ある部位(シトクロム酸化酵素のところ、だったかな?カルジオリピンという脂質がくっついているので…)では理論的には不飽和脂肪酸の二重結合を介して電子が伝わるのではないか、という話もあったという記憶があります(あまり注目されていなかったと思いましたが)。
自然の現象の中では、意外な所に意外なものが関係している、ということがありますね。オリンピック金メダルとノーベル賞、意外なつながりを見せつけられた今回のことも、自然界の一つの現象なのでしょう。
(2000.10.13)
(追記:ビョン博士/前原子力研究所放射線研究室長 という方だそうですが、韓国では何かクレームを出しているそうな。さらにAsahi.comによると、白川先生が mmol と書いた所を、その留学生が mol と見間違って、1000倍濃くしたのだそうです)